第10回・wachi 「言葉の意味と方言」        

 

 地方から関東に出てきて私は方言の難しさについて気づかされる。

 いつも何気なく使っていた言葉でも意味の違いに戸惑う。

 たとえば、私は「ごみを捨てる」という意味で「ごみを投げる」という使い方をして友達に聞き返されたことがある。

 「投げる」という言葉は辞書では、@手に持って遠くへ飛ばす。ほうる。Aすもうや、柔道などで相手をほうる。B光線・視線を向ける。C自分のからだをほうり出す。飛びこむ。Dあきらめる。と出ており、「捨てる」という意味は無い。

 同様に、私は「汚す」という言葉を「濡らす」という意味で使うことがある。アルバイト先で掃除をしていて、「このモップ、汚してくるね。」と言ったところ、大変驚かれた。確かに、「汚す」という言葉を辞書で引くと、@きたなくする。けがす。A食べ物などをまぜる。あえる。まぶす。と出ており、「濡らす」という意味は無い。

 では、このような使い方はどこからきているのだろうか。私の家族にこのような使い方をするかと聞いてみたところ、 みんな使っていることがわかった。私の家族はほぼ生粋に近いその土地の人間であるため、この使い方は方言であると言って間違いないのではないかと思う。

 このように、私たち地方出身者が標準語だと意識して使っている方言はまだまだたくさんあると思う。私は関東に出てきて初めてこの言葉の意味の違いに気づかされたのであり、その土地にずっと住んでいたならば何の不思議も無く標準語という意識で方言を使っていたのだと思うとおもしろい。

  このような、標準語には無い意味で使われる言葉と、なぜそのような意味で使われるのか、という疑問をいつか自分でも調べてみたいと思う。いつか…(苦笑)

 

参考文献『小学館新選国語辞典第六版』金田一京助他

 

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