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e-japan構想とFTTH

森本 陽子

1 あと4年で達成なるか?

 

私が生きてきたのは、まだ20年そこそこ。生まれたときには既にテレビも、電話も、洗濯機も普通の家庭にあった時代だった。

戦後直後を知らない私達の世代の中で最も進化を遂げたもの。子供のころは音楽はレコードやテープが主流だったのに、今はCDやMDに取って代わられ、テレビはリモコン式になり、液晶テレビまで登場。電話はコードレスに番号通知。部屋で手を叩けば電気が点いて、電車に乗れば自動改札にSuica、車に乗ればカーナビにDVD・・・と、数え上げればきりがないのだが、そのなかで一番と言える、そしてこれからもめざましく進化していくだろうもの、それは「通信」だろう。

例えば誰でも一台は持っている携帯電話。もう生活の一部と言っていいほどだが、いきなり携帯電話が普及した訳ではない。私が中学生のころ、まずポケットベルが普及し、高校生のころPHSが、大学に入ったころには誰もが携帯電話を持っていた・・という歴史がある。そしてパソコンも。決してローコストではない為携帯電話よりも保持者は少ないとしても見たことがない、使ったことがない、という人は殆どいないのではないだろうか。どこの大学にも文理を問わず必ずパソコン室はあるし、一部の小学校や中学校でも授業の課程に含まれている程だ。

過去に携帯電話の番号の桁数が増える、といったことがあった。あまりにユーザーが多いため、既存の番号では番号数が追いつかなくなったという話だったが、これと似たようなことが今パソコンに起きている。それを解決するために、プロバイダが所有するネットワーク容量の増加や、IPv6の試験運用が行われている。ユーザーが増えたと共に、より「速さ」を求められる状況になってきたのだ。インターネットは複数のユーザーが回線を共有するため、ユーザーが増えれば増えるほど重くなる上に最近はコンテンツがリッチになってきたために「遅い!!(イライラ)」と思わされる事はしばしば、見たいHPを開こうとしたらかなり待たされたのにまだページ半分しか出てこない・・など、目に見える分かえって不便極まりない。しかも従来のダイヤルアップ方式は遅いだけでなくとにかくコストがかかる。インターネットに接続している以上常に金額がからんでくるからだ。

だが、最近政府が面白いものを打ち出してきた。「e-japan構想」というものである。一体どういうものなのだろうか。調べてみると首相官邸のHPにこんなことが書いてある。平成13年1月22日付けで高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が公表した超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策の目標は次のようなことである

 

「e-japan戦略」
5年以内に世界最先端のIT国家を目指す
→全ての国民がITのメリットを享受できる社会
・5年以内に少なくとも3000万世帯が高速インターネット網に、また1000万世帯が超高速インターネット網に常時接続可能な環境を整備する。
全ての国民がインターネットを使いこなせ(2005年のインターネット個人普及率が予想値である60%を大幅に超え)多様な情報、知識を世界的規模で入手、共有、発言できるようにする。

出典:首相官邸HP(http://www.kantei.go.jp/jp/it/network/dai1/0122summary_j.html)

        

従ってあと4年で政府は「3000万世帯が高速インターネット網に、また1000万世帯が超高速インターネット網に常時接続可能な環境を整備する」と言っているわけだ。

通信の高速、超高速化、最近よく唱えられている「ブロードバンド」時代というやつである。

 

2 通信あれこれ

2−1 ブロードバンド

そもそも「ブロードバンド」とはどんな意味なのだろうか。辞書で調べるとこう定義されている。

 

ブロードバンド【broadband】

データー転送の分野において、広帯域のこと。狭義には、複数の信号を同一の伝送路(ケーブルなど)で送る方式を指す。近年は単に高速度で大容量のデーター転送のことを指すことが多い。動画の伝送などネットワーク上の高度なサービスを実現する。

                                                 (『デイリー新語辞典』参照(http://dictionary.goo.ne.jp/cgi-bin/nw-top.cgi))

 

ブロードバンドという言葉の反対語として「ナローバンド」という言葉がある。ナローとは「狭い」という意味で、一般には従来のアナログ回線やISDN(ISNネット64)など150kbpsまでの通信環境はナローバンドと呼ばれている。

