樺島勝一(椛島勝一)
かばしま かついち
明治21(1888)-昭和40(1965)
挿絵画家。漫画家。現在の長崎県諫早市に生まれる。鹿児島県鹿児島市で育つ。大正2年(1913)に上京して、翌年、日本飛行研究会に入社する。大正4年より『飛行少年』(飛行少年社)に表紙や挿絵を描きはじめる。以後、『帝国少年』(帝国少年社)、『海国少年』(海国少年社)など子供向け雑誌に表紙や挿絵を書く。大正11年、朝日新聞グラフ局編集部に入社。大正12年より『日刊アサヒグラフ』や朝日新聞などに連載した「正チャン」シリーズが人気を呼ぶ。特に「正チャン」シリーズの第一作、「正チャンの冒険」(大正12年1月〜9月)は、初めて”ふきだし”を使用した作品として、漫画史上、重要な位置を占める。
高畠華宵の抜けた講談社の雑誌の担当に、山口将吉郎らとともに入る。大正14年、講談社の雑誌『キング』に渡辺霞亭「獅子王」の挿絵を担当して以降、講談社の雑誌のほぼ全てを手掛ける。特に『少年倶楽部』では、阿武天風「太陽は勝てり」(大正15-昭和2)、山中峯太郎「敵中横断三百里」(昭和6)、南洋一郎 「吼える密林」(昭和7)など有名小説の挿絵を手掛けている。
昭和18年(1943)、財団法人野間奉公会の第三回野間激励賞(挿絵激励賞)。昭和37年(1962)、文芸春秋賞。昭和38年、小学館絵画賞。
船舶画を多く手掛けて、「船のカバシマ」と呼ばれた。また、ペン画の達人として知られた。
◇参考文献
2004『南洋一郎と挿し絵画家展 鈴木御水・椛島勝一・梁川剛一の挿し絵を中心に』弥生美術館
2008『樺島勝一 昭和のスーパーリアリズム画集』小学館クリエイティブ
◇美術館
弥生美術館(東京都文京区)