第4章 第3節 組織と自己組織化【第4章の目次へ戻る】

 ここでは、社会システムの下位類型である組織への自己組織化モデルの適用を試みる。まず、最初に、なぜ、組織理論に自己組織化モデルを導入する必要があるのかという理由を述べる。そして、自己組織化という視点から組織概念を再定義し、組織における自己組織化過程についての検討を行う。
 組織理論に自己組織化モデルを導入する理由とは、官僚制理論やコンティンジェンシー理論などの機械モデルは非公式組織を軽視し、ヒューマン・リレーションズは原子論的性格が強く、また、これらの既存の理論は組織変動や柔軟な組織化を説明できないといったように、既存の機械モデルや原子モデルによっては、組織現象を充分に説明できないためである。さて、組織とは、組織による組織成員への統制などの上意下達の組織過程と、これに対する組織成員の応答行為などの下意上達の組織過程から構成される社会関係のことであり、このような社会関係などからゆらぎが生まれる。組織における保存的自己組織化は、管理者による公式構造の設計によって、組織環境の多様性を削減したり、組織内のゆらぎを削減し、自己準拠的な組織の目標や状況の再定義を抑制する。一方、組織における散逸的自己組織化は、ゆらぎの自己増幅過程、および、新しい秩序や構造の自己創出過程という二つの継起する過程から構成され、自己準拠的な組織の目標や構造の革新を促進する。

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