2013年度 國學院大學経済学部「アンケート調査」『生協、スポーツ、アプリケーション、ディズニーリゾート、音楽と映画についての調査』資料
音楽のジャンルについての補足
この資料は、2013年度 國學院大學経済学部「アンケート調査」『生協、スポーツ、アプリケーション、ディズニーリゾート、音楽と映画についての調査』(以下、「本調査」と称す)の「設問30 あなたが好きな音楽のジャンルを、つぎのなかからすべて選択してください」の回答選択肢を補足するためのものです。音楽のジャンルは人によって解釈が異なりますが、本調査の設問30の回答選択肢では、ロックのように細かく分類したジャンルや、「R&B、ソウル」のように広義に分類したジャンルがあるため、この資料を作成しました。以下、一般的な用法とは若干異なる分類もありますが、本調査の設問30については、この分類に準拠して回答していただけるようお願い致します。
1_クラシック音楽:クラシック音楽とは、広義のポピュラー音楽(ロックやR&B、ヒップホップ等を含む)およびヨーロッパ以外の伝承音楽ではない芸術音楽のことを指します。したがって作曲家や演奏者が日本人を含むヨーロッパ系以外の人であっても、クラシック音楽に含みます。また、21世紀に作曲された曲であっても、ポピュラー音楽以外の芸術音楽であればクラシック音楽に含みます。
代表的な作曲家:ヨハン・セバスティアン・バッハ、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、坂本龍一、久石譲
2_フォークソング:フォークソングとは、伴奏を主にアコースティック・ギターとし、ロック・ミュージックのように電気楽器を取り入れない演奏形態により作成された楽曲を指します。一般的には、シンガーソングライターが作詞作曲し、アコースティック・ギターを弾きながら歌うという演奏スタイルが主流です。
代表的なアーティスト:ボブ・ディラン、さだまさし、井上揚水
3_外国のポップ・ミュージック:ポップ・ミュージックとは、広義のポピュラー音楽のうち、マニアックな曲調のロックやR&Bではない「一般受け」する曲調で、かつ人気のある音楽のことを指します。
代表的なアーティスト:マイケル・ジャクソン、レディー・ガガ、デュラン・デュラン
4_R&B、ソウル:「R&B、ソウル」とは、ジャズ、ヒップホップ、ハウス、ロックを除く、アメリカ合衆国で生まれた、おもにアフリカ系アメリカ人が担い手であるポピュラー音楽の総称です。R&B(リズム アンド ブルース)は、1960年代にはソウル、1970年代にはファンク、1980年代にはブラック・コンテンポラリーと呼ばれたことがあったが、ここではこれらを包括して「R&B、ソウル」と呼びます。
代表的なアーティスト:テンプテーションズ、サム・クック、マディー・ウォーターズ、スティーヴー・ワンダー、マライヤ・キャリー
5_外国のヒップホップ:ヒップホップとは、歌唱がおもにラップ(:韻を踏んだトーキング・スタイルのボーカル)である音楽スタイルを指します。もともとの「ヒップホップ」の「伴奏」は、ブレイク・ビーツ(間奏部分)やリズムマシーンを用いたものでしたが、ここでは楽器演奏による楽曲も含みます。
代表的なアーティスト:グランドマスター・フラッシュ、エミネム、ルーペ・ファスコ
6_ハウス:ハウスとは、リズムマシーンやMIDIで4つ打ち(よつうち)、すなわち1小節にバス・ドラムを4等分して叩くダンス音楽のスタイルを指します。1980年代のハイエナジーとユーロビートも「ハウス」に含めてください。
代表的なアーティスト:フランキー・ナックルズ、トゥー・アンリミテッド、ダフト・パンク、イブリン・トーマス、マイケル・フォーチュナティ
7_レゲエ:レゲエとは、ジャマイカで生まれた、4分の4拍子での2・4拍目にリズムギターやキーボードによるコード、3拍目にスネアなどのドラムという二重のオフビートを刻むリズム・スタイルの楽曲を指します。
代表的なアーティスト:ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ、モーガン・ヘリテージ、T.O.K.