 

現在私達が身近に使っているのはプロバイダに接続する通信方法だが、それ以外に主に4つの接続方法がある。

ちょっと以前までTVのCMでおなじみのISDN。数年前にインターネットサービスが始まったCATV。最近注目をあびて加入者が増大中のADSL。そして現在最も期待と注目を浴びているFTTH(光ファイバー)。

この4つの通信方法を通信速度の面から比べてみる(図1)。速さの違いが明確に分かるが、ISDNだと64〜128K、CATVでは512K〜1.5M、ADSLでは1.5M〜8M、FTTHでは100Mと差が大きい。(ちなみにアナログモデムだと56K。)

 

2−2 それぞれの通信方法の特徴

 

■ISDN

1995年末から、NTTが平日夜11時〜朝8時まで電話回線を使い放題というプラン「テレホーダイ」を立てた。俗に言うこの「テレホタイム」にヘビーユーザーが殺到し、回線の重さとつながらなさに辟易したものである。(特に金曜の夜。)その「テレホーダイ」の枠を24時間に拡張したようなサービスである。当時画期的だったのは何よりもインターネットに接続していても、電話やFAXが使える、という点にある。通信速度は64Kと従来のアナログから8K程しか変わらないので、大きい容量のデータをDLしたりストリーミング・コンテンツを楽しむのには力不足。ただ月額2800円という低価格は大変魅力。サービスエリアも広い。ISDNはプロバイダのアクセスポイントに直接つなぐのではなく、まずNTTの地域IPネットワークにダイヤルアップして、そこから各プロバイダのサーバーにつなぐ形を取っている(図2)。ISDNルータを必要とするが、ISDNルーター内部にTA、ルータ、ハブ機能が一体化されており、手軽にLANを構築することができる。(ルータを経由してPCへのデータはデジタルのまま、電話・FAXはアナログ⇔デジタルに変換する。)常時接続への草分けとも言える。

 

■CATV(ケーブルテレビ)

元々ケーブルテレビとは、アメリカの放送電波が届かない地域まで電波を引くために増幅器とケーブルを使ってカバーしようとしたのが始まりだということだ。日本では群馬県伊香保地区に耳の不自由な人のために設置したのがCATVの元祖だったが都市部でも地方のチャンネルを楽しみたい、という要望から「モアチャンネル型CATV」が誕生し、地上波ではせいぜい6、7チャンネルしか見られないところが実に数百チャンネルも見ることができる。もちろんその分回線も太いわけである。1996年後半、武蔵野三鷹ケーブルテレビがCATVを使った初のISP業務を開始し、1998年の春には東急ケーブルテレビによって常時接続のモニターサービスが行われている。

CATVは地域密着型なだけあって、地方の人や加入者ならば「速い」「つなぎっぱなし」「月額5000円〜1万円程度」「TVも見れる」と確実に得だが、新規加入の場合は工事費と加入費がかさむ。また集合住宅になると、大家との交渉が必要になってくる。契約先も選択できないし、いわばCATVは広域のLANのようなもの(図3)なのでプライベートIPアドレスを使う事が多いため為、一部のソフトやサービスが使えない。加入世帯数は現在約120万件にのぼる。

