全体テーマ
「古代東アジアの異文化間交流と文化形成」
日時・会場
12月13日(土)10時〜18時 本学 120周年記念館1103教室
14日(日)10時〜18時 本学隣接 院友会館3階
◇第1日(12月13日)
「韓国古代の前方後円墳と日本の古墳文化」
報告
朴 天秀 韓国の前方後円墳からみた古代韓日交渉
李 鎔賢 韓国古代の全羅道と百済・加耶・倭
柳沢一男 韓国の前方後円墳と北・中部九州
土生田純之 前方後円墳をめぐる韓と倭
鈴木英夫 韓国の前方後円墳と倭の史的動向
◇第2日(12月14日)
「古代東アジアと日本の宗教・信仰の交流」
報 告
杉山 林継 古墳時代の海上交通と信仰
高 慶秀 韓国扶安竹幕洞祭祀遺跡の文化複合−海辺と航海の祭祀−
岡田精司 外来の護法神−日本古代を中心に−
増尾伸一郎 中国撰述経典と道教の流伝−日本と朝鮮を中心として−
三橋 正 日本的信仰構造の成立と陰陽道
◇開催の趣旨◇
國學院大學21世紀COEプログラムのなかで、日本と東アジアの異文化間交流を主要な研究課題にすえるグループは、2003年度も前年度に引き続き韓国全羅南北道での現地調査のほか、交易文化、入唐日本僧・在唐新羅人社会、前方後円墳について、院生を中心としつつ、時にゲストを招いての定例の研究会をはじめとして研究事業を推進している。
この度の第2回国際研究会議は「古代東アジアの異文化間交流と文化形成」と題して日本・韓国の研究分野を代表する第一線の専門家を多数招き、共同で日本と東アジアの歴史・文化の実態と特質に再び接近しようとするものである。
会議は前年度と同じく2つのセッションを設けた。第1は「韓国古代の前方後円墳と日本の古墳文化」である。これについては、去る9月13日、熊本市で同一テーマを掲げたプレ・シンポジウムを催したばかりであり、この度はそれを踏まえて行われる。
日本の古墳時代に特徴的な前方後円墳が韓国西南部の全羅南北道に13基存在するほか、倭系の内部構造や遺物をもつ古墳が知られる。これらに影響を及ぼしたのは熊本・福岡両県の墓制・葬制であり、その葬送儀礼が伝わったものとされる。これらの古墳の被葬者あるいは造営者については、倭系百済官人、倭系移住民、慕韓人、親百済の在地勢力など諸説があり、まだ定見をみない。そもそも前方後円墳は倭王権の政治秩序とかかわるとされるが、それが葬送儀礼を通して社会規範や価値観念を表すにしても、結局、文化内容を示すだけで倭国の画一的な政治体制までは示さないとの異論もある。この文化と政治の両面をみせる古墳が韓国古代に出現することの意義も多様な視角から捉えるべきであろう。日本考古学や古代史がそうであるように、地域社会の展開、地域間の交流に即した歴史的な解釈が望まれる。この度は日韓の考古学・古代史の研究者が一堂に集まり、ちょうど古代国家形成期に進められた古墳の造営のディテールの探究によって、社会・支配・交流とともに、文化・信仰・儀礼の実態を解明し、ひいては国家周辺や東アジア規模の歴史・文化のありように迫る。
第2は「古代東アジアと日本の信仰と交流」である。前年度は「神祇・仏教の東アジア異文化間交流」を課題に、9〜12世紀の僧侶たちが中国山東の山神を招致し赤山明神なる護法神として再現させ、他方で在地神を新羅明神として創出させるという、異文化の受容と変容を仏教を含めて議論した。この外来神の日本化の過程の問題とともに、日本内部での神仏習合はもとより、神道・仏教・陰陽道、道教など多様な信仰・宗教・思想の諸関係の実態と、そのシステマティックな状況の理解いかんが大きな課題として浮上した。あわせて日本と東アジアの異文化交流では収まらないアジア的規模での究明の必要も指摘された。この度はそうした成果を承けて、東アジアでの古代・中世の信仰と海上活動の関係、海辺ないし航海の祭祀に表れた朝鮮・日本・中国各地の交流と文化複合を取りあげる。ついで平安時代日本の外来の護法神を通しての神仏信仰のありよう、アジアに遡源する道教・陰陽思想とその日本受容後の様相、神道・仏教・道教・陰陽道の宗教システムの形成と日本文化、という問題を具体的に討議し、研究の深化を図るものである。これらの研究によって、古代の神道や固有信仰の捉え直しと新たな位置づけも可能になるだろう。
本会は参加自由です。
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電話 03−5466−0237(史学研究室)
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