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企業による生産と生産管理

大野 信吾

目次

1.生産管理

1-1.生産管理

1-2.生産管理の第一次管理

1-3.生産管理の第二次管理

1-4.生産管理の機能

 

2.資材の管理

2-1.資材の調達・納入の方式

2-2.トヨタ自動車の資材調達

2-3. トヨタが求める製品の特徴

2-4.部品調達のコスト削減

2-5.部品メーカーの再編成

2-6.部品のモジュール化

2-7.新しい部品調達

 

3.生産

3-1.生産・製造

3-2.生産システム (代表的な生産システム)について

 

まとめ

 

1.生産管理

-1生産管理

生産とは、販売に対応した経営機能のひとつであり、市場、顧客からの要求に応じて、目的とする機能と品質を持った商品を、経済的に(安く)、納期どおりに作ることである。つまり、「一定の品質と数量の製品を、所定の期日までに生産するために、企業の資源、すなわち人的労力、機械設備、材料などを経済的に運用させること」である。

 自動車会社を含む自社製品を生産する企業は、下記のようなビジネス・オペレーションのサイクルを持っている。

 

研究 − 開発 − 設計 − 試作 − 生産準備 − 調達 − 生産 − 販売

 

 研究から試作までを“開発”、生産準備から生産までが“生産”、販売は“販売”の3つの部門に分けられることが多かった。現在では、職能別組織よりも、製品別組織によるビジネス・オペレーションの円滑さが重視されている。

 生産能力より販売能力が大きく、販売能力より開発能力が大きい方がうまくゆくと言われている。これらは消費者の購買態度という経営環境の変化に対応したものである。1人ひとりの消費者の消費行動が、非常に幅広くなっている。消費者は生活場面において、それを使い分けている。このような消費者の消費行動をよく見て、自社をどこに専門特化していくかが重要になっている。それが、そのままブランド構築となっている。

 そして生産管理の目的は「要求される品質の製品を、要求される時期に、要求量だけを、効率的に生産すること。」 ただし、生産管理は、企業目標達成の手段であり、目的ではないことに注意することである。

 

1-2.生産管理の第一次管理

 生産管理の第一次管理は、以下の二次管理同様に、トラブル時において使われることが多い。それはQ(品質)、C(コスト)、D(納期)で、それぞれに対応して「品質管理(Quality control)」、「原価管理(Cost Management)」、「工程管理(Product Control)」の3種からなる。現在これらの管理の内容は、消極的から積極的な管理という方向にある。

 品質管理は“不良品を排除する”から“良品であることを保証する”へと展開している。ただ単に品質をコントロールするQuality Controlから、“品質によって生産を管理する”、または“品質によって経営を管理する”Quality Managementの方向に置き換わりつつある。差異化した特徴ある品質を作り込むことに重点が置かれている。

 原価管理は“予定原価(future cost)を超えない”から“予定原価を引き下げる”へと展開している。

 工程管理は“納期を守る(遅れない)”だけでなく、“注文に応じて生産する”という在庫を持たないことが要請されている。更に、消費者の購買行動に適合したモノ作りが求められている。つまり、競争激化と消費者の価値観の多様化により、製品を持つことのリスクを減らすこと、つまり、キャッシュフローを使わないこと要請されている。

 

 これにP(生産性:Productivity)、S(安全:Safety)、M(モラール:Moral)を加えたPQCDSMが合理化の目標である。P(生産性)はいまだ解釈が統一されていない。最も主流の考えがProductivityの生産性と考え、生産しやすい設計を行うである。また、Productionsとし、お客様の望む商品を造るということである。後から付け加えられたあいまいな概念である。

 S(安全)は人間尊重の方向を意味するもので、危険や災害の防止として職場の安全・衛生等の作業環境と、公害防止やリサイクル等の地球環境問題をも含んでいる。

 M(モラル)は従業員の労働意欲を高める、組織の活性化である。仕事において、自分が主人公であると実感できるシーンをどれだけ持つことができるかが、活性化のポイントです。いきいきと仕事に取り組めるキーファクターは、「重要な仕事」が「自分に任され」ていて、しかも「仕事に変化がある」ことである。このような意味で、各人をヒーロー・ヒロインとするシーンをいかに多く提供してやるかが管理者の大きな目標となる。

