第11回・カバン持ち 文体変化にグラデーションはあるか? 」

 

つい先日、小学校の時の「文集」を見る機会がありました。

私達は通常文章を書くときには「デス・マス」調と「ダ・デアル」調という2つの文体を使い分けていると思います。

小学校の文集でこの使い分けを見てみると、大体低学年では「デス・マス」調、高学年になると「ダ・デアル」調で書いています。

このあたりは男女の差もあるようで、男子では4年生ごろから、女子だと6年生になってようやく「ダ・デアル」調の文章がちらほらと見えます。

まあ、ここまでは大体想像がついたのですが、小学2,3年生ごろの作文の中には次のような文章も出てきます。

  それから、十二月二十五日のクリスマスには、いつもサンタさんがプレゼントをして

くれました。三才ぐらいの時には、かわいいぬいぐるみをもらったのを、おぼえていま

す。〈中略〉砂遊びがすきで、「お入りですよ。」といってもいつまでもだんごを作っ

たり、ケーキを作ったりしてなかなか部屋には入らなかった。

この文章では最初の二文は「プレゼントをしてくれました」「おぼえています」と「デス・マス」調ですが、最後の文は「部屋に入らなかった」と「ダ・デアル」調になっています。つまり「デス・マス」調と「ダ・デアル」調が混用されているわけです。

このような文章は全体の量としてはそれほど多くはありませんが、それでもやはり、1つや2つというわけでもないので、単なる誤用としてとらえるわけにはいかないと思います。

ここから先は特に詳しく調べたわけではないので、ハッキリとは言えないのですが、多分、「デス・マス」調から「ダ・デアル」調へ移り変わっていく際には、急にパッと変わるのではなくて、何かこう、グラデーションがついたような変化をしているのではないでしょうか?上記の例というのはそのグレーゾーンの部分の表れなのではないか。そんなことを思いました。

 

 

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