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たかぎ やすのぶ

高木 康順

 政府が政策運営のために「景気」を判断する上では、このように具体的な数値に基づく客観的な根拠を持つことが重要なのです。しかし、様々な場面で別の尺度が必要となります。生産・消費・労働・貿易など経済活動の様々な局面をより細かく計測する統計も必要です。
 『統計学の基礎』では、代表的な統計の性質を学びますが、ただこれらの統計の数値(データ)を漠然と眺めていたのでは何の結論も得られません。どのような経済活動をどのような立場で見るか、その視点を明確にするには経済学の理論を学ぶ必要があります。データを具体的に加工する手法も欠かせません。『計量経済学』では統計数値を基礎に、数量的に裏付けられた結論を得るための手法を学びます。対象となる統計は多量のデータを含んでいるので、処理にはコンピュータが欠かせません。一昔前は自分でプログラムを組み、その計算も巨大な設備が必要でしたが、現在ではパソコン上の表計算ソフトで日常的に必要な分析が行えます。

 「景気」は皆さんが恐らく一番多く接する経済に関する言葉でしょう。この言葉は様々な経済活動の活発さの頻度を指す言葉です。しかし、皆さんはこの言葉が具体的に何を指すのかはっきりしたイメージを持っていないでしょう。経済学が他の社会科学に比べて実社会での応用性が高い理由のひとつに、経済的な概念を実際の統計データで確認し、分析できることがあります。
 『統計学の基礎』の授業で、まず初めに学ぶのは、景気の指標として内閣府や日本銀行が公表している統計がどのように作成され、どのような特徴を持っているかです。それぞれの指数を通じて「景気」という言葉が持つ広がりを、様々な産業の生産水準やデパートの販売額、失業率、物価、そして経営者の心理に関するアンケートなどから具体的な数値にまとめられることが分かります。