おはらいの文化史 24 『三国最上之祓』さんごくさいじょうのはらえ宮地直一みやじなおかず『三国最上之祓の研究』さんごくさいじょうのはらえのけんきゅう


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『三国最上之祓』

『三国最上之祓の研究』


解説

 『三国最上之祓』とは、中臣祓なかとみのはらえのことで、天竺(インド)、唐土(中国)、日本の中で、この上ない祓の意味。吉田兼右よしだかねみぎ(永正13~元亀4(1516~73)年)の指示で木版刷りされたとされる[1]。本資料は、昭和9(1934)年に出版されたもの[2]と同じ、鈴鹿家所蔵本『三国最上之祓』の複製であるが、出版の際には省略された装丁や紙背までも再現している。

 『三国最上之祓の研究』は、鈴鹿太郎所蔵の『三国最上之祓』の複製が昭和9(1934)年に刊行された際に付された解説で、宮地直一みやじなおかず(明治19~昭和24(1886~1949)年)が執筆している。宮地は中世までの中臣祓の展開を通史的に示しながら解説しており、ここで示された史的展開及び「伊勢流祓」「吉田流祓」といった分類は、現在でも用いられている[3]

  1. 宮地直一は、昭和8年10・11月に京都帝国大学において講義を行うために京都へ赴いた。その際、懇意にしていた鈴鹿家の文庫を調査し、本資料を見出した。
  2. 明治書院より、昭和9年に刊行された。
  3. 宮地直一は、本書で自身が所蔵していた羽田野家文書について言及している。羽田野家文書についは、テーマ解説・「近世—祓の普及と考証の展開(C)」を参照。

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