『平成12年度 國學院大學学術フロンティア構想「劣化画像の再生活用と資料化に関する基礎的研究」事業報告』

解説 大場磐雄と大場コレクション


 大場磐雄博士は自身の考古学研究において、神道考古学を一つの体系として確立したが、それ以外にも内務省神社局嘱託として神宝宝物の調査を実施したり、各地の民俗誌に関わる調査をも実施したりと、多方面での研究活動に従事していた。博士が写真撮影を開始している大正後期から昭和初期にかけては、写真機材の単価が低下し、一般にも広く普及した時期でもあり、アカデミズムにおいても例外ではなかった。特に文化財に関連する分野においては、明治期から写真画像が利用されてきており、また、大場博士は写真画像を考古学研究に積極的に取り入れた柴田常恵博士からの影響も強く受けている。
 これらは研究領域を横断するべく。大量かつ貴重な記録類として後世に残されており、今後有効に活用する事が期待できる。尚、資料は全て國學院大學にて保管している。

大場資料目録−2 弥生時代編−
 大場博士の調査・研究記録類は、博士の死後、國學院大學に寄贈され、現在これらのデータベース化が進められている。これらの資料はなるべくオリジナルの保管状態に近いかたちでの整理が心がけられており、分類は各保管ケース(計18箱) 毎にとどめている。資料の内容は極めて多岐にわたり、紙焼き写真、絵葉書、拓本類、スケッチ、遺構・遺物実測図、スクラップ、地図等がある。

大場磐雄博士写真資料−平出遺跡編1−
 写真資料合計4277点のうち、大場磐雄氏が調査した長野県平出遺跡調査に関連するものは確認されたもので376点である。全てガラス乾板であるが、大きさ・点数は手札版(82mm×107mm)257点、キャビネ版(115×164mm)119点である。このうちキャビネ版はNo.2514〜2581、No.2583〜2632で、それ以外は全て手札版である。今回公表する資料は、著しく劣化しているものや、内容の分類に考慮の余地を残すものはひとまず避け、以後に持ち越した。その結果本資料編で公開する資料は合計で343点となった。

 図版に記載されている情報は、整理ナンバー、撮影内容、撮影期日の順に記載している。整理ナンバーについては、資料の保管されていたケースの順に従って番号を添付し、撮影内容・撮影期日については、ケースに記載された博士のメモをもとに当時の足跡をたどり、さらに公表されている平出遺跡関連の調査報告・書籍等の文献調査や、当時の調査参加者からの聞き取り調査や現地踏査を行った。

 今回、特に写真資料の調査においては、内容の判読等で稲生典太郎氏、小出義治氏から格別な御指導を賜り、さらに長野県塩尻市立平出博物館や長野県内の研究者の方々からも御教示を受けた。

(山内利秋)


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