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神道・日本文化研究国際シンポジウム(第4回) 「オンライン時代の神道研究と教育」 開催日 平成17年9月17日(土)13時〜17時半、18日(日)10時半〜17時 会場 國學院大學120周年記念1号館1階1105教室 タイム・スケジュール 9月17日(土) 挨拶及びシンポジウム趣旨説明 井上順孝(事業推進担当者・國學院大學教授) 〈セッション1〉 司会 ノルマン・ヘイヴンズ(Norman Havens、事業推進担当者・國學院大學専任講師) 発題1 色音(中国、社会科学院研究員) 「インターネットから見た中国大陸の神道情報−その分類と分析−」 コメント 住家正芳(國學院大學21世紀COEプログラム研究員) 発題2 スティーブン・コベル(Stephen G. Covell、アメリカ、西ミシガン大学准教授) 「アメリカで日本の宗教を教えるときの問題−教育方法:インターネットの利用を中心に−」 コメント ライアン・ワルド(Ryan Ward、國學院大學日本文化研究所調査員) 発題3 ペトラ・キーンレ(Petra Kienle、ドイツ、マールブルク大学日本研究センター研究員) 「神道・日本文化の研究及び教育に対するドイツ語圏の新たなチャレンジ−インターネットはどう活用できるか−」 コメント 黒崎浩行(事業推進担当者・國學院大學専任講師) 9月18日(日) 〈セッション2〉 司会 櫻井治男(皇學館大学教授) 発題4 小松和彦(国際日本文化研究センター教授) 「「怪異・妖怪データベース」の構築とその活用について」 コメント 加瀬直弥(國學院大學21世紀研究教育計画嘱託研究員) 発題5 ジャン・ミシェル・ビュテル(Jean-Michel Butel、フランス、国立東洋言語文化研究所助教授) 「ベルナール・フランク教授のお札コレクション−インターネットによる日仏研究協力の事例−」 コメント 平藤喜久子(國學院大學日本文化研究所専任講師) 〈セッション3〉 司会 井上順孝 発題6 ジョン・ベンテリー(John R. Bentley、アメリカ、北イリノイ大学准教授) 「日本書紀のデジタル化−利点とチャレンジ−」 コメント 真田治子(埼玉学園大学助教授) 総合討議 1.趣旨 現在、インターネットの普及、資料・データのデジタル化、データベースの蓄積とオンライン公開、ブログの急速な普及などによって、研究や教育の環境は大きく変わりつつある。とくにオンラインによる資料の入手、公開、研究情報の交換は、今後いっそうその度合いを増していくと考えられる。 そのような大きな変化が研究・教育の現場にもたらしつつある影響の意味を、神道の研究と教育という具体的事例を通して考察することを目的として、神道・日本文化研究国際シンポジウム第4回は、「オンライン時代の神道研究と教育」をテーマとして掲げた。 2002年度より、神道研究の国際的研究ネットワークの形成をめざし、連続して開催してきた神道・日本文化研究国際シンポジウムにおいてはこれまで、神道研究の専門家が少ないこと、多くは日本研究の一部として行なわれていること、神道の基本的文献や日本の研究をもっと国外に発信していく必要性が求められていること、神道の概念自体に日本と国外とでは議論に違いがあることなど、さまざまな点が明らかにされてきた。 これらの問題は、いずれも情報環境の変化によって大きな影響を受けるものであると考えられる。そこで本シンポジウムでは、現在の情報環境がどのように利用できるかということを一つの焦点とすることによって、これまでの連続シンポジウムでの議論に新たな光を当てるとともに、今後、国際的な神道研究のネットワークを形成するために求められる共同研究のあり方を探ることを意図した。 2.内容 色音氏は、インターネット上の中国語サイトに流れている神道に関する情報を、神道一般についての紹介、靖国神社に対する批判および評価、日本人による研究論文の中国語訳、新刊などの書籍情報と書評など10項目に分類してそれぞれの具体例を紹介し、その利点や問題点について分析を加えた。 コベル氏は、アメリカでの自身の講義体験に基づき、宗教を学習することと実践することを学生に理解させることや、ネット上の情報を鵜呑みにしないよう指導することの重要性を論じた。その上で、そのような問題に対処するための具体的な教育方法を、実際に教育現場で活用しているサイトなどを紹介しつつ考察した。 キーンレ氏は、日本宗教に関するインターネット上の情報を資料として扱うテュービンゲン大学のプロジェクトを紹介し、「見えない宗教」の概念や、レリジョン・オンラインとオンライン・レリジョンの区別を鍵として、日本の宗教関連サイトを分析した。さらに、マールブルク大学で始められている、インターネットを活用した日本宗教の講義を紹介した。 小松和彦氏は、国際日本文化研究センターのホームページを通じて公開している「怪異・妖怪伝承データベース」について、制作者の立場から意図や経緯、利用状況などを報告した。さらに、このデータベースの活用事例として、野生動物の分布状況とその動物に関する怪異話の分布状況についての数量的な研究を紹介した。 ビュテル氏は、ベルナール・フランク教授の収集したお札コレクションに関する日仏共同研究プロジェクトを事例として、データベースを構築する上でのオンラインを通じた情報交換の有用性を論じるとともに、フランス語サイトにおける神道情報の現状と問題点を紹介した。 ベンテリー氏は、オンライン上でのデータベース構築・公開の利点と、それに伴う信頼性や著作権、オンライン上の研究成果に対する評価の問題などを、自らの日本書紀英訳の経験に照らして析出し、英訳された日本書紀をオンライン上のデータベースとして公開する今後の展望とそのための方策について論じた。 総合討議では、発題者とフロア参加者による討議が行われ、主として、オンライン上の情報の信頼性の問題が論じられた。小松和彦氏はデータベース制作者の立場から情報の信頼性を確保することの難しさを述べ、他のパネリストは、教育上のユーザーの立場から、日本宗教について信頼できる情報サイトが必要であること、オンライン上の情報に対して懐疑的になることを学生に教育することの重要性などを論じた。 そのほかに、画像・音声情報へのニーズの高さ、オンライン上の情報を受け取る側について調査することの必要性や、諸外国の学生が日本や神道について抱いているイメージに対するアニメの影響力の強さなど、多様な論点を加えながら議論が交わされた。 今後、国内外の研究者のネットワークを形成することによって、より信頼性が高く、研究・教育両面において利用価値の高いオンライン・コンテンツを構築していくことが必要であることが確認され、閉会した。 なお、当日の発題、コメント、討論の詳細については、今後刊行する予定の報告書をご参照いただきたい。 (文責:住家正芳) リンク:『神道・日本文化研究国際シンポジウム(第4回)オンライン時代の神道研究と教育』 リンク:Encyclopedia of Shinto |
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