第8章 第3節 生産性変数と環境変数および構造変数との関係【第8章の目次へ戻る】仮説に戻る

 ここでは、生産性変数と環境変数および構造変数との関係についての分析を行う。なお、横断的分析については「工業デザイン・サンプル」を対象する。ただし、生産性変数と創発的構造変数および非公式構造変数との縦断的分析については「パネル・サンプル」を対象とする。
 第3仮説群「成果変数と環境変数および構造変数との関係についての仮説」はつぎのように評価できよう。
 仮説3「成果変数は環境変数および公式構造変数と比べ創発的構造変数および非公式構造変数の影響を受けやすい」は、変数の信頼性や妥当性を考慮すれば、ほぼ支持された。
 仮説3−1「成果変数と環境変数とは無相関である」は、相互評価による生産性が部門の規模や相互評価による変動性と正の相関を示したことを除けば、ほぼ支持された。
 仮説3−2「成果変数と公式構造変数とは無相関である」は、部門長の評価による生産性と標準化とが正の相関を示したことを除けば、ほぼ支持された。
 仮説3−3「成果変数は創発的構造変数と正の相関関係にあり、後者は前者に時間的に先行する」の前半部分の横断的関係については、自己評価による生産性と創発的構造変数との正の相関関係に限って部分的に支持されたが、後半部分の縦断的関係については支持されなかった。
 仮説3−4「成果変数は非公式構造変数と正の相関関係にあり、後者は前者に時間的に先行する」は相互評価による生産性と会社への支持とのペアに限って部分的に支持されたが、組織成果は組織への支持と正の相関関係にあり、かつ、後者は前者に時間的に先行するが、組織への動員は支持の影響を除去した場合では組織成果と負の相関関係を示す、と修正することが必要であろう。

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