【専任教員の紹介の目次】

くぼた ひろこ

久保田 裕子

 消費者経済学は、経済活動の本来の目的である「人々の暮らしを良くする」ために「消費者」(市民・生活者というとらえ方もできます)の視点から現代の経済社会を解明し、経済や社会のあり方の考察して行きます。多岐にわたる消費者問題の中で、私がテーマにしているのは、食や農や環境に関する問題です。遺伝子組み換え作物の問題、BSE(いわゆる狂牛病)問題、有機農業運動など、たんに個別の安全性問題にとどまらない幅広い内容を含んでいます。
 日本でも世界でも、人々が地域や社会でいきいきと、そして自然環境と調和しなが暮らしていくために、消費者・市民運動、NPO活動が行われています。具体的な問題を取り上げ、参加型アクション・リサーチの方法を取り入れ、実践的に学んでいきたいと思っています。

「あなたは、食品を買う時、パッケージの裏側の商品添加物名や遺伝子組み換え有無の表示を見ていますか? この表示に隠された危険性や問題を知っていますか? 経済社会との深い関係がわかります。また、草食動物の牛に肉骨粉を与え、共食いさせたために起きたBSE(いわゆる狂牛病)の恐ろしさや、被害者にも加害者にもなるマルチ商法で大切な人間関係を壊さないための勉強もします。元気に暮らし、生きる知恵を身につけたい人、必修です!」
(『消費者の経済学』)

 現代社会における私たちの生活は、「消費者」としてのさまざまな「商品・サービス」を購入し、使うことと深く関わっています。かつては、衣食住など多くの物やことは家底で行われていました。今では最も基本的な食事さえ、お店の弁当を購入したり、外食を利用したりというように、家事の社会化が進んでいます。
 私たちは日々、商品・サービスを選び、購入していますが、それらが個々人の生活の内容・質を規定すると同時に、消費者が何を買うか、買わないかが市場経済のしくみを通して、経済社会やさらには資源・エネルギー・環境などにも影響を及ぼしていきます。しかし、「消費者」一人一人は、現代の巨大化した事業者(企業とか会社など)に比べると、市場においては小さな存在です。そのため、多くの消費者被害や消費者問題が生じ、消費者運動が展開されてきました。