第42回 こけし「“ムダ??”」

「トリビアの泉〜素晴らしきムダ知識〜」というテレビ番組がある。その名の通り、とうてい生活に必要とは思えないムダな知識を紹介していく番組で、我が家でもよく見ている。

その番組である日、こんなことが紹介されていた。



「『冷たい』という言葉は、『爪が痛い』から来ている。」


番組内での解説によれば、「冷たい」という言葉は「爪痛し」から来ており、『角川古語大辞典』で紹介している、という。番組内でも出していたが、自分の目でも確認してみたいので大学の図書館で引いてみた。私の友人でも「聞いたことあったよ」という人がいたので、もともとご存知の方も多いかもしれない。



つめた・し〔冷〕形ク

 体温よりも温度の低いものに触れたときに受ける皮膚感覚をいう。「さむし」が外気の温度を全身で感じる感覚をいうのに対し、対象に触れた部分のみに感じる感覚である。触れる対象の属性としていう語。「爪痛し」のつづまった語という。



なるほど、こう書いてあった。

「冷たい」と「寒い」の違いも見て、「じゃあ温度の低い水に頭からつま先まで全身で入ったときの感想は、外気に触れているわけじゃないから“冷たい”でいいのか?」と考えてみたが、外気の代わりに水の温度を全身で感じているとすれば、“寒い”でも良いような気がした。



国語学に特別関心のない友人なども、語源の話になると興味を持ってくれたりする。語源なんて追求し出したらとまらないが、興味を持ってくれるのはこちらとしても嬉しい限りだ。それにしても、「ムダ知識」と言われてしまうとなんだか淋しい気持ちになる。ついでに手元にあった辞書(電子辞書の『広辞苑』)で「むだ」の意味を調べてみると、「役に立たないこと。益のないこと。また、そのもの。」とある。

 ならばこうして国語学に携わる私には、「ムダ知識」ではないかもなぁ、と思う。










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