【専任教員の紹介の目次】

のむら かずお

野村 一夫

 まず、インフラ、教育、電子商取引、メディア、市民生活等の様々な現場で、実際に何が起こっているのかを知りましょう。情報技術の実態、新たな可能性、事件やトラブル、組織に及ぼす変化や個人の振る舞い方への影響などを勉強して、ネットワーク社会についての理解を深めたいものです。さらに、半世紀ほどのネットワークの歴史と文化についても詳細に知る必要があります。大学の情報教育はそうあるべきです。従来は理系文系を問わず、実践的なハウトゥを施すのみで、結局、無免許運転の運転手を量産していただけでしょう。このことに大学も気づいて仕切り直しをしていますが、本来皆さんが自分で気づいてやっていいことです。ぜひ、情報の空箱だけでなく情報の中身について在学中に試行錯誤を重ねることをお勧めします。

 「今に至る『情報』についての授業です。近年出版された本を中心に解説を行い、情報という枠について考えることができます。授業の進行は板書しつつ説明していくスタイルですが、その量は多く、的確ながらも抽象的ですから、試験が披見不可ということもあり、授業に出て知識を深めることが大切です。現代社会のしくみに興味がある方は必須です。」
(『情報システム』)

 私たちはすでに高度ネットワーク社会に暮らしています。様々な情報技術が覇を競うように開発され、高度な情報システムが私たちを囲い込んでいます。例えば、携帯電話のように瞬く間に普及したメディアがすでに私たちにとって手放せない存在にまでなっています。マルチメディア、イントラネット、サーバー、リナックス、セキュリティと言った言葉が当たり前のように飛びかう現在、もう「知らぬが仏」では済まなくなっていることも確かでしょう。それらについて正確な理解をしていないと、損をしたり、思わぬトラブルに巻き込まれたりする可能性も出てきました。
 この現状に対して、「情報倫理」という概念が注目されています。「倫理」という古びたテイストではありますが、例えば、先端医療が「生命倫理」という新しい問題を呼び起こしたように、先端的な情報技術が「情報倫理」という新しい問題を呼び起こしているのです。