林唯一

はやし　ただいち
明治28（1895）-昭和47（1972）

　挿絵画家。香川県高松市に生まれる。大阪の関西商工学校を卒業し、松原三五郎の天彩画塾で学び、徳永仁臣に師事する。上京して川端画学校で学ぶ。大正時代末より、新聞や少年少女雑誌などで挿絵を描いて人気を得た。菊池寛「麗人」、牧逸馬（長谷川海太郎）「地上の星座」、江戸川乱歩「黒蜥蜴」のほか、小杉天外の小説の挿絵も手掛けた。挿絵のほかにも農村漁村の風景を描いた画集『郷土の風俗』がある。

◇戦争画との関連

　戦時中には日本少国民文化協会絵画部幹事、日本挿絵家協会委員長を務めた。また海軍の報道班員として中国・ラバウルに派遣された。このときの紀行文『爆下に描く』（中公文庫）が知られる。
　戦争美術関係の展覧会では、昭和18年の陸軍美術展（第1回）、昭和18年の国民総力決戦美術展、昭和19年の陸軍美術展（第2回）に出品している。

◇参考文献

林唯一著、戸高一成校訂　2000『爆下に描く』中公文庫

◇美術館

倉敷市立美術館（岡山県倉敷市）