WWW(World Wide Web)に指示を与えるHTML(Hyper Text Markup Language)によるハイパーリンクは、Deleuze and Guattari(訳1994:34)が「n次元からなる線形の多様体、主体も客体もなく、存立平面上に平らに広げられ、そこからつねに<一>が引かれるような(nマイナス1)多様体」であるリゾーム(rhizome)の性質に類似している。
 図5−1は2分割×2階層のディレクトリィ構造、つまりルート・ディレクトリィを含めて7つのディレクトリィがあり、便宜的に各ディレクトリィにひとつずつ計7つのファイルがあり、計7つのファイルから他のすべてのファイルにハイパーリンクが張られているという前提において、ディレクトリィ構造を実直線矢印で、ハイパーリンク構造を点曲線矢印で表記したものである。ディレクトリィ構造においては、ファイル間関係は6本の実直線矢印となる。ハイパーリンク構造においては、一方向のハイパーリンクであっても双方方向のハイパーリンクであってもファイル間関係を1つと数えた場合、ファイル間関係は7つのファイルから2つ選択する組合わせの数、すなわち7!/2!(7-2)!=21本の点曲線矢印となる。

図5−1 ディレクトリィv.s.ハイパーリンクと樹木v.s.リゾームとの類似点【戻る】【本書の目次へ】

※出典:小木曽(2000:58)