おはらいの文化史 11 『大中臣祓同註』おおなかとみのはらえおなじくちゅう


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『大中臣祓同註』


解説

 内題に「大中臣祓同註〈王城諸国建立并神祇聞書〉」とあるように、冒頭に中臣祓なかとみのはらえの註釈である「大仲臣祓縁起」を収め[1]、ほかに「京立次第」、慈遍じへん(14世紀頃)著『豊葦原神風和記』の抜書き、「神聞書」を収める。本資料の持主であった秀存は、本書のほか、『日本書紀神代巻』(国立国会図書館蔵)を所持していた。

  1. 注のほかに中臣祓と円仁との関わりを述べた説話を収める。この説話は、円仁が唐から持ち帰った中臣祓をとなえると、伐れなかった木が伐れるという物語であり、『三国伝記』巻三第二十四話や『今昔物語集』巻三十一「近江国栗太郡大樹語第三十七」の異伝ともいえる説話である。さらに、樹木の伐採に中臣祓が関わることは、『今昔物語集』巻十一「推古天皇造本元興寺語第二十二」と共通している。

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