第4回・スノーラビット 「地名をめぐって」 いつからともなく地名には興味があります。そこでこれを期に地名についてあれこれと考察することにしました。 今回は「
九十九里浜
」「
千曲川
」「
千千石
」などの所謂、誇張表現と思われる地名。(「川の名など地名じゃないぞ」なんて言わないで下さい。)「九十九里浜」は九十九里くらい長く浜続いているから、「千曲川」は山間部をくねくねと千回ほど曲がりくねって流れているから、命名された地名だろうと思い、その「九十九」という表現と「千」という表現の間に何か法則のようなものがないのだろうか。と、勇んで『地名語源辞典』(山中襄太郎 校倉書房 昭和43年)を引いてみることにしました。 くじゅうくりはま 【九十九里浜】 千葉県、太平洋に面した弓なりの長い浜。 太東岬から行部岬まで約66kmほど。これを2/3km(6町)を1里として数えて99 里あるとしての名。ふつうの1里(4km)で数えると16里になる。(地辞典) 何と言うことであろうか!誇張表現どころか、まさか科学的に計算され命名された名称であったとは! 気を取りなおして、次は、 ちくまがわ 【千曲川】 日本最長の河川「信濃川」の上流、長野県内(犀川と合流するまで)の名称。 もと筑摩川、千阿川、知隈川、とも書いた。阿・隈・曲などマガリクネル意味の字だ が、これはクマという音にあてただけで意味はないらしい。この川が特に屈曲が甚だ しいという事実はない。むしろ筑摩の字に注目すべく、県内に筑摩(チクマ、ツクマ) の地名が多いことと合わせて考えらるべきであろう。(地辞典) またしても何と言うことであろうか、「千阿川」以外、千回ほど曲がる、と無関係で、周辺の地名と関係があるらしい。でもこれはちょっとおもしろいですよ?もしこの川の周辺流域に「チクマ」という地名が散在しているならば、「チクマ川」はその周辺の民が付けた名称ではありませんね。もっと他、外の人間が「チクマの川」と付けた。では周辺の民はなんと呼んだのでしょうか。たぶん、ただ「かわ」でしょうね。これによく似たのが、中国の「河」。流れが長くなるほど、それに固有名称をつける意味が、あまりなくなるからでしょうか。 だんだん雲行きが怪しくなってきました。 ちぢわ 【千千石】 長崎県島原半島西岸の町、又は湾名です。「千々石」とも書きます。おそらく、地図を見る限り東シナ海の波を直に受ける地形にあると思われます。 古書(雪兎註:吉田東伍地名辞書か?)に海岸の岸壁、高さ約300m・長さ約100m もあり、波がこれにぶつかっていたので、比遅波(ヒジハ)といい土歯(ヒジハ)と も書いたという。ヒジハとは濡岩(ヒジイハ)ヌレタ岩の意でそれがヒジワ、チヂワ と変わり、千千石と書くようになったのだろう。(地辞書) なんだかあてにならない説明でしたが、数の「千」と無関係のようです。 表面だけの調べではこれらの問題は解決どころか、一層深まってしまいました。まだネタとして、「
九十九島
」「
千島列島
」などがある!これこそは、
九十九
の島や、千の島が実際あるわけではあるまい!次回もこりずに続けたいと思います。
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