『國學院大學学術フロンティア事業研究報告 人文科学と画像資料研究』第2集 2005.3.25

学術調査写真の整理・公開の現状と課題
−大場磐雄博士写真資料整理をふまえて−

中村 耕作
(國學院大學大学院博士課程前期)

1.はじめに

 國學院大學には大場磐雄氏・折口信夫氏・柴田常恵氏・宮地直一氏ら考古学・民俗学・国文学・文化財学・神道学の各専門分野にあって重要な業績を残した研究者の膨大な研究資料群が寄贈されている。國學院大學日本文化研究所では、1999年度より私立大学学術研究高度化推進事業(学術フロンティア推進事業)の選定を受け、「劣化画像の再生活用と資料化に関する基礎的研究」のテーマの下、上記研究者の旧蔵資料のうち特に写真資料についてデジタルデータ化を進めてきた。写真資料を含む画像資料は近年その資料価値が改めて認識されてきている分野であるが、一方で図書館学の扱う図書資料や博物館学・文書館学が扱う考古遺物・民具・文書などの一次資料と違って、整理方法の確立が遅れている分野でもある。
 本稿では、学術調査記録に関わる写真資料の整理・公開の問題について、他機関の状況を確認した上で、大場磐雄博士写真資料データベースの構築に関わる成果と課題を提示し、その方法と課題について考えていきたい。

2.学術調査写真の特徴

 近年、文化庁が進める文化財デジタルアーカイブ化、文部科学省が進める学術情報のデジタルデータ化といった施策(1)をうけ、「文化遺産オンライン」、「e国宝」、あるいは「NII学術コンテンツ・ポータル」などの大型コンテンツが公開されてきている(2)。しかし、前者は特定少数の文化遺産を、後者は主として文献情報を対象としたものであり、本稿で対象とするような不特定多数の学術調査写真は文化財・学術情報というカテゴリーには入るものの、その中心からは外れた性格を持っている。従って、学術調査写真の整理・データベース化にあたっては、その特徴を踏まえて独自の方法を構築していく必要があるだろう。
 本稿でいう、学術調査写真とは、その字のとおり学術調査に伴って得られた記録写真である。これらを「資料」として、整理・活用することを考えた場合、その特徴は次の3点が挙げられる。
 まず、写真の被写体あるいは写し込まれている内容自体に資料的価値がある。発掘調査時の状況がその時点でしか記録できないものである考古学、既に失われた文化財の復元などの分野のみならず、撮影者の意図とは関わらず当時の生活が写し込まれている写真から民俗が再発見・提示されるなど、その価値が見直されてきている(3)。これらはいわば博物館学でいう二次資料としての価値と言える。
 次に、資料群としての存在形態が挙げられる。人文科学における学術調査においては、メモ・スケッチ・実測図・拓本・写真・映像・録音テープ・調査カードなどの大量の記録類が発生する。写真はそれら記録類全体、さらには多くの場合、蔵書、原稿、ノート類などの研究資料の一部として存在してきたことが大きな特徴として挙げられる。これらの有機的な関係を念頭において整理を行なう必要がある。これは資料自体が研究対象となり得るものであり、一次資料としての資料的価値である。
 第三に、写真を含む画像の視認性・一般性が挙げられる。文章記録などと違い、画像は一般の人にも馴染みやすく、そこから読み取りうる情報も多い。展示用や挿絵用としての需要は、他の学術資料よりも高いものと思われる。従って、専門家向けの整理を行なうと共に、一般に向けて資料提示を行なうことも必要とされよう(4)。また、例えば〈考古学者が撮影した遺跡の写真に写し込まれた人々の服装〉といった例を考えてみると多分野に適用できる整理方法が求められる。さらに、文書目録と異なり、成果公開時にはその画像もセットで公表されることが多い。目録情報だけでなく、画像自体も同時に扱わなければならないという点で通常の資料整理と異なる特徴を持つ。一定の基準に従った汎用性のある画像内容の言語化が必要とされる。

3.学術調査写真整理の現状

 以上の特徴をふまえ、まずは、学術調査写真の整理の現状について、冊子体目録およびインターネット上で公開されている学術調査写真のデータベースを取り上げて検討したい。最終的な成果公開が冊子体での目録であろうと、デジタルでのデータベースであろうと、その整理に関わる工程は、資料の伝来経緯と現状の確認、オリジナルの保存措置、画像の複写(焼付またはデジタルデータ化)、テキストデータの編集、成果の公開に大きく分けられる。このうち、オリジナルの保存措置、画像複写でのフィルムサイズや解像度、保存媒体の選択に関わる問題については理化学的な問題を含むので本稿では扱わない。従って、資料整理に関して本稿で問題とすべきは、伝来経緯・現状の記録、テキストデータの編集、その提示方法の3つの工程である。

(1)学術調査写真の目録化の現状

鳥居龍蔵博士撮影写真資料(5) 東京大学総合研究博物館では従来学内各所に保管されてきた学術資料を集め、その保存・活用を進めている。その成果は『標本資料報告』として逐次刊行されているが、写真資料については旧人類学教室所蔵の鳥居龍蔵博士撮影写真資料と、ミクロネシア古写真資料のカタログが刊行されている。鳥居龍蔵博士撮影写真資料は、1988年〜1990年に科研費等をうけ(6)、各地域の専門家13名の参加を得て整理が行なわれた。2545枚の乾板は、14の地域分類(種別コード)に分けられ、ID(分類ごとの通し番号)が振られた。まず、乾板を印画紙にプリントし、その画像をフィルムで複写し保存用とした。次いで、各地域の専門研究者によりデータシートが作成され(7)、こうしたデータをもとに、4冊のカタログが刊行された。うち第1部は解説編であり、整理方法、略年譜、台湾・満州・千島・沖縄・西南中国の各調査の概要(旅程・文献・地図等)、写真解説文リストが掲載されている。第2部〜第4部は、全2545点のうち、劣化状況・撮影状態・内容の判明度等から800点の資料が収録されている。収録データは写真と上記データシートの要約である解説文のみである。

