| ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> c. 国際会議・シンポジウム >> 総合 総合シンポジウム(第1回)「神道とその周辺」 | |||
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| 1.開催目的 今回のシンポジウムは、神道及び日本文化、さらに周辺の文化に関する知識を持つ外部研究者からの知見を得ながら、これまで進められてきた個別的な事業成果をいくつか発表し討議することで、実のある神道・日本文化の研究拠点形成計画を決定するためのものである。 なお、開催に先立ち、本拠点の事業推進担当者や若手研究者などの間で、事業推進を相互に理解するための研究会を3回行った。 2.開催日時 平成16(2004)年12月3日(金)〜4日(土) このうち12月4日は、神道宗教学会との共催で実施した。また、12月5日(日)は、神道宗教学会および国史学会で関連研究部会・シンポジウムが実施された。 3.開催場所 國學院大學 4.講演者・シンポジウム発題者等(敬称略) ◆基調講演(12月3日 14:00〜17:00・120周年記念2号館2203教室) ・講演者 小松和彦(国際日本文化研究センター教授)「神道と霊魂観―民俗学の立場から」 諏訪春雄(学習院大学名誉教授)「アジアの中の神道」 ・司会 井上順孝(事業推進担当者・拠点副リーダー) ◆シンポジウム(12月4日 10:00〜17:00・120周年記念1号館1105教室) セッション1(テーマ「基層文化からの視点:祭師と神事」) ・パネリスト 小川直之(事業推進担当者)「神迎えと祭壇−薩壇をめぐって−」 ��敏文(中国社会科学院研究員)「中国トン族の民間信仰および神霊観念」 ・コメンテータ 青木周平(事業推進担当者) 辰巳正明(事業推進担当者) ・司会 城崎陽子(COE研究員・文学部兼任講師) セッション2(テーマ「東アジアからの視点:儀礼に与えた影響」) ・パネリスト 杉山林継(事業推進担当者)「東アジアにおける鏡に対する思考の異同」 吉田恵二(事業推進担当者)「日本と中国の古代俗信遺物」 ・コメンテータ 小林達雄(拠点リーダー) ・司会 藤本強(事業推進担当者) セッション3(テーマ「神道の儀礼と外来の儀礼」) ・パネリスト 岡田莊司(事業推進担当者)「神道の祭祀と陰陽道」 浅野春二(事業推進担当者)「道教の儀礼 −その基本的な構成と特徴について−」 ・コメンテータ 三橋健(事業推進担当者) ・司会 鈴木靖民(事業推進担当者) 総合討論 ・コメンテータ Kyburz, Josef A.(フランス国立科学研究センター研究主任) ・司会 井上順孝 5.シンポジウムの概要 5-1.内容 ◆基調講演 ![]() 小松氏はまず、自身の手法である実証的な民俗学について提示し、その上で、時代ごとに神道の特質を捉え、「自然」「怨霊」「顕彰」「国家」「慰霊」といった5つの段階を経て現在に至っていることを指摘した。さらに氏は、神仏習合や先祖祭祀との関係、さらに「祟」の祭祀による鎮圧が神道の原型と位置付けられる点についての言及を行った。 ![]() 諏訪氏は、中世のアジア社会の中における神道の位置づけを中心に講演した。氏はまず、鎌倉新仏教が誕生に至った経緯が、中世神道の成立と類似する点という視点を提供し、その上で具体的に、仏教・儒教・道教の諸要素の影響を受けつつ形成されたものと論じた。また、能や神楽などが包含する、室町時代まで遡りうる要素を抽出し、それが中国南部の仮面劇と共通する点を詳細に述べ、アジア全体の社会変動が日本の政治や宗教に影響している点などを強調した。 ◆シンポジウム ![]() 第1セッションでは、小川氏によってトン族の祭師(司祭者)の持つ社会的な役割に関する報告を行い、さらに、崇拝対象物の形態が石や樹木など一様ではない点などの、トン族の祭祀に関する報告を行った。 また、��氏は、そうした祭祀の具体的な検証を行い、トン族が「日常的に神霊に支配されている」と考えている点や、先祖祭祀の形態にトン族固有のものと漢民族との関係で伝来したものが併存していることなどを指摘した。 ![]() 第2セッションでは、まず杉山氏が、朝鮮半島における鏡の出土状況から、鏡を意図的に破壊して用いているといった使用態様に関する推測を行い、その上で日本列島での鏡の使用形態の変遷過程についての枠組みを提示した。 吉田氏は、鎮墓文や買地券などの、中国における俗信遺物を類型化して採り上げたが、これが日本に影響を及ぼしたかどうかについての検証結果も同時に報告した。具体的には、中国の影響は飛鳥時代以後にならないと認められず、弥生時代から古墳時代にかけては存在しないと考えられるといった指摘をした。 ![]() 第3セッションは、岡田氏が平安時代の陰陽道について報告した。この中で岡田氏は、神道と陰陽道の祭祀の相違点について論じ、穢れとの関係から神職の活動に制限があったことが、陰陽道の発展につながったこと、9・10世紀の国風文化形成のなかで、日本独自の宗教の構図が完成し、陰陽道が成立したこと、陰陽道の幅広い展開が、神道の性格を広げていく機能を果たした点、などの指摘があった。 さらに浅野氏は、中国における道教儀礼を中心とする発表を行った。すなわち、日中比較をするに当たっては、影響関係に直接的なものと間接的なものがある点や、宗教的性格の差異や文化的な違いに配慮すべきであるという基本的視座を説明した上で、中国における道教祭祀の具体例を、史料を中心に類型化し、この時点でいくつかの儀礼形態が複合的になされていたことについての言及があった。 ![]() ![]() 以上3セッションを受けた総合討論では、まずKyburz氏より、(1)アジア社会での信仰要素の共通性を見極めた後には、西洋との比較の可能性があるという点と、(2)神と人との関係を考慮するに当たって、水平軸と垂直軸という2つの視点が存在することに留意すべきである、というコメントが得られた。 その後質疑応答ないし発題者からの補足説明がなされたが、この中では、(1)特に中国少数民族の文化の中にどれだけ漢民族の要素があるか、(2)神道的な儀礼とその他の儀礼との共通性が、いかなる理由で発生したか、(3)日本と外国の文化諸相の共通点が生じた経緯はいかなるものか、等の議論があった。 このシンポジウムで抽出された神道・日本文化に関する諸相は、更に拠点内で分析議論を行った上で、今後の計画に反映させる必要があるため、報告の具体的な意義付けについては省略させていただきたい。ただ、小松氏が提示した時間軸での神道の姿や、諏訪氏の抽出した東アジア全体の社会の流れと連動する神道像をはじめとして、様々な手法や視座から積極的な神道・日本文化像が一堂に提示されたことが、今回のシンポジウムの意義の一つであり、今後はこれをいかに整理していくかが大きな課題であることが明白となった。その際に、さらなる「普遍性」を実証するための検証方法の確定と、吉田氏、岡田氏が言及しながら余り議論されなかった神道・日本文化そのものの「独自性」の解明が重要な意味を持つことにも、十分な注意を払うべきであると考える。 文責:加瀬 直弥(21世紀研究教育計画嘱託研究員) |
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