「ほんとかね。それじゃ、あんたも水産試験査場の技師さまをやめて、漁師になるんだな。こんどはおれたちみたいなゴム(ほんとはなんと呼ぶのか知りませんが、みなはここ一番というときにはゴムの上衣を着、長靴つきのゴムのズボンをはくのです)を買うんだ」
「私に定年はなかった」(『森敦全集』第八巻、120頁)