ミクロネシア古写真資料カタログ(8) 東京大学総合研究博物館所蔵のミクロネシア古写真資料については、上記鳥居博士撮影写真資料カタログにおいて、「南洋」として649点の資料の存在を発表したことを契機に、オセアニア先史学・民族学を専門とする他大学の研究者であった印東道子氏がその整理を担当し、カタログが刊行された。これらの資料は、日本の委任統治時代に東京帝国大学から派遣された長谷部言人、松村瞭、柴田常恵の3氏の調査に伴って撮影されたものである。カタログではこうした経緯や長谷部氏らの調査の概要が述べられた後、主要な写真100点の図版が、東京大学総合研究博物館写真資料番号・同乾板箱番号、撮影年、撮影地、タイトルをつけて掲載されている。タイトルには英文が併記され、松村氏の報告書に掲載されたものについてはその図版番号も付されている。

中尾佐助文献・資料(9) 大阪府立大学総合情報センターでは、照葉樹林文化論を提唱した生態学者である中尾佐助氏(1916-1993)の研究資料の寄贈を受け、1994年度よりその整理を行なっている。そのうち旧蔵書として図書館に収蔵された資料を除く、文献658件、オリジナル資料121件、研究用資料273件、参照資料118件の目録が刊行された。写真類は、オリジナル資料の中で、スライド、遠征アルバム、写真パネル、写真ネガとして分類され、タイトル、ページ・冊数、注記、請求記号が付されている。

山田秀三文庫(10) 北海道立アイヌ民族文化研究センターでは、アイヌ語を中心とした地名研究者、山田秀三氏(1899-1992)の研究資料の寄贈を受け、1994年度より整理を行なっている。資料は図書、音声・映像、文書、ファイル、地図、写真に分けられ、5冊の目録が刊行されている。また整理状況はニュースレターで逐次報告された。写真資料は、ネガフィルムと焼付写真などで、前者の561点が目録化されている。整理は、地名調査関連ファイルの整理を待って開始され、フィルムのデジタルデータ化を行ない、一方で現物はノンバッファ紙で包装し中性紙封筒に移して保管された。目録ではモノクロとカラーに大別された後、それぞれアイヌ語地名・アイヌ文化関係、複写資料、その他(記念撮影・観光旅行など)の3つに分けて収録されている。項目は、整理番号、資料番号、フィルム種別(メーカー)、サイズ、コマ数、撮影年月日、フィルム状態、記載事項、撮影地、内容、文献、備考の12項目である。備考には写真ラボ名などが転載されている。また、整理方法・撮影写真から見た地名調査・撮影方法・使用カメラ等に関する解説と、市町村単位の撮影地別索引が付く。

鎌倉芳太郎資料(11) 沖縄県立芸術大学附属研究所では、型絵染の伝承者で沖縄文化の研究者でもある鎌倉芳太郎氏(1899-1983)の研究資料の寄贈をうけ、1996年度よりその整理を行なっている。目録は、文献資料目録(ノート目録、収集文書・原稿・文献その他目録)、写真資料目録、染織関係資料目録−紅型型紙の部−に分かれる。このうち、写真資料は大正から昭和にかけてのガラス乾板とその紙焼写真、紙焼写真のデジタルデータ化を行ない、データベースを構築中という。写真資料目録はその紙焼写真1287点を対象とし、番号、分類、名称、遺宝番号、備考の5項目が掲載されている。名称は鎌倉氏の著書『沖縄文化の遺宝』にあるものはそれに従っている。遺宝番号は同書の掲載番号である。備考には、被写体の一般名称が10個程度つけられている。目録には図版は掲載されず、上記の各項目に関する比較的詳細な凡例がついている。

伊東忠太未発表資料(12) 日本建築学会では、建築学者伊東忠太氏(1867-1954)の資料の寄贈を受け、1997年度より整理を行なっている。資料は、遺族らによってフィールドノート、はがき絵、漫画史料、日記、法隆寺関連資料、図面・拓本、巻図面、地図・書籍、書簡、写真などに分類されており、原則としてこれに沿った整理が行なわれた。報告書では、仮目録とともに、上記資料を用いた研究発表記録、フィールドノート1冊ずつの詳細な解題が付されている。仮目録は受入時のダンボール番号+箱毎の通し番号で整理番号が振られ、資料名称、種類・体裁、枚数・冊数、年代、注記が収録されている。今後、より詳細な目録作成が行なわれる予定という。

久保寺逸彦文庫(13) 北海道立アイヌ民族文化研究センターでは、1997年度に寄贈を受けたアイヌ文化の研究者、久保寺逸彦氏(1902-1971)の研究資料の整理も行なっている。資料は図書、文書、写真、音声、映像に分けられ3冊の目録が刊行されている。このうち写真原版はガラス乾板321枚、ブローニーフィルム452枚、35mmフィルム48本あり、目録にはアイヌ文化にかかわりの深い703点が収録されており、撮影年代順に並べられ、それに沿った整理番号が振られている。項目は、整理番号、撮影内容、年月日、撮影地、種別・状態、サイズ、資料番号、図版頁の8項目であり、他の資料を参照して内容等の特定が行なわれている。219点の図版および、撮影地域の一覧、整理作業および資料の特徴に関する解説が付く。

西田栄氏調査研究資料(14) 愛媛県歴史文化博物館では1999年度・2001年度に県内の埋蔵文化財調査・保護に尽力した西田栄氏(1909-1997)の研究資料の寄贈をうけ、その整理を行なっている。資料は写真資料、図面・拓本、書籍に分けられ、うち写真資料は35mmカラーリバーサルフィルム3152点となっている。目録は、資料番号・図版番号・シートタイトル・スライドタイトル・注記・備考の6項目となっており、別途240点のカラー図版を掲載している。また、収録遺跡解説および、西田氏の略歴と撮影内容の解説が付く。

