第2章 機械モデル【第1部の目次へ戻る】

第1節 官僚制理論
第2節 組織構造の比較研究
第3節 コンティンジェンシー理論
第4節 ポスト・コンティンジェンシー理論
 本章では、官僚制理論およびコンティンジェンシー理論という、おもに組織の公式的側面に焦点を当て、組織自体を分析単位とするタイプの先行研究についての文献サーベイを行う。このようなタイプの組織理論は、組織の公式的側面を分析対象とし、また、組織をそれがあたかも機械であるかのように管理者によって設計されるものである、という前提に立脚している傾向があるために、機械モデルと呼ぶことができよう。本章では、まず、Weberを創始者とする官僚制理論についての検討を行い、つぎに、Aston研究などの官僚制理論に基づく組織の比較研究を取り上げ、そして、コンティンジェンシー理論および情報処理モデルについて検討していくことにしたい。
 官僚制理論は、組織の多様性の削減による予測可能性の増大としての形式合理化(この概念は近代化の中核的次元でもある)を記述・説明するために生まれたものである。1960年代以降、官僚制などを操作化した組織構造の経験的研究が行われ、構造変数の内部相関や構造変数の説明に関する知見が蓄積された。また、官僚制の逆機能という観点から皮脂機の環境と構造との適合関係に着目したコンティンジェンシー理論が生まれた。しかし、これらの理論は、組織の非公式的側面、環境に対する能動性、および、変動過程を充分に説明できない、という弱点を持っていた。

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