【専任教員の紹介の目次】

うんの きよし

海野 潔

剣」だったのです。私たちは資本主義という鉄のような頑丈な檻の中で生きていかなければなりません。
 経営学は、強く実践的な要請から生まれましたので、ややもすると「金儲けの学問」だと誤解されてきました。経営学は金儲けを直接的課題とする学問ではなく、企業(会社)のもつ「両刃の剣」を研究する学問なのです。
 21世紀には、企業経営のグローバル化、世界経済の一体化はいっそう進みますから、こうした経営学研究の必要性はますます高まると思います。企業経営の発展に伴い発生した問題は何か、経営学はこうした問題にどのように取り組み、どのような理論を構築してきたのか、考えてみましょう。
 私はこれまで、一貫してドイツ経営学(経営経済学)の発展を、その成立から第二次世界大戦までを中心に研究してきました。ドイツの政治・経済の大転換期の中で、経済学と並ぶいろいろな視点から研究しています。この問題は、「比較経済学T・U」でお話しします。
 山形県の最上川上流、朝日連峰にいだかれた雪深い朝日町(宮宿)で生まれ、中学卒業までそこで育ちました。田舎で何もない時代でしたので、子供の時は鳩・山羊・兎・鶏・野鳥・トンビ等を飼って楽しみました。近所の農耕馬にもよく乗せてもらいました。こうした生活を貧しいというのでしょうか、豊かというのでしょうか。ともかく今も私の発想の原点は山と雪なのです。

 経営学は、百年ほど前にアメリカとドイツで近代資本主義的企業(会社)の経営や管理を研究する科学として成立した比較的新しい学問です。「企業こそが資本主義の子」と言われるように、今日私たちは、会社と何の関わりもなく生活することはできません。それどころか、一国のいや世界の経済さえをも左右するほどに大きな力を持つようになりました。
 わが国は戦後、奇跡的な経済復興を遂げ経済大国と言われ、物に溢れた豊かで便利な生活を謳歌していますが、その反面で、以前には問題にならなかった多くの問題が発生していることも事実です。私たちは、企業規模の拡大や工業化の発展が、自然破壊的な公害ばかりでなく、人の心や人間・社会関係をも同時に破壊してきたことを知ることが必要です。工業化の進展は、「両刃の