原田敏明毎文社文庫(15) 皇學館大学神道研究所では、1992年〜2002年に順次寄贈を受けた宗教学者原田敏明氏(1893-1983)の研究資料の整理を行なっており、これまでに旧蔵書2冊、写真1冊、研究調査資料1編の目録が刊行されている。写真資料目録は、原田氏による写真台帳の記述に基づき、受入番号、所在地、件名、備考、撮影年月日、受入の6項目が記載されている。基本的にオリジナル資料のままであり、適宜編者の註が入っている。最終的に3665点のデータが収録され、都道府県別、撮影年月日順に並び替えた表が付されている。

東京大学建築学専攻所蔵朝鮮建築・考古資料(16) 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻には塚本靖氏、伊東忠太氏、関野貞氏、藤島亥治郎氏らの調査によって収集された国内外の建築・考古遺物、拓本・図面・模写、ガラス乾板・フィルム・紙焼きなどの資料が保管されている。1998年度から2年間の科研費をうけ(17)、遺物を除く、朝鮮の考古資料に関する整理が行なわれた。このうち、写真資料は728箱、14112枚(ガラス看板11286枚、フィルム2550枚、紙焼276枚)である。写真については、学術標本という性格から内容の保存に重点がおかれ、印画紙の焼付けが行なわれ、中性紙封筒で保管することとされた。また、焼付のデジタルデータ化が行なわれ、テキストデータをあわせてデータベースが作成されている。目録は、箱と写真の2種類が作成された。前者については全個の目録が公表されており、その項目は箱番号(千番単位)、乾板枚数、サイズ、紙焼枚数、旧備品番号、名称、箱書、ラベルの8項目である。写真については、上記の箱のうち朝鮮関係の写真が入っている箱の分のみ公表されている。資料そのものにはメモが残されていないため、既刊文献を参考にして名称が決められた。項目は番号(箱番号+箱内の3桁の通し番号)、分類(楽浪・高句麗等)、国名、名称、文献の5項目である。

冨重写真所資料(18) 最後に、学術調査記録ではないが、本プロジェクトで参考にした目録として、熊本県教育委員会が1996年度〜1998年度に調査した冨重写真所資料の報告書を取り上げる。同所は1866年の開設以来4代に渡って営業した写真所で、その所蔵する写真内容や写真機材は近代史上の重要な資料となっている。調査は、機材、原版・プリント・アルバム、文書、蔵書について行なわれ、論考編、目録編、機材実測図、年表、文書翻刻のついた報告書が刊行されている。目録編は、機材、原版については全点の写真図版とともに掲載されており、前者については目録番号、資料番号、名称、産地、サイズの5項目、後者については目録番号、資料番号、名称、サイズ、撮影時期の5項目が収録されている。なお、写真については調査票と共に、詳細なコンディションリポートも作成された。

(2)学術調査写真のオンラインデータベース化の現状

中尾佐助スライドデータベース(19) 1997年度〜1998年度の笹川科学研究助成を受け、上記の中尾佐助文献・資料のうち、1958年のブータン踏査で撮影された約1,300点のスライドに関して、Webでのデータベース公開が行なわれている。当時ブータンが鎖国状態であったこと、適度な量であること、中尾氏の著書者フィールドノートが揃っていて同定識別が容易であることの3点が挙げられている。まず、画像、スライドコメント(中尾氏の記述の採録)、日程コメント、地図データのファイルを作成、次いで被写体の同定作業とキーワード付与を行なう。また、キーワード検索用に照葉樹林文化関連諸要素の分類体系表(語彙集)を作成し、これと一般名詞を関連付ける検索システムを構築した。同時に植物に関しての学名ファイルも作成されている。また同様に日程情報と地図情報の整理も行なわれた。この他研究者がキーワードや解釈を追加できるような機能も付けられている。以上の作業を踏まえた、中尾佐助スライドデータベースは、中尾佐助資料について、中尾佐助先生について(年譜、調査歴、著作リスト)、ブータン王国について、スライド検索、リンク集、サイトマップなどから構成されており、スライド検索は、キーワード検索と日程検索・地図検索の3つの方法が用意されている。前者は自由に単語を入力できるほか、前述の語彙表を呼出し、それをクリックすることで入力することも可能である。後者は、地図の該当箇所をクリックすることで、その地域に関する写真の一覧が表示される。個々の写真については、スライド番号と日付、キーワードが付される。IDの発行を受けている研究者はID・パスワードを入力することで、このスライドに対しての註釈を加えることが可能である。

東アジア・ミクロネシア古写真資料画像データベース(20) 東京大学総合研究博物館では同館収蔵品データベースの1つとして、上記鳥居龍蔵博士撮影写真資料とミクロネシア古写真資料全点(2545点)を扱うデータベースを2000年より公開している。まず、解説画面が現われ、次に検索画面へと進む。項目は、写真番号・地域・説明・撮影年の4項目で、ソート、詳細/簡易、表示件数の選択が可能である。詳細表示はサムネイル画像とテキストデータ、簡易表示はテキストデータのみの表示である。画像は3段階の選択が可能で、後2者の画像は各4分割、16分割されている(解像度は72dpi)。説明・撮影年の記載はカタログ掲載写真のみで、多くの画像は写真番号・地域のみしか記載されていない。また、ミクロネシアのカタログに掲載されていた図版番号も省略されている。