8_ジャズ:ジャズとは、器楽演奏を中心とする、アメリカ合衆国で生まれ、おもにアフリカ系アメリカ人が担い手である音楽を指します。ただし、ジャズと「R&B、ソウル」とが分化する以前の、ルイ・アームストロングやビリー・ホリディなどが歌う歌唱曲も含みます。また、1970年代にクロスオーバーやフュージョンと呼ばれた電気楽器を使用した楽曲も含みます。
代表的なアーティスト:マイルス・デイビス、ジョン・コルトレーン、ウェザー・リポート、渡辺貞夫
9_外国のオルタナティブ・ロック:1990年台に発祥したロックのひとつのジャンルです。
90年代には、それまで全米チャート上位を独占していた既存の1980年代風のハード・ロックやヘビー・メタルとは違うタイプのロックが台頭しました。そのような新たなロックスタイルを既存のロックと区別するために、オルタナティブ・ロック(他の選択肢の、型にはまらないロック)というジャンルが生まれました。現在でもハード・ロックやヘビー・メタルの要素を含まず、80年代から90年代のアメリカのバンドと音楽性に親和があれば、オルタナティブ・ロックに該当するといえます。曲調としては、エレクトリック・ギターをハード・ロックのようにエフェクターで加工するのではなく、簡素で自然なギターサウンドが多いです。また、リフなど定型的とされていたヘビー・メタルのような奏法や速弾きソロなどは用いないバンドが多いのも特徴です。
具体的なアーティスト:ニルバーナ、レット・ホット・チリ・ペッパーズ
10_外国のハード・ロック:1960年代後期に確立したロックのジャンルのひとつです。エレクトリック・ギターをエフェクター等で激しく歪ませると共に、バンド全体で重低音を強調したサウンド形態です。また、エレクトリック・ギターの歪のレベルが、オルタナティブ・ロックのように「浅く」なく、ヘビー・メタルのように「細かく」もなく「粒が粗い」のが特徴です。
代表的なアーティスト:レッド・ツェッペリン、エアロスミス
11_外国のパンク・ロック:1970年代中頃に生まれたロックのジャンルのひとつです。当初は政治的な思想を含む歌詞を、派手なパンクファッションで演奏するのが特徴でしたが、その傾向は現在のパンクバンドに引き継がれていない場合が多いです。曲調としては、コード進行が単純でシンプルの構成の曲が多く、ハード・ロックやヘビー・メタルとは異なり、ギターソロが少ないことが特徴です。またハード・ロックやヘビー・メタルと比べるとパンク・ロックは重低音重視の重苦しいサウンドではないので、爽快感の感じられる曲調の楽曲が多いです。さらに、オルタナティブ・ロックとは異なり、「粒の細かい」エフェクトをエレクトリック・ギターに掛け、激しさを強調していることもパンク・ロックの特徴です。
代表的なアーティスト:セックス・ピストルズ、Sum41
12_外国のヘビー・メタル:ハード・ロックの延長線上にあり、1970年代後半に発祥したロックのジャンルのひとつです。曲調として、ギターサウンドが、ハード・ロックよりさらに重低音を意識した「ヘビー」で、激しく歪ませている場合が多いです。それは、ヘビー・メタルがハード・ロックの限界点を迎えた後、より激しいロックが求められた末に誕生したジャンルということに起因しています。また、他のロックジャンルとは異なり、ギターやベースのチューニングを下げて、通常より低い音が出せるようにしていることやギターソロも重視していることが特徴です。したがって、他の大衆性のある音楽ジャンルとは異なり、歌よりも演奏で魅せる楽曲が多いのが、ヘビー・メタルの世界観だといえます。
代表的なアーティスト:アイアン・メイデン、ハロウィーン
13_その他の外国のロック:回答選択肢9〜12にはない他のロックのジャンルをここに含めることとします。例としては、プログレシップ・ロック、グラム・ロック、エモ、メロコア、パワーポップ、スラッシュ・メタル、デス・メタル、スクリーモが挙げられます。
代表的なアーティスト:ビートルズ、ローリング・ストーンズ、キング・クリムゾン、デビット・ボウイ
14_J-POP:J-POPとは、1991年以降にリリースされた日本のポピュラー音楽のうち、フォークソング、R&B、ソウル、ハウス、レゲエ、ジャズ、J-ROCK、J-HIPHOP、アニメソング、演歌、映画、ゲームのサウンドトラックを除く楽曲を指します。J-WAVEという日本のFM局とレコード会社との協議によって誕生した、広く日本のポピュラー音楽を指すジャンルです。主に日本で流行している大衆性のある楽曲であれば、J-POPに該当するといえます。したがって、洋楽のジャンルである「ポップ・ミュージック」と同様に曲調による線引きはなく、聴き手がどこまでを「流行」であり、かつ「大衆性」があるのかを判断することによって分類される曖昧なジャンルであるといえます。
代表的なアーティスト:嵐、AKB48、松任谷由実(1991年以降)
15_J-ROCK:J-POPと区別し、おもに日本で活動しているアーティストによるロック・ミュージック全般を指すジャンルです。J-POPほど浸透していませんが、後述するJ-HIPHOP同様に、CDショップやCDレンタル店にて、このように日本の楽曲がカテゴライズされることがしばしばあります。
代表的なアーティスト:UVERworld、ONE OK ROCK
