美しい漢字の形、漢字の変遷に興味をもって手習いをしてきました。かつての古文字学は、甲骨文・金文・石刻など、刻したものが中心でした。しかし近年では戦国時代・秦漢・三国・西晋と、簡牘や帛書
・残紙が多く出土し、肉筆の生き生きとした実物が見られるようになりました。石刻の文字は形は非常に整えて刻され、姿正しいものが多いのですが、いざ習おうとすると筆順に途惑う事がよくあります。ところが肉筆では、かえって通行体のことも多く、いままで不明のものでも筆順がはっきりしていることがあります。このところ、書体の変遷の中で、筆順の変化がどのように進んだのか、それが書体の形成にどのように影響しあったのか興味を持っています。古文字資料の出土は質量とも甚大で、今日ではその研究が追いつけない状況です。文字に興味のある人々の参入が望まれています。
〔その後一年〕
漢字字の筆順の変化は、書体の変遷に伴い、戦国中晩期から後漢の中後期にかけて、二回の変革を経て今日とほぼ同様になりました。その第二回目の変化は、漢代の草書の新たな筆順が行書に影響し、行書の筆順がその後の隷書の成立に直接関係したようです。
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