春には学内で かたくりの花が見られます

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かたくり2003.03.31

   
 大学構内には、「万葉の花の会」教職員の協力で、四季折々の万葉の花が展示されています。場所は総務課の前です。ビルが林立する渋谷にあって、本学の、ささやかなオアシスです。写真は、庭の植栽のスナップです。ちなみに周囲に映っているのは「じゅうにひとえ」です。

 かたくり(『万葉集』では「かたかご」という)は、大伴家持が越中で詠んだ歌であまりにも有名ですが、日本全国にみられる山野草です。東京でも練馬区に群落がありますから、東京近郊の山を歩くとき、運が良ければ、花を見つけることができるでしょう。

 かたくりは、山の 北向きの半日陰の傾斜地で、土地のやせた雑木林を好みます。花の開花は桜とほぼ同時です。本学でも、東京の開花宣言とともに咲き始めました。花の命は1週間ほどで、陽があたると花弁を上にあげて咲き、日差しが陰ると、うつむいて閉じてしまいます。5月頃、葉は枯れはじめて、地上から姿を消し、来春までの長い眠りにつきます。

 かたくりはユリ科の多年草で、球根と種子でふえます。球根は1−2センチほどの小さなもので、これからとれる澱粉が本当の「片栗粉」です。私たちが通常片栗粉と言っているのは、ジャガイモの澱粉なのです。花 ・葉はゆでてお浸しにします。昔は食用にするほど、沢山自生していたのでしょう。

 しかし今やかたくりは貴重な花です。葉が2枚でると、花が咲きます。1枚葉のものは、花をつけません。実生から花が咲くまでには、8年もかかるといいます。山野草は 、見て楽しむだけにしましょう。

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