第9回・鶴田 「うまいネーミング。 」

 

最近、あたりを見回してみると、みな500mlのペットボトルお茶を持っている。

『お〜いお茶』(伊藤園)、『まろ茶』(コカ・コーラ)、『聞茶』(キリンビバレッジ)、『しみじみ茶』(サントリー)、『爽健美茶』(コカ・コーラ)、『生茶』(キリンビバレッジ)等々…。本当にいろいろと商品名を考えつくなあ、と思う。大別すると、烏龍茶か緑茶か何種類かの茶葉をブレンドしたお茶くらいしかないはずなのに。

そんな中で、アサヒ飲料の『旨茶』を初めて見たときにはビックリした。

「これはねーだろ…」

『旨』は禁じ手だと思ったのだ。なんて安直な、とも思った。これでマズかったらどうするんだろうと思ったが、まあ、緑茶なんだからそんなマズい訳はないだろうと思い直した。『旨』以外に他になんかあるだろう、とも思った。が、この一見貧弱にもとられかねないネーミングセンスは、『旨』を逆手に取った実に巧妙なアサヒ飲料の戦略なのかな〜、とも思った。かくいう私も、初めて『旨茶』を目にしたとき手にとって結局買ってしまった。そのとき一緒にいた友人も、

「『旨茶』なんだからうまくない訳がないだろう」

と言いながら面白がって買っていた。私と友人は、まんまと術中にはまったのかもしれない。

私と友人は『旨茶』を、

「うまいうまい」

と飲んだ。

 

 

    週刊・会員コラムに戻る  表紙に戻る