昭和12年(1937)に「東京日日新聞」「大阪毎日新聞」(現「毎日新聞」)が公募した「進軍の歌」は、本多信寿の歌詞が一等当選となり、辻順治によって作曲された。一方、二等に入選した藪内喜一郎の歌詞に、古関裕而が曲を付けた軍歌が「露営の歌」であり、両曲を録音したレコードがコロンビアより同年9月に発売された。A面に収められた「進軍の歌」よりもB面の「露営の歌」の方が流行し、半年で60万枚も売り上げることとなった。
「露営の歌」の歌詞は以下の通り。
 
勝って来るぞと 勇ましく
ちかって故郷を 出たからは
手柄たてずに 死なれよか
進軍ラッパ 聴くたびに
まぶたに浮かぶ 旗の波
 
土も草木も 火と燃ゆる
果てなき荒野 踏みわけて
進む日の丸 鉄かぶと
馬のたてがみ なでながら
明日の命を 誰が知る
 
弾丸もタンクも 銃剣も
しばし露営の 草まくら
夢に出て来た 父上に
死んで還れと 励まされ
さめて睨むは 敵の空
 
思えば今日の 戦闘に
朱に染まって にっこりと
笑って死んだ 戦友が
天皇陛下 万歳と
残した声が 忘らりょか
 
戦争する身は かねてから
捨てる覚悟で いるものを
鳴いてくれるな 草の虫
東洋平和の ためならば
なんで命が 惜しかろう