【専任教員の紹介の目次】

こんい ひろのり

紺井 博則

称される国際的な投機資本の跳梁(ちょうりょう)とその破綻などが具体例です。国内では有利な投資先を見いだせない巨額の資金が、中央銀行の市場介入をのりこえ、ときには途上国の国民経済を翻弄することを私たちは見せつけられました。
 めまぐるしい経済の変化、その中でも金融の変化は際だっています。だからこそ、そのマネーの動きを促す基本的な要因について学び、そのことのリスクを知っておくことは大切だと思います。
 国際通貨といえば米ドル、というのが当然のように言われ続けてきましたが、このドルにもリスクが忍び寄っています。「ドル離れ」の動向や統一通貨ユーロの今後にについても目が離せません。

 「この授業は金融についての専門科目なので、はじめは取り組みにくいかもしれません。でもこの講義に参加していれば、金融についての多くの知識をまとまって得られることは間違いありません。レジュメを漫然と眺めているだけでは頭に入りにくいと感じるでしょうが、先生の話を真剣に聞いていればレジュメの内容以上の知識と理解を得られるでしょう。」
(『国際通貨と国際金融』)

 80年代から90年代にかけて、経済のグローバル化が急速に進み、先進諸国はもちろん発展途上国もその中に組み込まれようとしています。文字通り、ヒト・モノ・マネーが国境を越えて自由に動き回る様は、中国語でいう「グローバル化=地球化」という表現にピッタリです。
 ヒト・モノ・マネーの3つの要素のうちもっとも簡単に移動できるものはマネー(お金)でしょう。この移動には睡眠時間など要りません。現在、世界の主要外国為替市場の取引高のうち、モノやサービスに関係のある取引はなんと全体の2%以下に過ぎないと言われています。この背後には金融取引に関する規制緩和や金融市場の統合の潮流が横たわっていることは間違いありません。
 しかし、このマネーのグローバル化が進むに連れて、困った問題も生まれてきています。97〜98年にアジアを起点に発生し、世界中の途上国を席巻した通貨・金融危機、そしてヘッジファンドと