公開シンポジウム『職業大学院の現状と将来

※公開シンポジウムは無料にて一般に公開して開催いたします。

 

7月25日(日)13:40〜16:30 会場2303番教室

(趣旨) 2004年4月、法科大学院を中心に90の「専門職大学院」が一斉に発足した。それはわが国の大学における専門職業教育の、新しい時代の始まりを告げるものといってよい。しかし、その新しい時代の新しい専門職業教育の全体像は、残念ながらいまの時点ではまだ、見えていない。

 わが国の大学における専門職業教育は、これまで基本的に学部段階で行われてきた。アメリカに倣ってその主要部分を大学院の修士課程段階に移すべきだという考え方は、第二次大戦後の新しい大学制度の発足以来繰り返し登場し、中央教育審議会等で議論されてきた。しかし専門学部制をとるわが国では、専門職業教育は何よりも学部段階で行われるべきものとされ、大学院は研究者養成の場とみなされてきた。

この間、修士課程大学院の「職業大学院」化の努力が全くされてこなかったわけではない。工学・農学の領域では、技術者として要求される専門的知識・技術の高度化に伴い、修士課程大学院の拡充が進められ、進学者数も年々増加し、また人文系でも教員養成に特化した修士課程大学院が開設されるなど、一部大学院の「職業大学院」化が図られてきた。

さらに2000年の春には、98年の大学審議会答申に基づいて、「専門大学院」制度が発足し、未発達の社会科学系を中心に職業人養成に特化した大学院の開設がめざされた。今回の「専門職大学院」制度は、その延長線上に、一般の大学院とは設置基準も学位制度も異なる、独立の制度として発足したものである。

しかし、その専門職大学院制度は、わが国の大学における専門職業教育全体のあり方の十分な検討を踏まえた上でのものとはいいがたく、(法科大学院のように)学部に於ける専門教育との関係、(ビジネス系のように)一般の大学院で行われている人材養成との関係、(医・歯・薬のように依然として)6年制学部で行われている専門職業教育との関係など、多くの未解決の問題を残し、あるいは新たに提起している。

 このシンポジウムでは、あえて「職業大学院」という包括的な名称のもと、専門職大学院制度の出現によって改めて提示された、一般大学院でのそれを含む大学院段階の専門職業人養成の課題を、法務・ビジネス・教育の3分野を事例に検討し、将来への展望を試みることを、その狙いとしたい。

 ◆司  会  天野 郁夫 氏(国立大学財務・経営センター)

 ◆パネラー  山   氏(同志社大学)

        桑   氏(昭和女子大学)

        平林 勝政  氏(國學院大學)