■ADSL

現在現実的に利用できる速くてメジャーなブロードバンドサービスだろう。ADSLの正式名称は‘Asymmetric Digital Subscrier Line`、つまり「非対称デジタル加入者線」という意味になる。通常のアナログ回線のままで通信と電話回線が使用できる。元々1980年代末から開発されていたものであったが、今日インターネットが普及してやっと日の目をみた。1999年秋に「東京めたりっく」がADSL試験サービスを開始、これを契機に市場が急速に拡大し、Yahooが2001年に格安ADSLサービス「YahooBB!」でADSL市場に参入した為に価格崩壊が起こった。現在急速に加入者数を増やしている。電話回線が伝えられる周波数帯のうち、音声が占めているのはごく一部なので、それ以外の周波数帯を一挙にデータ通信に利用してしまおう、というものである。フレッツADSLではADSL対応のモデムとスプリッタが必要である。スプリッタとは何か。上で述べたようにADSLは一本の回線に通話データと通信データを乗せたものであるため、電話に向かうデータとPCに向かうデータを分離させる必要がある。それを担うのがスプリッタだ。フレッツADSLではNTTのADSLのネットワーク内のアクセスサーバへ接続してから指定されたプロバイダに接続する方式が取られている(図4)。宅内機器に2〜3万かかるが、月額3000円程度と割安である。ISDNはNTTの独占だったがADSLに関してはNTTだけでなく、イー・アクセスやYahooBBなども提供している。一方デメリットもあり、まず現在では対応エリアが限られているため地域によっては利用できない場合があり、また電話局からの回線が光ファイバー化されている場合もできない。デジタル回線(ISDN回線)の場合は一旦アナログ回線に戻す必要があり、その際電話番号が変わったりする場合がある・・・など。

 

■FTTH(光ファイバー)

FTTHとは、正式には「Fiber To The Home」の略称である。通常のサービスではプロバイダからユーザーまで結ぶアクセス回線は従来のメタリックケーブルで繋がれていた。プロバイダーから見たこの最後のプロバイダー側の中継地点からユーザー宅までをラストワンマイルと呼ぶ。元々はユーザー宅から1マイルの区間、という意味合いなのだが、この部分を光ファイバー化してしまおう、というものがFTTHである。ラストワンマイルは一人一人のユーザーに個別の回線が引かれているためとにかく本数が膨大な状態にあるので、センター局からの射程距離内のエリアを分割し、更にセンター局〜ノード〜ユーザー間全てを光ファイバーでつなぐ(図5)。金属抵抗がほとんどないので通信電力が下がったりノイズが入ることがほとんどない。2001年3月から有線ブロードネットワークスが本格的商用サービスとして開始した。現在FTTHのサービスを提供しているのはNTT東・西日本の「Bフレッツ」と有線ブロードネットワークス(Usen)の「GATE01」、スピードネットの3種類だ。Bフレッツではファミリータイプが10Mで6100円、GATE01ではHOME100が100Mで4900円、スピードネットでは12800円、と一応今の時点でも手が届く範囲での月額設定になっている。まだまだ利用可能地域的にも未開発で、利用するにはユーザーが光ファイバーケーブルをひく必要もあるため主要都市への展開は急速に進んでも全国展開はもう少し先になりそうである。とはいえ、FTTHが爆発的に普及するのもそう遠い話ではないはずだ。

 

この4種類のなかで、一般的に「高速回線」と呼ばれるものはCATVとADSLで、FTTHは「超高速回線」に分類される。現時点で最強の速さを誇るのがFTTHである。ベストエフォート型で100M、実にISDNの約1600倍、ADSLの約66倍という想像もつかないスピードだ。

100MBのDLも数秒で完了はもちろん、「VODをテレビと同じように楽しめて当たり前の時代になるでしょう。」とUsenは謳う。

実現したらそれこそ今までの生活が全く新しいかたちに変わってくるのだ。

期待と夢を託してこの新しい接続方法について調べてみたいと思う。

3 光ファイバー

3−1 光ファイバーケーブルとは一体どんなものなのだろうか

ファイバー(Fiber)とは「繊維(糸)」の意で、つまり光を伝える髪の毛の先ほどの細い管のことだ(図6)。光ファイバーはCDプレイヤー(CDにレーザーを照射してデータを取り出すということ意味では光を電気信号に変える基礎技術は同じ)や病院の医療機器、クリスマスツリーの装飾品など幅広く活用されている。光ファイバーケーブルは大きく分類するとこのようになる。

1620年ごろスネルの法則というものが発見された。スネルの法則とは異なった屈折率を持つガラスなどの媒質の境界面に光が進入した場合に、2つの媒質の屈折率の違いによって進行方向が変わってしまうこと(屈折)を言う。そしてある一定以上の角度で、屈折率の高いほうから低いほうへ向けて光が進入すると光は屈折率の高いほうへ戻ってくる(全反射)。この法則を利用し、ひも状にした透明の材質(石英ガラスやプラスチック)を用いて光通信を有線として取り扱ったものが光ファイバーケーブルだ。 