インド・イスラーム史跡写真資料データベース(21) 東洋文化研究所附属東洋学研究情報センターでは同学インド史跡調査団(1959年〜1962年)の撮影したイスラーム建築遺構写真を建物ごとに整理してきた。イスラーム建築を撮影したものだけで約2万枚の資料のうち、まず4×5サイズの写真約3000枚についてデジタルデータ化を行ない、そのうち地方の諸遺跡に関する771点のデータベースが最初に公開された。最初の公開の日付や現在の収録点数については明記されていないが、データベースは都市一覧−都市解説・施設一覧・施設解説−写真一覧の構成となっており、順次クリックしていくことで写真に到達する。写真一覧については、建物の平面図と写真の撮影方向が付されている。

宮本常一データベース(22) 山口県周防大島町(旧東和町)では同町出身の民俗学者宮本常一氏(1907-1981)の研究資料の寄贈を受け、1997年よりその整理を行なっている。写真類は2001年度までにアルバム171冊、ネガ92124枚(他に未整理約1万枚)、スライド829枚(未整理)等が確認されている。整理は定年後の町民の協力を得て進められ、2004年よりWebでデータベースを公開している。これは、作者情報(年譜・旅譜)、画像、著書、蔵書よりなるもので、画像については14283件のデータが一覧表形式で表示されているほか、キーワード検索も可能となっている。画像データに付属する項目はネガナンバー、フィルムナンバー、撮影年月日、種別、都道府県名、郡市名、町村名、地区名、内容1、内容2、備考の11項目である。

4.國學院大學学術フロンティア事業における実践例

 次に國學院大學学術フロンティア事業における実践例を紹介したい。本プロジェクトでは既に3冊の写真資料目録と1枚のCD-ROM版データベース、4件のWebデータベースを公表している(23)。ここでは、筆者が直接携わってきた大場磐雄博士写真資料を中心とし、適宜その他の資料についても触れていきたい。なお、各資料の整理方法については既に公表されており、詳しくはそちらを参照されたい(24)

(1)資料の概容

 大場磐雄博士写真資料は、ガラス乾板、硝酸セルロースフィルム、35mmネガフィルム等からなる原版資料である。その多くは博士自身の撮影と想定され、これまでにガラス乾板3960点、硝酸セルロースフィルム313点、三酢酸アセテートフィルム3点の計4277点について整理が完了している。この他約820点のガラス乾板と、35mmネガフィルム322本が整理途上である。考古学を基本に文献史学・民俗学を取り入れた神道考古学を樹立した大場氏の幅広い研究領域はこれらの写真資料からだけでも十分窺える。
 博士の没後蔵書(7172件)、拓本・紙焼写真類(190箱)、原稿類・調査票その他(ダンボール約30箱)などと共に本学に寄贈され、蔵書類については図書館から目録が刊行されたが(25)、それ以外の資料については図書館収蔵庫の一角に保管されてきた。前述のように1999年度より学術フロンティア事業の一環として整理が開始された(26)
 また同様に本学に収蔵されていた、柴田常恵資料のうちアルバムに添付された紙焼写真約5000点(2001年度〜)、折口信夫博士資料のうち歌舞伎関連写真・絵葉書2547点(2001年度〜)、宮地直一博士資料のうちアルバムに添付された紙焼写真2796点(2004年度)等についても整理を実施している。

(2)伝来経緯・原状の確認

 宮地直一博士資料を除き、対象となった資料群は学内各所に分散されて保管されてきた。このため全容把握がなされないまま、一部の写真資料を残した形で整理が開始された資料群が存在する。大場磐雄博士資料においても同様であり、現在その別置分の整理が進められている。前述のとおり、これら学術調査記録は他の形態での記録類と関連させていくことが必要であり、また写真資料の整理終了後、そうした別形態の資料整理に移るにあたり、体系的な整理システムを構築することが求められるが、その意味でも資料群の全容をまず把握することが必要であった。
 ただし、本プロジェクト実施中に寄贈の申し出を受けた宮地直一博士資料については、文書調査の経験を持つスタッフによって、書庫の棚毎に番号を振り、またその状況を写真撮影して、その保管状況を記録しており、その状況の一部始終を目録に掲載している。
 一方、写真資料に限って言えば、各資料群ともに原状を生かした形で整理することが基本方針とされ、大場磐雄博士写真資料に関しては、もともとの大箱−小箱−包紙という体系をできる限り保持した形で冊子目録への掲載を行なった(27)。また、その伝来経緯についても若干の記載を行なっている。

(3)画像のデジタルデータ化

 プロジェクト開始当初は、画像のデジタルデータ化とテキストデータの入力・検索を一括して行なうシステムを構築したが、その後、実際の作業を進める過程で、作業効率やデータ管理の容易さの点から、入力作業段階では両者を分離して行なう方法に改めた。
 画像については、一部ミラーリングなどの劣化が認められたためクリーニングその他必要な処置を行なった後、整理番号を振り、6×7フィルムへの複写およびそれによる焼付けを作成した。デジタルデータ化が終了するまでの画像内容の確認は、この焼付けを利用している。整理番号はコレクションごとの略号と、その中での通し番号を組み合わせたものである(例:ob1234)。次に、スキャナーを用いた入力作業を行なう。大場磐雄博士写真資料の場合、1000dpi、グレースケール、JPEG形式を採用した(28)。ここで得た高画質のデータに多少の補正を加え、外部ハードディスク、DVD-RAMなどに保存し、さらに、サイズを落としたデータを公開用に作成した。この作業に関わる課題は、前述のように解像度・保存形式・保存媒体に関わるものであり本稿では深入りしない。

(4)テキストデータの編集

 テキストデータの編集は、保管箱・包紙に書かれたメモの解読からはじまった。オリジナル資料では旧字・記号等が使われており、それらを記録するため、まず市販のノートに書き起こした上で、デジタル入力を行なった。解読には、博士の弟子にあたる方々の協力を頂いた。
 プロジェクト開始当初の項目は上記の管理情報・オリジナル情報・作成情報等が混在し、さらに実用的でない項目立てもあったため、画像のデジタルデータ化が終了した段階で改めて項目設定の見直しを行なった。項目は以下のとおりである。(1)資料番号、(2)グループ名、(3)撮影対象、(4)撮影場所、(5)撮影年代、(6)時代、(7)大箱番号、(8)小箱番号、(9)メモ書(箱)、(10)メモ書(包紙)、(11)原版種類、(12)原版サイズ、(13)文献、(14)備考、(15)画像ファイル名の15項目である。このうち(1)(7)(8)(15)が管理情報、(9)(10)(11)(12)がオリジナル情報、それ以外が作成情報である。また、別に「大箱・小箱一覧」を作成した(29)

