【専任教員の紹介の目次】

はた のぶゆき

秦 信行

 私は、近年、企業金融の分野の中でも使命感を持った起業家に率いられた革新的な事業を営むいわゆるベンチャーと称される企業の金融問題に特化した勉強をしています。ベンチャーはご承知のように非常にリスクが高く、従って通常は誰もベンチャーに資金を出そうとはしません、でも、ベンチャーは、例えば1999年に創業したグーグルのように、新しい事業を展開することによって社会全体に大きな恩恵をもたらします(多くは失敗するのですが)。ですから、こうした企業に事業拡大のための資金が提供されないことは社会的に問題だと言えます。どういう仕組みを作ればこうしたベンチャーにうまく資金を提供することが出来るのか、こんなテーマを研究しています。
 ゼミでは、基本的には企業金融、ないしもう少し幅広く企業経営に関するテーマを毎年決めて勉強します。加えて大学外のプログラムやイベントへの参加も奨励していろいろな経験を積んでもらっています。

 「ベンチャーの金融問題が主要テーマですが、もう少し幅広くベンチャーの経営全般についても触れた内容になっています。ベンチャーの経営実態が理解できます。毎回レジュメが配られ、毎回テーマに沿って授業は進行します。1時間目の授業ですが、先生は嫌みに毎回必ず数分前には教室に来ています。」
(『ベンチャービジネス』)

 企業の主要な経営資源は「ヒト」、「モノ」「カネ」と言われますが、企業金融(Corporate Finance)とはそのうちの「カネ」に関して研究する分野です。
 企業は設備投資や研究開発投資などを行い、競争企業に差をつけてより大きな収益を稼ごうとします。しかし、設備投資や研究開発を行うためには資金が必要です。そうした資金は銀行から借入れたり(銀行借入といいます)、新しく株式を発行してそれを投資家に買ってもらう(増資といいます)ことによって調達します。しかし、銀行借入れと増資は同じく資金調達といっても、調達した資金の性格はかなり異なります。では、資金調達の選択基準には何があるのでしょうか。一例を出しましたが、こうした企業の資金に関係する様々な意思決定を研究対象とするのが企業金融なのです。