光ファイバーケーブルの構造は外側から第一次被覆、第二次被覆、グラッド、コアの順に成り立っているが、このコアの部分を光が通るわけである。このコアの光の通り方が大きく2種類に分けられ、一つは「シングルモード」、もう一つは「マルチモード」と呼ばれる(図7)

シングルモードとマルチモードの違いはケーブル内を通る電波経路(伝播モードという。)の本数の違いで、シングルモードは伝播モードが1つ、マルチモードでは1つの波長の光が複数の伝播経路を通って伝播されていく。長距離伝送に向いているのは、伝播経路が1つであるシングルモードといえる。逆に伝播経路が複数あるマルチモードでは信号が到達するまでの時間にバラツキが出てしまううえに、距離や信号の速度によって状態が確定しづらくなってしまうので近距離の通信に向いている。

 

石英は地球上に豊富に存在しているが、光ファイバー自体はあまり安価とは言えない。そこで近年盛んに開発が進んでいるのがPOF(プラスチック光ファイバー)だ。従来のものに比べ、折れにくい、軽い、加工性に優れている、などの特徴を持ち、またコストパフォーマンスが高いため、今後が期待されている。

 

3−2 光ファイバーの利点と欠点

FTTHなら高速通信が可能になる、という。実は光ファイバーケーブル内を通過する光の速度はメタルケーブル内を信号が伝播する速度と大差ない。この場合においての「高速」と言うのは「目的地に到達するまでの時間が短い」というニュアンスではなく、「同じ時間でどれだけ多くの情報が転送できるか」といったニュアンスで使う。つまり1秒間にどれだけ大容量伝送できるか、ということである。

メタルケーブルで現在伝送できる電波容量は次世代目標としてでも600MHz程度でしかないのに比べ、光を搬送波として情報の伝送を考えると周波数は数百THz(テラヘルツ、ギガヘルツの1000倍)まで上がる。またセキュリティーも高く、電波にノイズが入りにくい。

その一方、光ファイバーケーブルは電力の伝送が出来ないという欠点もある。メタルケーブルは元々二本で一対をなしていて、例えば電話ならその一対で音声情報と電力の両方を運んでいる。しかし光ファイバーケーブルにはこのような能力はないため電力の供給源を別に用意する必要がある。つまり、実際各家庭にFTTHを引くならばそのためのシステムを設置する必要があり、コストも当然かかる。

それでもFTTHを利用しようとするのはやはり長距離・高速通信を可能にするということが魅力的なためだ。

 

 

4 FTTHの現状と未来

 

上で述べてきたように、現在ブロードバンドと呼ばれる中で一番期待されているのは光ファイバーによる常時接続・高速通信の環境である(図8図9)。まだまだ未開発の分野なだけにユーザーの期待が強まっているが、何故FTTHがまだ爆発的に普及していないのだろうか。確かに今の時点ではまだ整備や時期的に大型の普及は困難だとか、まだ一部の人間にしかその優性が認識されていない、まだほかのサービスに比べ価格的に気乗りがしない、等もあるかもしれないが、FTTHにも問題点がいくつか存在するからだ

 

4−1 集合住宅問題

いわずもがな、工事の問題だ。工事をしないことにはFTTHは引けない。

集合住宅による高速・超高速インターネットアクセスの円滑化
  ・IT化工事の実態を踏まえ、区分所有法の解釈の指示
  ・新築集合住宅に関するIT化標準の策定
  ・既存集合住宅に関するIT化標準の策定、改修のための合意形成マニュアル、技術指針の作成

※出典:首相官邸HP(http://www.kantei.go.jp/jp/it/network/dai7/7siryou09.html)

 