(5)中間報告・試験公開

 以上の作業と併行し、2000年度からは年度毎の事業報告において、まとまった量を持つ遺跡の調査写真について試験的に公開を行なった。また、これらは刊行の翌年度にはHTML版としてWeb公開を行なった。この段階では比較的少量であることと、テキストデータが未整備という状況から全体を数ページに分けて閲覧する構成をとった。独自の検索機能は用意しなかったが、外部の検索エンジンからの検索が可能である。そして、このWebによる試験公開をきっかけとして、資料の活用も行なわれ始めたのである。

(6)CD-ROM版データベースの作成

 以上の画像データとテキストデータをもとに、2004年度には既整理分について(株)堀内カラーの協力のもと、ファイルメーカーのランタイムという形でのCD-ROM版のデータベースを作成した。キーワード検索とともに、ページを繰るように順に閲覧することも可能な使用としているほか、気付いた点を書き込む場としてのユーザー用メモ欄も設けている。また、管理者モードではテキストデータの書き換えや、その一括エクスポート、公開/非公開の設定などが可能となっている。なお、画像は100dpi・最大長1000ピクセルとし、これらを別フォルダに格納し、データベースから参照する構成となっている。データベース本体には、解説等がつけられなかったため、解説・凡例、グループ名一覧、大箱・小箱一覧を別に付けた。なお、博士の私的な写真の一部については非公開とした(冊子・Web版も同様)。

(7)冊子目録の刊行

 2004年度末には既整理分のうち前半の2839点について、冊子体の写真資料目録を刊行した。既に、『柴田常恵写真資料目録T』が刊行されていたため、冊子編集上のノウハウは得られていた。
紙媒体の利点として、一覧性の高さや書き込みのしやすやなどがあげられる。デジタル媒体と併用して活用されることを期待している。また、長期保存を考慮し、中性紙ベースのコート紙を使用している。
 解説では、大場博士の略歴、伝来経緯・整理方法、主要な内容について述べた。また、凡例では項目の比較的詳しい解説を行なった。本文は、画像とテキストが一覧できる冨重写真所調査報告書にならった上記柴田目録のレイアウトを引き継ぎ、ノド側に2段で8枚の写真を、小口側にテキストデータを配置、テキスト欄には、大箱・小箱情報を加えて、上記(1)〜(14)の項目を収録した。また、利用の便宜を考え、大箱・小箱別目次と、グループ名(遺跡・神社等の撮影単位)をもとにした地域別索引を作成し巻末に掲載した。

(8)データベース公開

 2004年度末にはCD-ROM版の画像データと冊子目録のテキストデータをもとに、(株)東芝電力社会システム社のデータベースソフト「でんとうなび」を用いてWeb版データベースを公開した。このソフトを採用した理由として、ジャンルごとの項目設定・階層設定・データの入出力などの容易さが挙げられる。一方、ユーザー側の使い勝手については改善の余地を残している。解説等は、既刊の関連文章を収めた本プロジェクトのサイトにリンクを張ることで代えている。本データベースでの提示内容については上記冊子・CD-ROM版と同様であるが、Webデータベースには、多角的な検索、検索結果の保存、他の資料へのリンクなどの諸機能の充実が新たな課題として持ち上がってきた。しかし、公開開始直後ということもあり、そうした問題については、改めて検討したい。

5.学術調査写真資料化の課題

(1)伝来経緯・現状の記録

 この過程の重要性は、資料の全体構造の把握の基礎資料となる点にある。資料の構造的把握を重視した整理方法は、記録史料学の立場から主として資料の発生・累積過程の復元という形で提示されたものである(30)。残っている資料のみを利用するにしても、あるべきものが残っていないという状況を知っているのといないのとでは、その扱いにも大きな違いが生じてくるはずである。
 各資料の全体の中での資料の位置付けが重要となってくるが、伝来経緯を確認し、現在の全容を把握することは、その原秩序復元の第一歩である。しかし、山田秀三文庫等一部の目録において書斎・書棚、整理作業状況の写真が掲載されているものの、そうした情報を詳しく掲載している事例は少ない。その理由としては寄贈を受けた後相当程度の期間を過ぎ、その間の度重なる移転等で原秩序が不明瞭になってきていることがあげられる。記録資料学でこうした点が普及したのは1980年代以降であり、本来の保管状況が記録できる状況になかった事例が多い。前述のように大場磐雄博士写真資料目録においても若干の記述に留まった。その中で、宮地博士資料の詳細な現状記録が残されたことは大きな意味を持つものであろう。

