平成19年度の研究実施計画
@ 研究組織の確立 大学院生等の協力を得て事務局体制を確立し、研究代表者と研究分担者、および研究支援者による定例の「研究員会議」・「研究会」を開催し、研究の進展状況等を確認する。
A 本年度の調査 ア、神社に対する護符アンケート調査の整理・分析とその結果を踏まえた国内の神社の護符・版木調査、イ、台湾・中国における護符の収集・調査、及びウ、起請文料紙に用いられた牛玉宝印の調査、などを実施する。
アについては、平成15〜17年度にかけて行った「護符の文化的・社会的意味に関する基礎的研究」が神社を対象に実施した護符アンケート調査の整理・分析作業を行う。このアンケート調査は全国の神社の内主要2000社を対象として、現在発行している護符の種類や調製方法・機能・護符にまつわる伝承などや、過去に発行していた護符の情報、護符の版木の有無などを質問したものであり、400社余から詳細な回答を得、その概況はすでに科研の報告書の中で公表したが、初めて得られた豊富な内容を持つデータであり、回答を得た各神社のうち必要性の認められる神社については現地調査を実施し、その歴史的情報を踏まえより細かな分析作業を行う必要があると考えている。またイについては、日本の護符の源流が中国の道教の護符にあることは古くから指摘されているが、これについて具体的・実証的な研究を進めるため、台湾や香港・上海などの道教寺院等の調査を実施する。さらにウについては、これまでに蓄積した「起請文データベース」に基づいて、毛利家・山内家・南部家・前田家・細川家等の起請文を順次実地調査する。
B 寺院を対象とした調査の準備 本研究課題では、平成20年度に全国の寺院を対象に護符に関するアンケート調査を実施する予定である。神社を対象とした調査の経験を生かし、回答率を飛躍的に高めるため、これまでの研究成果を集約した報告書を今年度中に作成し、必要に応じてそれを配布するなど活用することで調査対象者の理解を深める工夫をする。
C 海外の護符研究者との交流 平成20年度にピット・リバース博物館(オックスフォード大学)チェンバレンコレクションを調査する予定だが、その準備のためコレージュ・ド・フランス日本学高等研究所に支援を要請するなど、海外の護符研究者との交流を維持、強化する。