ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> b. 研究会 >> グループ1「基層文化としての神道・日本文化の研究」 東北アジアからみた縄文文化 | |||
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開催日:2005年11月19日(土)午後1時〜午後5時30分 会場:國學院大學渋谷校舎120周年記念2号館2203教室 「基層文化としての神道・日本文化研究グループ」では、日本列島の縄文文化とロシア沿海地方を中心とする東アジア近隣地域の先史文化を比較し、基層文化としての縄文文化の成立と展開過程を探ることを重点研究課題の一つとしている。今回開催した研究集会では、国内第一線の研究者によるロシア極東を中心とする東北アジア新石器時代の最新研究成果に関する発表が行なわれ、あわせて本学のこれまでの調査研究成果の概要を報告し、本学COEのロシア沿海地方における考古学国際共同学術調査成果等を中間総括した。学外からは川崎保氏(長野県立歴史館)・加藤博文氏(北海道大学)・小畑弘己氏(熊本大学)、本学からは伊藤慎二(COE研究員)が研究発表を行ない、加藤晋平(本学前教授)・藤本強(事業推進担当者)・小林達雄(拠点リーダー・事業推進担当者)が総括した。当日は、100名以上の来場者があり、今回の研究会趣旨への関心の高さをうかがい知ることできた。各発表の概要は以下の通りである(当日発表順)。なお、発表内容の詳細は、『東アジアにおける新石器文化と日本掘戞編學院大學21世紀COEプログラム2005年度考古学調査研究報告:2006年3月刊行)を参照されたい。 國學院大學・国立極東大学ロシア沿海地方国際共同調査の成果 伊藤慎二(本学COE研究員) 2003年・2004年に國學院大學とロシア国立極東大学が合同で実施したロシア沿海地方のオシノフカ遺跡・ゴルバトカ3遺跡・ウスチノフカ8遺跡の発掘調査成果と、その関連研究成果の概要を発表した。 ロシア沿海地方におけるこれら3遺跡の調査の結果、主として旧石器時代後期末から新石器時代にかけての多数の資料が得られた。これにより、ロシア沿海地方における新石器時代の変遷過程の不明確な部分に関して従来とは異なる角度からの再検討が可能になり、今後の各種比較研究の基礎となる新たな編年案を提示するなど多くの成果を達成できた。こうした研究成果に基づいて、今後さらに縄文文化を含む周辺地域との比較研究や関連性解明などに関する調査研究を進めていくことを述べた。 中国東北・沿海州から見た縄文玉製品 川崎保(長野県立歴史館学芸員) ロシア沿海州のチョールタヴィ=ヴァロータ洞穴遺跡出土資料など、縄文文化の玉製品の起源に関連すると考えられる中国東北部やロシア沿海州の資料の比較研究成果に関して論じた。 中国東北部新石器時代の興隆窪文化などの玉製品は、玦状耳飾・管玉・箆状垂飾がセットをなして出現している。同様のセットが縄文時代早期末の福井県桑野遺跡などで見られ、しかも糸切技法を用いた製作手法の存在がともに指摘されていることから、中国東北部から沿海州を経て縄文文化にこれらの玉製品が渡来した可能性を指摘した。また、縄文文化のそのほかの玉製品に関しても、大陸から数度にわたって波状に渡来した可能性も想定されることを述べた。 ロシア共和国南沿海州地方の新石器時代遺跡と初期農耕:ザイサノフカ文化を中心として 小畑弘己(熊本大学助教授) 縄文文化とよく似た植生環境と適応形態をもつロシア南沿海州地方の新石器時代の内、新石器時代後半のザイサノフカ文化における初期農耕関連の諸問題について、最近の調査研究成果を踏まえて論じた。 ザイサノフカ文化段階の穀物に関してはこれまであまり明確でなかったが、近年のクロウノフカ1遺跡などの出土資料分析結果を基に、初期の段階からキビ・アワを主とする雑穀「農耕」が存在したことがほぼ確実になった。さらに、ザイサノフカ文化期後半に増加するおもに白頭山産黒曜石製の石刃製削器も、こうした雑穀農耕の比重増大に伴って使用された収穫具である可能性を指摘した。 アムールランドにおける更新世終末から完新世初頭にかけての人類文化の変遷 加藤博文(北海道大学助教授) ロシア極東のアムール川流域(アムールランド)に展開した更新世末から完新世初頭の人類文化の変遷を近年の研究動向に基づいて整理し、考古学的諸文化の系統性の問題や課題、さらには当該地域における新石器化の背景について考察した。 なかでも、アムールランドにおける土器の出現過程に着目し、生活様式の転換期という観点からではなく、人間集団の社会行動・表象という側面から土器の出現の意義を検討する必要があることを説いた。そして、新石器文化の本質的な特徴の開花は、このような象徴的な意匠としての土器の出現とそれを活用する組織と空間の誕生によってはじめて生じたと考えられることを指摘した。 (文責:伊藤慎二) (研究会会場の状況) |
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