第33回・平成14(2002)年10月15日(火)

   こげくり 「オーストラリアに行きました。」

 夏休みに、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(略してUNSW)で3週間の日本語教育実習をしてきました

 UNSWでは1000人近い学生が日本語を勉強していますが、みんなフレンドリーで楽しい人たちでした。

 実習のみやげ話はたくさんあります。教壇実習の学生コメントに『はじめてにしてはよくやった』と書いてあって微妙にムッとした話とか、会話テストの相手役をしていたら、ものすごく妙な格好をしてきた人がいて、噴き出さないようにするには全身の神経を集中させなければならなかったこととか(鼻息の荒いテスターになってしまった)。

教室の外ではもっといろいろなことがありました。キャンパスでコーヒーを売ってるお兄さんたちが素敵だったとか(紙焼きですが写真あります。見に来てください。)動物園でカンガルーに餌付けしようとしたら貪欲なエミューに奪われたとか、ビーチに行ったとか飲茶がおいしかったとか・・・。

 

このままでは遊んだ話ばかりになってしまうので、『ことばに関するコラム』に戻ります。(他のことをくわしく聞きたい人は個別に来てください)

オーストラリアは英語圏です。(私は同行したメンバーの中で熾烈な「英語力最下位争い」を繰り広げていました。)

オーストラリア英語といえば、二重母音の[ei][ai]と発音するのが有名ですね。中学の英語の時間に「オーストラリアではtodayをトゥダイって言うんだぞ」と聞いたときには「うそだー!」と思ったものですが、本当でした。(O先生、ごめんなさい。)

日本語の学生は、移民や留学生が多かったので、大学で生粋のオージーイングリッシュを聞く機会はあまりありませんでしたが、オーストラリア博物館のおじさんはばりばりに「トゥダイ」の人でした。

 

そのおじさんは、博物館で恐竜展に合わせてやっている「ハンド・ペインティング」の係でした。手の甲に絵の具で恐竜の絵を描いてくれるサービスで、もちろん無料です。みんなで順番に描いてもらって、私の番になりました。もう恐竜にもあきたので、「イアンソープ描いて」と言ってみたら、おじさんはこともなげにうなずき、ゆうゆうと魚の絵を描いて「あいつはほんとは魚なんだ」とうそぶきます。のりのりのおじさんは、ついでにラメをぬり、ピンクの唇やまつ毛や色ッぽいほくろを描いて、得意げに

「ヒー・イズ・ガイ」

(えっ、それは当たり前…………じゃなくて、ゲイ?

そうです。このおじさんの「ガイ」は「guy(男)」ではなくて「gay(ゲイ)」なのでした。微妙なようで大きな違いです。オージーイングリッシュをあなどってはいけないと思いました。

ちなみにおじさんは、別の子に描いた恐竜にも口紅を塗って「ガイの恐竜。パレードに出るかもね」と言って喜んでいました。パレードというのは、オーストラリアの有名なゲイ&レズビアン・パレードでしょう。このパレードは毎年60万人の観客動員数があり、国営放送で実況中継されるそうです。おじさんが当たり前のようにさらっと「ゲイ」をジョークにするのも、そういうお国柄から来ているのかもしれないと思いました。

 

ちなみに「おじさん画・イアンソープ」はこれです。

もはやどこからつっこんでいいのかわかりません。

             

 

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