(2)テキストデータの編集

 テキストデータの編集は管理情報、オリジナル情報、作成情報の3つに分けられる。管理情報とは、資料番号、画像ファイル番号、保存場所、公開の是非、記入者等であり、将来的には貸出・閲覧記録等も考えられる。オリジナル情報は、メモ類などの文字情報と、サイズ・材質・コンディション等の物質的情報に分けられる。作成情報とは名称・撮影場所・地域・分類、キーワード、既刊文献の図版番号、報告書名など、整理者によって与えられる情報であり、資料内容によって必要項目は異なる。
 資料整理にあたっては、これらの項目のうち、どれを採用するかが大きな課題となる。特に問題となるのは作成情報であろう。メモ類が残されていない場合、この項目を埋めるにはその分野の専門研究者の存在が必須となる。東京大学や北海道立アイヌ民族文化研究センターでの各種資料整理では、そうした整理方法がとられている。但し、その場合資料数が比較的少ない場合か、多数の中の一部を扱う場合に限られるようである。一方、そうした個別名称の代わりに、撮影内容から読み取れるものを一般名詞で記載する方法もある。鎌倉芳太郎資料や鳥居龍蔵博士撮影写真資料などが該当する。この場合、何をどの程度示すかという基準が必要であるが、後者の人物の欄において性別・世代の選択肢が提示されているのみである。
 なお、「分類」の問題についても一言触れておきたい。大場磐雄博士写真資料においては、「時代」を除き、個別の学問分野に関わる項目は含まれていない。当初の計画では、「石器」・「神宝」等の内容分類に関わる選択肢が用意されていた。しかし、多分野にわたる資料群に対して、異なった分類体系を持つ各分野の分類を体系的に適用することは実際問題として困難であった。1つの被写体が考古資料の石器であり、神社資料の神宝であることは珍しくない。従って、当面こうした分類は見合わせることとした(31)。無論、この問題は資料群の性格によって異なってくるし、デジタル媒体であれば複数の分類体系を併用し、結果をキーワード検索することも容易である。今後、整備していくべき課題である。
 一方で、我々が重視したのは撮影場所と撮影年代の特定である。学術審議会の「画像データベース作成の指針」においても多分野での利用を想定し、両者の明示を提言している(32)。この両者は同定作業を伴うものではあるが、記載書式が統一されており、他の資料群との横断検索を考慮した場合でも必要とされよう。
 オリジナル情報と作成情報の区別も重要である。両者が混在している事例は認められなかったが、オリジナルのメモ類が提示されていない例は少なくない。しかし、前述のようにこれらの資料は単に画像内容の学術的意義だけでなく、その撮影主体に関わる学史的意義も大きい。当時の呼称から学者の認識を知ることができる場合もあるが、現在一般に使用されている名称のみ提示されてしまうとそうした検討ができなくなる。大場磐雄博士写真資料をはじめ、本学学術フロンティア事業全体においてもっとも重視したのが、メモ類の提示である。作成情報と重複することも多いとは思うが、メモ類が残されている場合は、「史料」として提示されるべきであろう。
 これらの課題は冊子目録はもちろんのことデータベースにも適用される。しかし、データベースの場合、こうした詳細な項目が提示されることは少ないように見受けられる。特に大量の写真を扱っている場合、作成情報がほとんど提示されないことがしばしば認められるが、大量であるからこそ検索効率を高めるべき情報の整備が求められる。

(3)成果公開の方法

 これは前述のテキストデータと、複写した画像資料を統合する作業であるが、冊子体とデジタル媒体(CD-ROM版またはWeb版)の2種類に分けられる。また両者とも、画像を付す場合と付さない場合があるが、後者の場合画像を伴うことが一般的である。公開段階で問題となるのは、提示する項目、レイアウト、検索方法の3点である。これらは密接に関わるものであるが、一応別個に検討したい。
 提示項目の選定は、先に若干述べたオリジナル情報をどう扱うかという課題、管理情報をどこまで出すかという課題であり、また同一調査での資料に関しては、箱に書かれたメモ、文献、撮影場所、年代、サイズ等の項目が同一の内容で何枚も続くことが想定できるが、その際の提示方法を考慮する必要がある。冊子の場合、レイアウトとも関わるが何らかの形で一括して提示することが可能である。例えば、東京国立博物館の場合、アルバムに関わる情報はそこに収録されている各写真の冒頭にまとめて記載している。東大建築所蔵資料の場合、文献に略号を振り、別に文献一覧を付している。一方、データベースの場合写真1枚単位で画面がレイアウトされることが多いため、これらの情報は個別に提示された方が便利である。
 次に、レイアウトの問題であるが、冊子の場合は一覧表形式のものが多い。他に、見開きで表を構成する例(東博)、数段で1件を表示するカード形式の例(中尾佐助資料、山田秀三文庫・久保寺逸彦文庫)などがある。また、図版を収録する場合、表と別に図版頁を用意する例が多いが、冨重写真所資料の場合、ページの一端にテキストデータを提示し、横に図版を置くレイアウトをとっている。画像とテキストが一緒に見られるという利点がある一方、多量のテキストデータは収録できないという難点もある。データベースの場合、1件ずつ画像とテキストがセット提示されることが一般的である。
 最後に、検索方法についてふれたい。冊子の最大の利点は、頁を繰りながら一覧できる点にあると思われる。しかし、それだけでは問題であり、配列の順番を考慮する必要がある。地域別、年代別、内容別などの例が見られるが、この他に索引を用意している例もある。久保寺逸彦文庫では撮影場所別の一覧、西田栄資料では解説付の遺跡別の資料一覧が提示され、原田敏明毎文社文庫では都道府県別に並び替えた表も付されている。一方、データベースの最大の利点はキーワード検索が可能である点にある。しかし、実際に使用すれば分かるようにキーワード検索といっても、何をキーワードとして入力してよいのか分からないものが多い。この点、中尾佐助スライドデータベースで検索キーが提示されているのは重要である。こうした問題に対しては、冊子同様順に見ていくという方法も考えられる。その際インド・イスラーム史跡写真データベースのように、地域別なり、内容別なりの選択肢を示し、それをクリックしながら写真を見てもらうという方法も注目される。そうした一般の利用を考慮した場合はなおさら専門用語を必要とするキーワード検索よりも、順次クリックする方式のほうが利用しやすいであろう。ただし、予め必要な資料が分かっている場合はキーワード検索が有効であることは言うまでもない。要するに、両方の検索方法を併用することが有効活用の第一歩であろう。

