学術フロンティア・画像資料研究フォーラム(1)
「人文科学と画像資料研究」



日 時   7月12日(土) 13時より16時まで
場 所   國學院大學120周年記念1号館 1401教室

内 容
「学術フロンティア作業報告−大場磐雄資料編−」 →関連論文
  荒井 裕介氏(國學院大學大学院博士課程前期修了)

「画像資料と民俗誌」 →関連論文
  倉石 忠彦氏(國學院大學大学院教授)

「考古学的情報としての画像」 →関連論文
  小林 達雄氏(國學院大學大学院教授)

概 要

 2003年7月12日、研究フォーラムの第1回を開催し、実務作業報告および実行委員の研究発表を行なった。

 はじめに、「学術フロンティア作業報告 −大場磐雄編−」として、大場磐雄氏資料の整理作業経過について、作業に携わっている荒井裕介氏から発表があった。
 ここでは、大場資料の概要とその意義、作業過程について紹介された。そして、5年間の作業を省みた上での課題として、保管環境の充実とともに、作業・管理のための常駐者の必要性や、これまでの経験を有効活用するため汎用的な資料整理のマニュアルをフロンティアの成果の1つとして作成していくことの必要性、さらに利用にあたっての指針づくりの必要性を指摘された。

 次いで、倉石忠彦教授が「画像資料と民俗誌」と題し、民俗学の分野での画像資料の可能性について発表された。
 民俗誌を「民俗を顕在化させるもの」と規定した上で、まず民俗学における写真の資料について振り返り、文字資料の補助という性格に加えて、独自の記録資料という性格を指摘された。そして、その写真の記録性に注目して、民俗誌として写真を撮影する、あるいは逆に写真を民俗誌として読むという2つの方向の可能性を提示された。

 続いては、小林達雄教授が「考古学的情報としての画像」と題して発表された。
 まず考古学における「資料」の特性について紹介され、実測図や写真などの提示方法に一定の約束事があることを確認された。しかし、その約束事だけにとらわれていては新しい見方はできないという観点から、岡本太郎の作品などを提示しながら、資料独自の特徴を踏まえた写真の意義について述べられた。

 最後に、小川直之実行委員長の司会のもと、討論が行なわれた。倉石教授、小林教授ともに、約束事にもとづいた資料写真と、学問的主張性のある写真とについて述べられたことから、その両者の関係について議論が交わされた。


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