ホーム >> COEプログラム事業の遂行と成果について >> c. 国際会議・シンポジウム >> グループ2「神道・日本文化の形成と発展の研究」 フランスにおいて開催された「護符」に関するミニ・シンポジウム | |||
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1 開催までの経緯 2003年9月25日、パリのコレージュ・ド・フランス日本学高等研究所において、日本の護符に関するミニ・シンポジウムが開催された。 コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所には亡くなられたベルナール・フランク氏が収集された日本全国の護符約1,000点が保管されている。そこで國學院大學COE「護符・起請文研究グループ」として、その調査を依頼したが、日本からは東京大学史料編纂所COEグループと、護符に関する民俗学調査グループも調査にはいることを希望しており、所蔵者側の都合も配慮し、3グループが同じ頃に調査に赴くことになった。そこで、國學院COEグループの宮家準氏の提案により、國學院の調査最終日に、護符をめぐる日本・フランスの研究者によるミニ・シンポジウムを開催することになったのである。 2 開催日 2003年9月25日(木) 3 場所 コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所(パリ) 4 シンポジウム参加者 フランス側 Sekiko Matsuzaki-Petitmengin(コレージュ・ド・フランス日本学高等研究所長) Josef A. Kyburz(ヨーロッパ日本研究協会会長) Hartmut O. Rotermund(フランス国立高等研究院宗教学部教授) Jean-Noel Robert(フランス国立高等研究院宗教学部教授) Jean-Pierre Berthon(フランス社会科学高等学院日本研究所教授) 日本側 宮家 準(國學院大學神道文化学部教授・國學院大學COE事業推進担当者) 千々和 到(國學院大學文学部教授・國學院大學COE事業推進担当者) 遠藤 基郎(東京大学史料編纂所員) 菊地 大樹(東京大学史料編纂所員) 畠山 豊(東京都町田市立博物館主任学芸員) 嶋津 宣史(神社本庁教学研究部員) 太田 直之(國學院大學COE研究員) 5 シンポジウムの内容 まず冒頭、千々和より今回の調査全体の意義についての説明がなされ、次に具体的成果についての説明がなされた。つまり護符全体の数が約1,000点にのぼると推計できること、國學院COEグループがカードにとった枚数が、400枚弱にのぼったこと、東京大学史料編纂所側のデジタルカメラによる撮影は900点ほどで、あと一歩で完了すること、などである。 次に宮家氏から、日本の研究者が注目しなかった時代に、これだけのコレクションが外国人研究者によって形成された意義、フランク氏の『日本仏教曼荼羅』の独創性等についての評価が披露された。またオックスフォード大学のピット・リバース博物館のチェンバレンコレクションやジュネーブ市立民俗博物館にも同種の日本の護符のコレクションが存在することが今回の調査期間中の調査の中で明らかになったことは、日本の護符研究にとって意義深いと指摘した。そして今後、そうしたコレクションを比較することで、特徴に違いがあるかどうかを確認する必要があると述べた。 それらを受けてフランス側から、この護符コレクションはフランク氏が『仏像図彙』に基づいて整理しようとしていたので、ほぼそれによりたいこと、また詳細に調べることにより、できるだけ「その他」(事実上の像名不詳)に分類されている資料を無くしたい、との意見が述べられ、それに対する評価が尋ねられた。さらにフランス側でこの護符について整理するにあたっての助言が求められた。 これに答えて千々和ほかから、『仏像図彙』に基づく整理方針には異論がないこと、またこの護符を詳細に調べるためには、発行寺社の所在地の調査が必須であり、それは日本の研究者の護符調査の成果を利用してもらえるだろうということ、そして私たちとしては、発行寺社の所在地が明らかになった護符については、現地調査を平行して行いたいと考えており、そこで得られた情報があれば、提供できる旨発言した。 畠山氏は、調査が一定程度進んだ段階で、このコレクションを日本で展示することも良いのではないかと具体的に提案し、フランス側も、この提案に前向きの姿勢を示した。 最後に、フランス側と日本の3つのグループが今後もそれぞれ独自の研究テーマを追求しつつも、できるだけ情報の共有などの面での協力を深め、調査を実りあるものにしていこうということを確認した。 (文責・千々和到) |
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