6.学術調査写真の活用にむけて

 本稿では、学術調査写真という非常に限定されたカテゴリーの資料について扱ってきた。それは、まず「学術資料」としての確実な整理を行なう必要があるという視点に基づいたものである。つまり、資料の伝来・現状の記録化、整理方法の明示、適切な公開方法といった点である。これらは、学術調査写真に限られた問題ではないが、画像自体のデジタルデータ化のみが重視されがちな写真資料の整理においては、改めて肝に銘じるべき点であろう。我々も、当初はそうした点に気付かず整理を進めてきた。作業開始当初に関わる問題についてはもはや手遅れな状況にあるものの、本稿で紹介した諸事例・諸研究を学ぶことによって、ある程度の修正を加えることはできたと考えている。大場磐雄博士写真資料をテストケースとして、この5年間で蓄積した方法論は、既に他の資料群の整理にも応用され成果をあげている。
 情報機器の発達により容易に画像のデジタルデータ化が行なえる状況となった現在、膨大な画像データの中で重要となるのは、いつ・どこで・誰が・何を撮った写真であるのかといった点を伴った画像であろう。また、その活用に向けての資料公開は、資料の特徴を考慮した方法で行なわれなくてはならない。
 本稿で扱った資料についても今後、デジタルコンテンツとして活用されることが期待されるが、その第一歩は基礎情報の整備である。

