森 庄内には三つの大きな家がございます。一つは酒田の本間家、それから鶴岡の風間家それと加茂の秋野家。この三つの家はかつては税金の納め方がずば抜けていたのです。そこまで行かなくても部屋数をえらくたくさん持っている家がある。だから「森さん、どこにでもいてくれ」っていわれたことがありますが、どこにでもいてくれといったって、そう部屋数がございますと、これは掃除するだけでも大変なんです。
「『われ逝くもののごとく』まで〈インタビュー〉」聞き手 石毛春人(『一即一切、一切即一─『われ逝くものごとく』をめぐって/森敦対談集─』、法蔵館、昭和63年8月、6頁)