政府も色々検討しているが、民間事業者間の問題なため困難なのではないだろうか。例えば既存集合住宅の場合に元々の配線や建物の関係で工事が一筋縄ではいかない事も多いだろうし、他の住民と折り合いをつけるとか大家の了解をとるとか、気が遠くなるほど大変な作業になる。加えて新しく光ケーブルを最寄の電柱まで通してもらう場合、「電柱問題」が絡んでくるために場合によってはいつ引けるかが全く分からない。なお、「電柱問題」とは、電柱にも権利や現状があるため、T:土地所有権の問題・・・公道なら自治体、私有地なら地主の許可が必要、U:電柱申請の問題・・・使用許可申請の遅れ/他事業者に対する透明性、V:ケーブル配線の問題・・・新規配線のスペース不足/電柱の強度不足、といった様々な問題が発生することである。(ちなみに私の自宅ではこのためにケーブルテレビを引くのを断念した。待っていたら何年かかるか分かったもんじゃない。)

4−2 地域格差

 

現在大きく展開されているADSLの状況を2000年の国勢調査から見ると、1000世帯あたりの加入件数が関東は22件以上に上るのに対し、北海道や中部、四国などは5件前後と非常に差が激しい。そもそも地方ではサービス自体が展開されていないことによる。現実にはこういったサービスはいつも大都市から展開されていく。通信業界は既に民間業者主導で進んでいるのでビジネスチャンスが少ないと判断された地方や郊外は常に後回しされる。

現在各地の地方自治体が建設を進めている「地方公共ネットワーク」は県内の各都市を高速アクセスラインで結び、東京や大阪へのバックボーン回線を共有してサービスを誘致し、安価に提供する形のものが多い。

e-japan構想では「全ての国民がITのメリットを享受できる社会」を実現すると謳っている。

通信サービスは等しく全国で民間企業によって展開されるべきだろうが、なかなかそうはいかない現状がある。

このほか電気通信市場においての競争環境の整備や最適な周波数の配分についての調査、IPv6(インターネット人口増加に伴うIPアドレス不足の対応)、プロバイダの責任ルール、学校教育など、問題は山積みになっている。

 

5 FTTHは本当に必要なものなのか??

 

結論を言ってしまえば必ず必要なものだと思う、いや、必要になるだろう。今の時点でADSLが更に普及されれば、それを前提としたサービスが登場してくる。人の通信に対する要求は速さ、快適さを求めて高みへ、高みへと上ってきており、それに呼応してサービスも8Mbpsでもカバーできない帯域に入っていくはずだ。現在の技術の中でFTTHが最高水準であるかぎり、今は必要と感じなくてもいずれはFTTHへと向かっていくことになるだろう。政府も「背中を押しますよ」と言ってくれている。

しかし本音をいってしまえば私は本当にe-japan構想が必要なのかどうかはまだ疑問だ。確かに情報社会といえる現在、日本はITが経済大国として力不足で発展途上な状態にあるのだろう。だがこの計画は少し性急すぎないか。目標を設置したこと自体は大変意義のあることだと思う。だが、はたして国が目標を達成したところで肝心の国民はその変化に上手く適応できて、かつ、それを有意義に使いこなせるのか。(私の母親など携帯電話はおろか、ビデオの録画もできないというのに・・何でそんなのができないのか不思議に思うが、私があと30年後に自分の子供に同じ事を言われないという自信は全くない。)構想のなかで政府はあくまで「民間が主導的役割」と定義しているが、本当に民間で全国をカバーできるのか、またそれがもしコスト改善されないまま不可能と判断されたとき、国が支援した場合にまたかつての高速道路や鉄道の二の舞になるのではないだろうか。また、サービス業者は激しい低価格競争を繰り広げているがはたしてついてゆけるのか。アメリカではすでにADSLの大手であるノースポイント、リズムス、コーバッドの三社が激しい競争の末に破綻という結果を迎えている。

いずれにせよ、これから5年、10年後にどのように情報技術が発展していくのか不安を抱きつつも、非常に楽しみだ。

 

参考文献

internet magazine」(株式会社インプレス) no.83 <2002.01.01発行>

no.84<2002.02.01発行>

「始めよう常時接続」アスキームック

「ケーブルランド」http://plaza4.mbn.or.jp/~kjira/cable_tv.html)

「情報通信研究所」http://www.icr.co.jp)

SEの運営する情報サイトMroomhttp://mroom.cool.ne.jp/)

有線ブロードネットワークスhttp://www.usen.com)

 

Copyright 2002, Yoko Morimoto

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