註 (1)文化遺産情報化推進戦略会議2003「文化遺産情報化推進戦略中間まとめ」http://www.bunka.go.jp/1hogo/bunkaisanjyouhouka_chukan.html、同2004「文化遺産オンライン(試行版)の公開に向けて−今後推進すべき事項と当面進める施策−」http://www.bunka.go.jp/1hogo/houkokusho22.html、学術審議会学術情報資料分科会学術資料部会1996「ユニバーシティ・ミュージアムの設置について(報告)−学術標本の収集,保存・活用体制の在り方について−」、同大学博物館ワーキンググループ1996「学術標本画像データベース作成の指針」http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/gakushin/menu.html、学術審議会学術情報資料分科会学術情報部会1997「学術情報データベースの整備について(報告)」http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/12/gakujutu/toushin/971202.htm、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会情報科学技術委員会デジタル研究情報基盤ワーキング・グループ2002「学術情報の流通基盤の充実について(審議のまとめ)」http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/toushin/020401.htmなど
(2)文化遺産オンラインhttp://bunka.nii.ac.jp/、e-国宝http://www.emuseum.jp/、NII学術コンテンツ・ポータルhttp://ge.nii.ac.jp/
(3)小川直之2004「総説−「民俗」資料の再構築と諸課題」『日本民俗学』239(特集・日本民俗学の研究動向(2000-2002))日本民俗学会
(4)小室正紀2004「福澤研究センター企画 福澤研究センター所蔵写真データ・ベースの構築」『慶應義塾大学デジタル・コンテンツ研究運用機構報告書(2002-2004)』慶應義塾大学デジタル・コンテンツ研究運用機構
(5)鳥居龍蔵写真資料研究会編1990『東京大学総合研究博物館所蔵鳥居龍蔵博士撮影写真資料カタログ』第1部〜第4部 東京大学総合研究博物館標本資料報告18-21 東京大学総合研究博物館
(6)1988〜1989年度文部省科学研究費補助金総合研究(A)「鳥居龍蔵博士撮影の日本周辺民族写真・乾板の再生・保存・照合」(代表者:香原志勢)、1989年度文部省科学研究費重点領域研究「先史モンゴロイド集団の拡散と適応戦略」(代表者:赤澤威)および総合研究博物館の特別研究整理費
(7)その項目は、ID番号、種別コード、旧アルバム記号、新アルバム番号、写真状態、記入者イニシャル、地域、場所(屋内外)、日時、季節、時間帯、民族、人数、男、女、性不明(この3項目は大人・子供・幼児・不明の選択肢がある)、服装、装身具、その他、動物、植物、物、建造物、自然物、行事、文献、キーワード、コメント、鳥居メモ、の30項目である。また複数の写真が一つのまとまりを示す場合は関連写真ID番号表にそれらの番号を記入することになっている。
(8)印東道子1999『東京大学総合研究博物館所蔵ミクロネシア古写真資料資料カタログ』東京大学総合研究博物館標本資料報告34 東京大学総合研究博物館
(9)大阪府立大学総合情報センター編1997『中尾佐助文献・資料総目−照葉樹林文化論の源流−』大阪府立大学総合情報センター
(10)北海道立アイヌ民族文化研究センター1996・1997・2000・2001・2003『山田秀三文庫 図書資料目録』・『山田秀三文庫 音声・映像資料目録』・『山田秀三文庫 文書資料目録T(ファイル)』・『山田秀三文庫 文書資料目録U 地図資料』・『山田秀三文庫 文書資料目録V 写真資料』北海道立アイヌ民族文化研究センター資料目録1、2、4、6、8 北海道立アイヌ民族文化研究センター
(11)沖縄県立芸術大学附属研究所編1998『沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館所蔵鎌倉芳太郎資料目録』沖縄県立芸術大学附属研究所
(12)日本建築学会伊東忠太未発表資料特別研究委員会編2000『報告書−伊東忠太 その実績と資料』日本建築学会
(13)北海道立アイヌ民族文化研究センター1999・2001・2002『久保寺逸彦文庫 図書資料目録』・『久保寺逸彦文庫 文書・写真資料目録』・『久保寺逸彦文庫 音声・映像資料目録』北海道立アイヌ民族文化研究センター資料目録3、5、7 北海道立アイヌ民族文化研究センター
(14)愛媛県歴史文化博物館編2004『西田栄氏調査研究資料目録(写真資料)』愛媛県歴史文化博物館資料目録第11集 愛媛県歴史文化博物館
(15)皇學館大学神道研究所1996・2004a・2004b『原田敏明先生旧蔵毎文社文庫目録』・『原田敏明毎文社文庫蔵書目録』・『原田敏明毎文社文庫写真目録』皇學館大学神道研究所、牟禮仁編「原田敏明毎文社文庫研究調査資料目録」『皇學館大学神道研究所所報』67 皇學館大学神道研究所
(16)早乙女雅博・藤井恵介2000「朝鮮建築・考古資料基礎集成(1)−東京大学大学院工学系研究科建築学専攻所蔵品(1)」『朝鮮文化研究』7 東京大学文学部朝鮮文化研究室、早乙女雅博(研究代表者)2001『朝鮮考古資料の基礎集成とデジタル化活用』平成10年度〜12年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(2))研究成果報告書、早乙女雅博・藤井恵介・角田真弓2002「朝鮮建築・考古資料基礎集成(2)−東京大学大学院工学系研究科建築学専攻所蔵品(2)」『朝鮮文化研究』9 東京大学文学部朝鮮文化研究室
(17)1998〜2000年度科学研究費補助金「朝鮮考古資料の基礎集成とデジタル化活用」(研究代表者:早乙女雅博)。なお本研究は2001〜2004年度「建築古写真のデジタル化と高精度解読に関する研究」(研究代表者:藤井恵介)に引き継がれている。
(18)熊本県教育委員会編1999『冨重写真所資料調査報告書』熊本県文化財調査報告書183 熊本県教育委員会
(19)大阪府立大学総合情報センター中尾佐助スライドデータベース化プロジェクト1999「中尾佐助資料における照葉樹林文化関係スライドのデータベース化と検索システムの構築について」『総合情報センター年報 情報』5 大阪府立大学総合情報センター、小池利栄子・小島篤博・石井敬三・宮本貴朗・山野美賛子2000「中尾佐助資料スライドデータベースの構築と利用者間情報共有への展望」『レコード・マネジメント』No.41 記録管理学会、中尾佐助スライドデータベース http://nakao-db.center.osakafu-u.ac.jp/
(20)東アジア・ミクロネシア古写真資料画像データベース http://www.um.u-tokyo.ac.jp/dm2k-umdb/umdb/TR/
(21)インド・イスラーム史跡写真資料データベース http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~islamarc/WebPage1/htm/index.shtml
(22)米安晟2000・2002「宮本常一と写真」・「宮本常一の本と写真の整理(その二)」『郷土』10、11 宮本常一記念事業策定審議会・東和町、宮本常一データベース http://www.towatown.jp/database/
(23)國學院大學日本文化研究所学術フロンティア推進事業「劣化画像の再生活用と資料化に関する基礎的研究」プロジェクト編2004a・2004b・2005a・2005b『國學院大學学術フロンティア構想 柴田常恵写真資料目録T』・『國學院大學学術フロンティア構想 大場磐雄博士写真資料データベース』(CD-ROM版)・『國學院大學学術フロンティア構想 宮地直一博士写真資料目録』・『國學院大學学術フロンティア構想 大場磐雄博士写真資料目録T』國學院大學日本文化研究所、國學院大學日本文化研究所編『劣化画像の再生活用と資料化に関する基礎的研究』平成11年度〜平成15年度私立大学学術研究高度化推進事業(「学術フロンティア推進事業」)研究成果報告書 國學院大學日本文化研究所、國學院大學学術資料データベースhttp://frontier-db.kokugakuin.ac.jp/
(24)田中秀典2004「柴田常恵資料の整理・保存作業」『人文科学と画像資料研究』第1集 國學院大學日本文化研究所、荒井裕介2004「学術フロンティア作業報告−大場磐雄資料編」(同上)、中村耕作2005「資料デジタル化事業の方法と成果」『劣化画像の再生活用と資料化に関する基礎的研究』(前掲)、加藤里美・中村耕作2005「解説」『國學院大學学術フロンティア構想 大場磐雄博士写真資料目録』(前掲)、高塚明恵2005「折口信夫資料の整理」『國學院大學学術フロンティア事業研究報告 人文科学と画像資料研究』第2集 國學院大學日本文化研究所、根本祐樹2005「整理作業報告報告−宮地直一博士資料編」(同上)、田中秀典・根本祐樹「宮地直一博士資料調査」『國學院大學学術フロンティア構想 宮地直一博士写真資料目録』(前掲)
(25)國學院大學図書館編1988『楽石文庫目録』國學院大學図書館
(26)拓本・紙焼写真類については年度ごとの事業報告に逐次報告し、その前半部について、國學院大學日本文化研究所学術フロンティア推進事業「劣化画像の再生活用と資料化に関する基礎的研究」プロジェクト編 2004 『國學院大學学術フロンティア構想 大場磐雄博士資料目録』I 國學院大學日本文化研究所を刊行した。
(27)柴田常恵写真資料においてはアルバムへの添付順に振った資料番号に沿って、宮地直一博士写真資料においては書庫の各棚に割り振った記号とアルバム添付順に振った資料番号に沿って、それぞれ冊子編集を行なった。
(28)なお、折口信夫博士歌舞伎絵葉書資料は200dpi・カラー・TIFF形式(2001年度)、柴田常恵写真資料・宮地直一博士写真資料は600dpi・カラー・TIFF形式(2001年度・2004年度)と異なっている。これらはネガでなくプリントをスキャンしているが、どの値が妥当であるかについては解決していない。
(29)この作業により、もともと小箱に振られていた番号と、今回振った整理番号とで一部順序が異なるものがあることが明らかになったが、現状では作業開始時の資料番号を主に使用している。
(30)安藤正人1998『記録資料学と現代』吉川弘文館など
(31)柴田常恵写真資料・宮地直一写真資料の冊子目録においては、オリジナル情報の提示を主眼に置きいたため作成情報については一切掲載していないが、今後データベースの横断検索等の機能に合せて、共通項目を整備する必要があろう。また、折口信夫博士歌舞伎絵葉書資料については歌舞伎・絵葉書に特化した項目を多く設定している。
(32)註1参照



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