ところが、後に月山にはいり、吹雪の中でせいどの祭を見たが、少年童児、少女童女相和して拍子木を叩き、「君が代」など歌って回っているのである。おどろいて古老に尋ねると、「もとは真っ赤に塗っただっぺ(男根)もあったんどもや、それさ顔まで描いて野郎(少年童児)たちが餓鬼(少女童女)の宿さ、ちょ(悪戯)しに行ったりすんなださけの」
「こけしの里」(『森敦全集』七巻、236頁)