ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> a. 調査 >> グループ1「基層文化としての神道・日本文化の研究」 ロシア連邦沿海地方における考古資料調査 | |||
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1.調査の概要 調査地:ロシア連邦沿海地方ウラジオストク市 調査先:国立極東大学、ロシア科学アカデミー極東支部考古学・民族誌学研究所、沿海地方立博物館 調査期間:2005年9月20日〜9月25日(5泊6日) 調査参加者:吉田恵二、伊藤慎二、加藤元康、土屋健作、ユーリア=クロトワ、古澤義久、金恩瑩(以上:自主同行参加者を含む) 調査の目的:21世紀COEプログラム基層文化としての神道・日本文化の研究グループの研究課題「東アジアにおける狩猟採集社会の文化と縄文文化の研究」の一環として、縄文文化の成立と展開の背景などを東アジア史的観点から探るために、ロシア沿海地方における新石器時代関連資料調査および研究交流活動を実施した。「東アジアにおける狩猟採集社会の文化と縄文文化の研究」班では、これまでロシア連邦沿海地方においてロシア国立極東大学と共同して縄文文化と同時期の遺跡の学術発掘調査や国際シンポジウム・研究集会など多数を実施してきた。その結果、ロシア沿海地方の新石器時代の詳細な変遷過程を把握するなど多大な成果が得られた。これにより、縄文文化の各段階と同時期の資料を適切に比較する基礎を構築できた。 今回の沿海地方の調査では、昨年度までの國學院大學とロシア国立極東大学との共同調査成果を踏まえて、北海道の縄文時代早期女満別式土器文化との関連性が推測されるルドナヤ文化などのロシア沿海地方新石器時代の代表的各段階の資料(国立極東大学所蔵資料、ロシア科学アカデミー極東支部所蔵資料など)を、観察記録調査した。また、あわせて極東大学において、極東大学と國學院大學の共催で「環日本海地域の新石器文化」研究会を実施した。 2.調査の経過 9月20日 羽田空港より関西空港を経由してウラジオストクに到着、国立極東大学クズネツォフ教授らと、滞在期間中の調査計画等について協議。 9月21日 国立極東大学において所蔵資料調査、最近の研究動向に関して意見交換 9月22日 国立極東大学科学博物館において極東大学・國學院大學の共催で合同研究会「環日本海地域の新石器文化」を実施。第1部では、吉田恵二(COE事業推進担当者:教授)とクズネツォフ(国立極東大学教授)が座長となり6件の発表、第2部では伊藤慎二(COE研究員)とクルピヤンコ(国立極東大学教授)が座長となり6件の発表を行なう。本学側からは、吉田恵二が中国新石器時代における偶像祭祀研究成果に関して、伊藤慎二は琉球縄文文化のアジア太平洋地域における位置づけに関する研究成果を発表した。ロシア連邦・日本・大韓民国・フランス共和国から合計約50名が参加し、各発表者の最新の調査研究成果をめぐって活発な質疑応答が交わされ、成功裏に終了。また、終了後の時間を利用して、前日調査の補足作業を行なう。 9月23日 ロシア科学アカデミー極東支部考古学・民族誌学研究所において、クリューエフ研究員、ガルコヴィク研究員、イブリエフ研究員のご協力により、新石器時代資料の調査を行なう。さらに同研究所付属博物館と沿海地方立博物館を見学。 9月24日 ウラジオストク市近郊に所在する旧石器時代後期から新石器時代の遺跡の現地踏査。 9月25日(日):国立極東大学側と今後の共同調査研究課題について協議した後、ウラジオストク空港より新潟空港へ、帰国。 3.成果の概要 今回の調査では、ロシア側の最近の調査研究によって得られたロシア沿海地方の新石器時代に関する新資料を検討することができた。その多くは、現在分析整理中の通常未公開の資料であり、各研究機関のご好意により、特別に直接検討することができた。今回の調査では、特にルドナヤ文化に関する新資料を重点的に検討した。その結果、昨年度までの國學院大學と国立極東大学の共同調査研究により提示した新石器時代編年案とおおむね合致する状況を確認することができた。さらに、國學院大學と国立極東大学が共同で実施した研究会では、沿海地方の新石器時代などに関する最新の研究成果に関して活発な意見交換を行い、数多くの新知見を得ることができた。現在整理分析中のこうしたロシア調査成果は、関連する北海道調査成果・大韓民国調査成果とあわせて、今年度の調査研究報告としてまとめる予定である。 (監修:吉田恵二、文責:伊藤慎二・加藤元康・土屋健作、写真撮影:加藤元康・土屋健作) (上段:極東大学における調査状況・調査隊、下段:極東大学に研究発表状況) |
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