【倫理学】
講義のテーマ 「生命倫理」の検討、および「倫理」の概念把握 講義の内容・目的 まず現代における代表的な倫理問題としての生命(特に人間生命)にかかわる諸問題を検討する。即ち、脳死・臓器移植、体外受精・人工受精、安楽死・尊厳死等々をめぐる諸問題を受講生の諸君と一緒に考えていく。 次いで「倫理」の概念把握を行う。倫理という言葉は、まさに言葉としてはよく知られているが、その割にはよく分からないというやっかいなものである。そこでまず倫理の一般的概念の把握を試みる。その上で西洋思想の著名な倫理思想を検討する。 この講義の内容は、上記のように二種類あるわけであるが、時間的には「生命倫理」に重点がおかれる。――この授業を通して倫理学の面白さに触れてもらえれば幸いである。 |
【 哲学概論】
講義のテーマ 哲学的思惟の理解と西洋哲学におけるその顕現の把握 講義の内容・目的 「哲学的に考える」ということはどのようなことか。言い換えれば、「哲学的思惟」とは何か。――言うまでもなく、我々人間は考える能力を持っている。そして日常的に思考している。しかし実のところ思考しているにしても、余りに当たり前すぎて思考しているということそのこと自体を意識することはまれである。「思考していることあたかも空気を吸うが如し」である。したがって、この考えるという能力が以下にすばらしい稀有な能力であるかということも自覚することがほとんどない。 さてこの講義では、このような考えるという能力を改めて意識に上らせて、それをまさにそれ自体として把握しようとするのである。しかし考えるという能力を考えるのは、この考えるという能力以外にはないのであるから、このような把握の試みは、思考の思考、思惟の思惟、つまり思考あるいは思惟の自己認識である。このような自己認識を哲学的思惟と呼ぶのである。そしてこの講義はこのような哲学的思惟を捉えようとするのである。 |
【基礎演習2】
哲学者たちの思索を問う 講義の内容・目的 『命題コレクション 哲学』(坂部 恵・加藤尚武編、筑摩書房)を読む。この著作は、古代ギリシア以降の西洋哲学の流れの中から、哲学者51人各々の基本命題を選び、それを基礎にして彼らの思索を考察したものである。この著作を読み進めながら、哲学における問題の所在とその解明を追思惟してみたい。
演習では予め報告者(原則として1名)と質問者(数名)を決めておく。そしてテキストの然るべき範囲(哲学者2人の2命題を予定)を前以て指定しておき、まずその内容を報告者に報告してもらう。その上で質問者に質問や意見を出してもらい討論に入る。
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【哲学演習3】
生と死の倫理 講義の内容・目的 現代の代表的な倫理問題としての生と死に関わる諸問題を検討していく。テキストは、日本生命倫理学会の機関紙『生命倫理』通巻10号−12号(1999−2001年)の中から論文26篇を選んで用いる。受講生はこれらの中から自分が解明してみたいと思う問題を取り扱っている論文を予め一つ選ぶ。そしてそれについて調べてきて、授業時に報告する。またそれと共に、毎回数名の質問者を選んでおき、報告内容について質問等をしてもらう。その後皆で討論する。
以下、取り上げる論文の題名をいくつか挙げておく。 「バイオエシックスと未来文明」 「臓器移植によって誰が助けられるべきか・・・?」 「遺伝子解析の生命倫理」
「クローン人間禁止理由の法哲学的吟味」 「安楽死と尊厳死―法律的考察―」 「患者の自己決定権と医師の裁量権の定義づけ」 「生命倫理における宗教的輸血拒否」
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【哲学演習4】
講義のテーマ カント哲学を通して認識論と哲学的・論理的思考を理解する 講義の内容・目的 カントの『純粋理性批判』(Kritik der
reinen Vernunft)を読む。 この著作は哲学を学ぶ者にとって必須のものと言ってよい。というのも哲学の「イロハ」からその高度の内容まで、言わばすべてを知らしめてくれる古典的名著だからである。
何よりもますこの著作には、哲学が誕生して以来今日にいたるまで提起されてきた哲学問題のほとんどが含まれているといっても過言ではないのである。この演習を通して、カント哲学の素晴らしさに、そして更に哲学という学問そのものの面白さに触れてもらいたいと思う。
演習は予め数名の報告者と質問者を決めておく。そしてテキストの然るべきページを指定しておき、まずその内容を報告者に報告してもらう。その上で質問者から質問や意見を出してもらい、討論に入る。
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