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ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> a. 調査 >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」
フランス パリのコレージュ・ド・フランスにおけるベルナールフランク護符コレクションを中心とする、護符調査 
公開日: 2004/10/20
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1. 調査テーマ
フランス パリのコレージュ・ド・フランスにおけるベルナールフランク護符コレクションを中心とする、護符調査

2. 調査日
2004年9月13日〜19日

3. 調査地
フランス パリ    コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所
スイス  ジュネーブ ジュネーブ市立民族博物館

4. 調査参加者
千々和 到(國學院大學教授 事業推進担当者)
太田 直之(國學院大學21世紀研究教育計画嘱託研究員)
森  悟朗(COE研究員)

5. 調査の目的
  本調査は、昨年度に引き続いて、パリのコレージュ・ド・フランスに寄託されているベルナール・フランク護符コレクションの調査・整理を行うことを主たる目的としている(昨年度の調査、本コレクションの性格などについては神道と日本文化の形成と発展に関するパリ・ロンドン調査報告参照)。今年度の調査にあたっては、コレクション全点の写真撮影の終了を第一の目標とし、また、可能な限り護符原本の観察と調査カード記入を行うこととした。
  同時に、昨年度調査において情報を得ていた、ジュネーブ市立民族博物館の護符コレクションについても、可能であれば実見して、ヨーロッパにおける日本の護符コレクションの全体像を見通すことを目指した。

6. 調査の概要
 昨年度の調査において、コレクション全体の規模がほぼ1000点程度という見通しを得ていたが、今年度全点の写真撮影が終了した結果、フランク・コレクションの全体像が判明し、総数が1000点を超えるものであることが確認できた。
なお、護符の整理・分類に関しては、今調査の方針として、当面は収集者であるベルナール・フランク氏が行っていた分類に従い、護符の像容によって一点毎の分類番号を付し、整理を行うこととした。その結果、像容毎の各点数は下記の通りとなった。

如来部 釈迦如来 13、阿弥陀如来 25、薬師如来 29、大日如来 13
菩薩部 弥勒菩薩 4、観音菩薩 166、普賢菩薩 5、文殊菩薩 15、虚空蔵菩薩 22、地蔵菩薩 39、
明王部 五大明王 2、不動明王 55、愛染明王 6、烏枢沙摩明王 7、六字明王 1、五大力 3、護法童子 5、大元帥明王 2
天 部 帝釈天 4、毘沙門天 22、弁才天 36、鬼子母神 12、大聖歓喜天 4、摩利支天 5、妙見菩薩 21、青面金剛 3、閻魔 5、仁王 4、韋駄天 1、その他 2
神 部 稲荷 15、牛頭 2、七福神 5、大黒天 47、恵比寿 7、福禄寿 1、寿老人 1、蔵王権現 5、愛宕明神 2、天狗 5、秋葉明神 7、淡島明神 3、荒神 23、その他 40
高僧部 達磨 2、聖徳太子 9、役行者 8、伝教大師 2、弘法大師 25、元三大師 27、興教大師 1、法然 1、親鸞 3、日蓮 12、その他 15
宝印部 牛玉宝印 5
大型(タテ1m程度のもの。護符というよりは掛絵)  15

未整理(コレクションの整理作業を進める中で、新たに発見されたもので、分類されていないもの) 168
要検討(中国・台湾・韓国等のもの) 28

総点数 1,015(なお、同じ寺社発行の護符で版が若干異なるものなどについては、同一番号に枝番を付けて処理したものもあり、実際の護符の総点数はこれより少しばかり多くなる。)

 以上がフランク・コレクション全体の概要である。この分類自体は仮のものであり、今後調査結果の整理・分析、データベース化の作業を通じて見直すべき点も出てくると思われる。例えば発行寺社・地域別の分類方法などもあり得るであろうが、今後の課題としたい。
 今調査に関しては、今年度全ての写真撮影が終了し、現地での調査予定は一応の完了を果たした。また、一点毎の調査カードに関しても未整理分を除いて作成済みとなっている。今後は未整理分調査カードの記入と、全点の調査内容の見直し、調査カードのデジタルデータ化(現在約40%が終了)を行い、最終的には全点の画像と基礎データが閲覧可能なデータベースを作成・公開する予定である。

 さらに、今年度調査では、スイス・ジュネーブ市立民族博物館に所蔵されている、フランスの考古学・人類学者ルロワ・グーラン収集の護符コレクションについて、基礎的な調査を実施した。
 このルロワ・グーラン収集護符コレクションについては、昨年度のコレージュ・ド・フランス調査の際に、同館学芸員のジェローム・デュコール氏から直接情報提供と整理についての相談を受けており、今年度のフランス調査の過程で、コレージュ・ド・フランス側の強力な支援を受けて急遽ジュネーブ市立民族博物館を訪問することができ、館外の研究者としては初めて実見させていただく機会を得たものである。
 この結果、本コレクションは、フランスの著名な考古学・人類学者であるルロワ・グーランが来日した1937年から39年にかけて収集されたもので、フランク・コレクションより一世代前の戦前のものであり、総点数も1000点余(現在整理進行中)に及ぶと思われ、フランク・コレクションと並ぶ大規模で貴重な護符コレクションであることが判明した。またルロワ・グーランの収集方針として同種の護符の時期の異なるものを意識的に集めている点、フランク・コレクションに比べて神社や修験道関係の護符が多い点などが特徴的であった。
 今回の調査では時間的な制約から、コレクション全体を通覧し、特徴的な護符のみをピックアップして写真撮影するのみにとどまったが、本コレクションは今後の護符研究を進めていくにあたって、大変重要なコレクションであり、今後どのような形で整理作業に協力することができるかを検討中である。


ジュネーブ市立民族博物館での聞き取り風景
ジュネーブ市立民族博物館での聞き取り風景
写真向かって右から2人目が松崎氏、3人目がデュコール氏

グーラン・コレクションの一例
グーラン・コレクションの一例(護符の脇に、グーラン自身の書き込みによる注記がある。)

 最後に、今年度の調査でも昨年度に引き続き、コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所所長の松崎碩子氏をはじめとするスタッフの方々やフランク夫人にまことにお世話になった。ここに感謝の意を表したい。また、同時期に調査に入られた東京大学史料編纂所の方々のご協力にも深く感謝する。 

(文責 太田 直之)

 
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