今回紹介する研究集会は、國學院大學の21世紀COEプログラムにおいて、神仏関係の歴史的実態を専ら把握する最後の機会となる。そこで、歴史の上で神道と仏教の関係が具体的かつ顕著に抽出できる、高野山と丹生明神との関係を題材として採り上げ、
(い)丹生明神に対する高野山のかかわり方はどのように推移していったのか
(ろ)丹生明神を祀る人々に高野山がどのような影響を与えていたのか
といった点などについて、仏教から見た神祇の姿や社会的背景、人々の実際の行動から明確化することを目的とする。
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紀伊国伊都郡の丹生明神と弘法大師・空海との出会いは、真言宗根本修禅の地・高野山開山の一大転機となった。以来、高野山における明神への信仰と、明神を祭神として奉斎する天野の丹生都比売神社は密接不可分の関係を保ち続けている。
このような関係が成り立つ背景には、神社神職や真言宗の僧侶、さらには地元の人々の明神に対する高い意識が存在することはいうまでもなく、そうした点を直視しつつ、時代の移り変わりによる推移を追い、儀礼行法を実践面から検討することは極めて重要な課題といえる。
幸いなことに最近、「丹生輝代麿家旧蔵文書」などに代表される丹生都比売神社関係の文献史料の整理や、「山の正倉院」とも称される高野山の山内文書の把握が進みつつある。そして、神社による『丹生都比売神社史』の編纂事業も進捗しており、今後研究が着実に進んで行くものと期待される。
そこで今回は、発題者が基本的理解事項や論点、そして整理の進んだ文書そのものの史料的性格を抽出し、それを端緒に上記目的を達成するための討議をしていきたい。
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○日時
平成18(2006)年7月29日(土)13時30分〜17時30分
※当初お知らせしておりました時間が若干変更になりました。
○会場
國學院大學 渋谷キャンパス 120周年記念1号館3階 1303教室
(会場までの案内はこちら http://www.kokugakuin.ac.jp/about/campus.php)
○特別報告
丹生 晃市(丹生都比売神社宮司)
演題「高野山における丹生明神遷座祭を奉仕して」
○発題
加瀬 直弥(國學院大學講師)
主題「古代の高野山と丹生都比売神社」
高木 徳郎(和歌山県立博物館学芸員)
主題「中世の高野山と丹生都比売神社」
伊藤 信明(和歌山県立文書館研究員)
主題「近世の高野山と丹生都比売神社」
藤井 弘章(國學院大學講師)
主題「丹生都比売神社の祭祀と民俗」
○批評者
山本 信吉(元奈良国立博物館館長)
山陰 加春夫(高野山大学教授)
米村 直之(國學院大學講師)
○進行司会
加瀬 直弥
藤井 弘章
○総合司会
岡田 莊司(事業推進担当者)
参加費は無料です(弁当等の準備はありません)。
お申し込みの必要はありません(ただし、当日は受付でお名前・ご住所等をご記入いただきます)。
問い合わせ先
國學院大學21世紀COEプログラム研究センター
東京都渋谷区東四丁目10-28(〒150-8440)
電話・ファクシミリ 03-5466-0132
http://21coe.kokugakuin.ac.jp/