博物館専門・特殊実習 学外実習②熊本県球磨郡水上村

実施期間:2010年9月1日から9月7日
指導教員:青木豊(文学部教授・取組実施代表者)
     落合知子(文学部准教授・博物館専門・特殊実習担当教員)
参加学生:博士課程在籍者 神道学・宗教学専攻1名、博物館学コース3名、考古学コース1名

 本プログラムでの博物館専門実習・特殊実習の一環である実習調査の第2回目が、9月1日から9月7日の行程で、青木教授・落合准教授の指導の下、5名の学生を含めた計7名の参加者により、熊本県球磨郡水上村鎮座の市房山神宮(本宮)・一宮神社(中宮)で行われた。
(調査場所が空港から遠隔地に位置する関係上、本格的な調査は9月2日から行われた。)
 まず、市房山中腹に鎮座する市房山神宮(本宮)拝殿に奉納されている絵馬33点及び、本殿内部の奉納品類から調査を、市房山神宮宮司工藤駿介氏、一宮神社禰宜尾方立氏、同権禰宜尾方聖多氏に協力を仰ぎつつ行った。
 市房山神宮(本宮)拝殿の絵馬は三十六歌仙を描いた物であり、拝殿の壁上方を取り囲むように配置されていた。長い年月を経て絵部と、絵馬を留めている和釘双方に劣化が進んでいた。そのため、容易に外す事の出来た数枚には胡粉の剥落防止処置を行い、それ以外の資料については、資料の破損の恐れから、取り付けられた位置から写真撮影を行った。保存処理を行った絵馬の裏書きは、いずれも寛永9年に相良徳千代丸が大願主として奉納されたとあり、他も同様のものと推定される。
 絵馬調査の後、市房山神宮本殿内部の調査を行い、崇敬者より奉納された鳥居様の鉄製・ブリキ製模造品数十基、武器様の鉄製模造品数点、懸仏二点を、特に保存・資料化実習の対象として取り扱った。
 3日からは市房山の麓に鎮座する一宮神社(中宮)の社務所を作業所としてお借りして、引き続き調査を行った。調査の主な内容としては、2日に市房山神宮(本宮)本殿で調査した資料の洗浄・写真撮影・計測等台帳化に必要な作業、および一宮神社の本殿と一宮神社摂社の稲荷社奉安の資料類を調査の対象として取り扱った。
 一宮神宮本殿も市房山神宮と同様に三十六歌仙絵馬や、鳥居・武器様の鉄製模造品数十点などが奉納品として安置されていた。それらを全て作業所に移し、市房山神宮(本宮)と同様の作業を行い資料化を行った。
 その中で特筆すべきものとして、特徴からして中世頃の作品と思われる無釉の土器五点があり、地元の有識者からの意見でも他に類を見ない資料であることから、実測図の作成や印花紋の拓本製作など特に詳細な資料化を行った。
 その他、宿舎においても青木教授の指導の下、実測図の製作実習や、相良村教育委員会参事の出合宏光氏を講師に招き、講演を賜るなど、神社での実習のみならず、宿舎においても充実した時間を過ごすことが出来た。

実習風景1 実習風景2 実習風景3
実習風景4 実習風景5 実習風景6


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