16_ヴィジュアル系:一般的には「V系」と呼ばれることが多い、日本のロック・ミュージックジャンルの一つです。派手で過激な化粧や髪型、衣装で演奏するファションとそのスタイルが表現する世界観が一番の特徴です。曲調は、基本的にヘビー・メタルに近いような暗く激しい場合が多いですが、キャッチャーで明るい曲やバラードソングもあり、音楽性の幅は非常に広いといえます。また、ボーカルパートには、ヴィジュアル系のバンドにしか見られない特徴的な「クセ」があります。そして、ヴィジュアル系バンドのファッションは、男性に受け入れられることが少ないため、ファンの大多数が10代および20代の女性であることも特徴です。
代表的なアーティスト:X-JAPAN、DIR EN GREY
17_J-HIPHOP:J-POPと区別し、日本で主に活動しているヒップホップアーティストによるジャンルです。洋楽ジャンルである、「HIPHOP」と同様にDJを中心としたバックトラックに、MCによるラップを乗せるというスタイルが一般的です。
代表的なアーティスト:ケツメイシ、RIP SLYME
18_アニメソング:「アニソン」とも呼ばれることが多く、主に日本のアニメ作品のオープニングやエンディング、挿入歌として用いられる楽曲を総称するジャンルです。またここでは、アニメ作品に用いられるBGMや声優によるキャラクターソングも「アニメソング」に含まれることとします。また主題歌には、原則として使われるアニメのイメージと世界観を体現している楽曲が使用されます。そして、主題歌として選曲される手法には、そのアニメの主題歌のために制作する場合と、何らかのアーティストからアニメの世界観に合う楽曲を「借りる」場合とがあります。後者の場合は、当然ながらその曲調によるジャンルの分類と、「アニメソング」という2つの分類ができます。そして1960年代から1990年代前半までは、前者の手法が多かったですが、1990年代後半から現在では後者による方法でアニメの主題歌が決まることが多いです。
代表的な曲:『ちびまる子ちゃん』のオープニングテーマである、B.B.クイーンズの「おどるポンポコリン」、『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングテーマである、高橋洋子の「残酷な天使のテーゼ」、第一期『けいおん』のエンディング・テーマである、桜高軽音部の「Don’t say “lazy”」
19_歌謡曲:歌謡曲とは、1991年以前にリリースされた日本のポピュラー音楽のうち、フォークソング、R&B、ソウル、ハウス、レゲエ、ジャズ、J-ROCK、J-HIPHOP、アニメソング、演歌、映画、ゲームのサウンドトラックを除く楽曲を指します。本来の意味は「現代日本を代表する大衆歌曲」ですが、1991年以降、新たに「J-POP」というジャンルが登場したため、「歌謡曲」という言葉はあまり使われなくなりました。したがって、現在は、「J-POP」というジャンルが使われる前の大衆音楽を「歌謡曲」と呼ぶのが一般的です。また、音楽業界では歌謡曲と演歌をまとめてひとつのジャンルとすることがありますが、演歌には独特の歌唱法と特徴的な音階があるので、両者は違うジャンルだといえます。
代表的なアーティスト:美空ひばり、坂本九、ピンク・レディー、松任谷由実(1991年以前)
20_演歌:演歌とは、日本のポピュラー音楽のうちの、小節(こぶし:歌詞の1音節を複数の音程で発音する歌唱法)と演歌型ビブラート(音程の変化が長2度以上と広く、音程の変化がゆっくりとしたビブラート)という歌唱法を特徴とする楽曲のことを指します。
代表的なアーティスト:北島三郎、都はるみ
21_ゲーム、映画のサウンドトラック:大ヒットしたゲームや映画のサウンドトラックは、ヒットチャートの上位に上がることもあります。2000年代にゲームや映画のサウンドトラックが動画投稿サイトにアップロードされたことにより、サウンドトラックのマニアックなイメージが払拭させられ、音楽のひとつのジャンルだという認識が定着していきました。
大ヒットしたサウンドトラック:タイタニック、ファイナル・ファンタジーシリーズ
22_K-POP:1990年代から日本において、韓国のポピュラー音楽を国内の音楽と区別するために使われ始めたジャンルです。東方神起を始めとした男性グループも活躍していますが、現在では2010年前後から日本に進出する女性アイドルグループを「K-POP」と呼ぶことが多いです。また近年、日本に韓国からの女性アイドルグループが連続して進出している背景には、韓国人にとって日本語は習得しやすく交渉がしやすいという点、日本のレコード会社にとってある程度育成されたアーティストを輸入することは、ビジネスリスクが低い上に、コストパフォーマンスが高いという点が挙げられます。音楽性としては、電子音を多用したノリの良いダンスチェーンが多いです。またアイドルグループであるためテレビ番組やファッションショーにも出演し、ライブでは、ダンスパフォーマンスを強調している場合が多いです。
代表的なアーティスト:東方神起、T-ARA
23_その他:「その他」は、選択肢1から22に含まれない音楽ジャンルを指します。つまり「その他」には、伝承音楽(伝統の様式を変えずに継承している音楽形態)である日本の民謡、外国の伝承音楽(民族音楽)、ゴスペル、ポピュラー音楽のうちのカントリー・アンド・ウェスタン、サルサ、カリプソ、サンバ、ボサノバなどが含まれます。
代表的なアーティスト:ガース・ブルックス、ファニア・オール・スターズ、マイティ・スパロウ、エリゼッチ・カルドーゾ、アントニオ・カルロス・ジョビン