瑜伽山におること十年、その間日魯漁業の船に乗せてもらって、カムチャツカまでは行かなかったが、あれがカムチャツカだというところまで行った。大洋漁業の船に乗せてもらって、南極大陸までは行かなかったが、あれが南極大陸だというところまで行った。あるいは伊東の漁船に乗せてもらって、黒潮を往来した。
「母の言葉」(『森敦全集』第八巻、582頁)