ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> a. 調査 >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」 日光東照宮文庫調査 | |||
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1 調査テーマ 日光東照宮文庫における徳川将軍家日光社参及び儀礼関係史料調査 2 調査日 平成17年8月23日(火)〜25日(木) 3 調査先 栃木県日光市 日光東照宮文庫 4 調査参加者 根岸 茂夫(國學院大學教授・事業推進担当者) 吉岡 孝 (國學院大學兼任講師) 種村 威史(國學院大學大学院博士課程後期) 笠井 希予志(國學院大學大学院博士課程前期) *以下ボランティア参加 上江 規夫(國學院大學大学院博士課程前期) 小林 由佳(國學院大學大学院博士課程前期) 榎本 博 (國學院大學大学院博士課程前期) 田中 信行(國學院大學大学院博士課程前期) 5 調査の内容と成果 今回は、日光東照宮文庫が所蔵史料を目録化した「日光東照宮文庫所蔵史料目録」を基にして調査した。目録順に史料を調査して約140点の書誌をとり、史料の内容・性格を検討した。そのうち約半数を撮影した。調査の対象とした史料は、これまでの日光社参に加え(1)日光東照宮年中行事、(2)東照宮御神忌法会、(3)近代に収集された史料、などに範囲を拡げた。以下に主な史料を列記する。 (1)日光東照宮年中行事 「年中行事」(4類11号) 正徳5年10月 齊藤大学光継・古橋隼人義英他4名 1冊 「神事年中行事 一」(4類7号)寛政9年12月 中麿遠江介・古橋伊勢介他3名 1冊 「東照宮年中行事大概」(4類2号)明治18年3月 東照宮社務所 1冊 これらは日光東照宮の年中行事について社家側が記した記録である。近代の史料もあり、近世からの変容を知ることができる。 「日光山修繕雑記」(5類14号) 3冊 日光東照宮の年中行事の中でも最も重要な、4月17日の東照宮祭礼とその関連行事についての史料である。表紙に「西荘文庫」の蔵書印があり、伊勢商人で蔵書家としても著名な小津家の旧蔵書である。戦後東照宮文庫に入ったものであるが、近世の情報の問題などからも検討すべき良質な史料である。 (2)東照宮御神忌法会 「東照宮五十回忌御法事記録之外留書」(5類1号) 寛文5年 1冊 「東照宮五十回御忌記」(5類2号) 寛文5年 1冊 「日光御神忌御法会次第 一」(5類3号)(近世) 1冊 「正徳五年東照宮百回御忌雑記」(5類13号) 正徳5年 1冊 「百五十回神忌記録」(5類10号) 明和2年乙酉10月 4冊 「御神忌御書付御書取留」(5類3号)文化11年〜文化12年 1冊 「日光御法会寺社奉行伺」(5類3号) 文化11年12月〜12年 1冊 「東照宮二百五十回御忌表日記」(5類4号) 元治3年 1冊 「東照宮二百五十回御神忌」(5類11号)(近世)1冊 徳川家康の50回忌から250回忌まで、50年ごとに行われた東照宮御神忌法会の記録である。関連する書付、触書から上使、幕府役人、公家の動向や、各方面からの贈答、当日の儀式次第など豊富かつ詳細である。行列図や座次についての絵図もある。総じて社家側からの神事・法会記録として有用であり、今後検討を加えていく。 (3)近代に収集された史料 「大日本史料抄」(2類5号)大正7〜12年 28冊 『東照宮史』編纂に当った平泉澄氏が大正7年11月下旬〜12年10月22日にかけて大日本史料稿本より抄録した旨、また広野三郎氏が専ら筆写した旨が記されている。東照宮関係の史料が慶長14年〜明治18年にわたって記されており、幕府・朝廷関係の史料の抄出が多い。『大日本史料』未刊の部分も含まれているので、今後研究を進める上で重要な史料である。 「晃山拾葉」(3類16号) 30冊 元和3年東照宮御鎮座附御遷座之記をはじめに、日光東照宮に関わる文献を網羅した史料叢書。第1巻には全30巻の総目次があり、第30巻の最後に30冊分の引用書目一覧が記録され便利である。『東照宮史』編纂の際、書写された史料であり、奥書には大正8年10月に平泉澄氏が東京帝国図書館本から謄写した旨が記されている。 紹介したもの以外にも様々な史料をみることができた。今後、調査した史料の分析から、今まで検討を重ねていた日光社参の研究に加え、日光における神事・宗教儀礼、日光をめぐる江戸幕府と朝廷との交渉など、さまざまな問題を抽出し、近世における祭祀儀礼と江戸幕府について、研究の拠点形成を図るとともに、さらに調査を続けていきたい。 なお、調査にあたり東照宮宮司稲葉久雄氏、東照宮文庫参事青山隆生氏に、多大な御配慮と御教示を賜った。ここに深謝する次第である。 (文責:笠井希予志) |
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