 

1-3.生産管理の第二次管理

 生産管理の第二次管理は、生産要素に対する管理であり、同様にチェックリストの役目を持つ。一般に工場経営は7つの要素、いわゆる7Mで manmachinematerialmethodmarketmoneymanagement によって構成される。生産活動を構成する要素としては最初の4つ、生産主体(作業者)、生産手段(設備・機械)、生産対象(材料)、生産方法という4つのM(manmachinematerialmethod)である。

 

@生産主体に対する管理(作業者管理)

 生産主体は最近男女差別という考え方によって最初のManhuManに置き換える文献もある。直接的な目標としては、生産計画の実施に必要な人的能力の向上と、組織学習の機能を備えているか。

 

A生産手段に対する管理(生産設備・工具の管理)

 生産手段には、工具、機械、装置のほかに建物、施設や土地も含まれる。設備管理のねらいは、設備を通して生産性の向上(生産停止時間の減少、不良の減少、保全費の節減など)を図ることにある。それで従来の破損修理(ブレークダウン修理)という消極的対策から、予防保全(preventive maintenance)へと進んでいる。

 

B生産対象に対する管理(現品管理)

 生産対象は原材料とか部品、半製品とか呼ばれるものである。また、材料の使用目的(最終製品との関連性)によって、直接材料(direct material)と間接材料(indirect material)が含まれる。これにはVE/VAに関する事項と、マテアリング・ハンドリングに関する事項がある。

 

C生産方法に関する管理

 生産方法は単にモノを作るのではなく、与えられた資源を有効に活用し、品質、コスト、納期の目標を達成するために最適の方法を選定する。それを誰にでも容易かつ正確に実施できるようにするために、生産方法を明確化し、技術標準から作業標準という順序によって具体的に定められる。現在では生産計画等を含んだより大きな概念として、生産情報(Information)とする考えが主流である。

 

1-4.生産管理の機能

 生産管理(Production Management)の機能は生産計画(Production Planning)と、生産統制(Production Control)の2段階に大別される。さらに、生産計画は基本計画と業務計画とに分けられる。基本計画は販売計画や利益計画の一環をなしている。経営方針や需要予測に基づいて販売計画が立てられると、これに対応して生産計画が立てられ、両者を調整して計画内容(生産品目、生産数量、納期)が決定される。

 現在間接業務の削減が言われている。計画の部分を充実させ、統制の部分の負荷を減少させることが、全体として最も効率の良い方法である。生産は販売に対応した活動であるから、生産計画をより確実なものにするには、販売情報の集約が最も重要である。最近の情報技術が販売情報の収集・分析を短時間で行うことを可能にしている。

 

(1)生産計画

 生産計画の内容は、日常業務以前の段階の基本計画と、日常業務の運営を行なう業務計画に分けられる。基本計画は、長期的な経営方針に基づいて生産部門の構造、活動方針を決定する。これには新製品の開発計画、試作品の量産移行計画、モデルチェンジの計画、工場建設と職場編成の計画、資材の調達とVEの計画、内外作区分と外注利用計画、基準生産能力計画などがある。また、業務計画は、日常の販売計画に対応して品種、数量、納期を決定するもので、手順計画、工数計画、日程計画などが含まれる。

     基本計画

     業務計画

@手順計画 (routing)

 加工の順序や方法、作業時間、使用機械などを決める

A工数計画 (loading)
 必要な人員および機械を算定し、現有の人員および機械の能力と比較して、両者を残業時間の追加、外注委託などにより調整する。

B日程計画(scheduling

 個々の加工予定を立てたり、材料手配の時期を計画することである。この場合、生産着手日を基準とするフォワード方式と、完成日を基準とするバックフォワード方式の2とおりがある。最近は、納期厳守と製品在庫の削減の目的からバックフォワード方式をとることが多い。この場合、生産期間はリードタイムもしくは手配番数(手番)と呼ばれている。つまり、リードタイム(手番)は着手日は完成日の何日前に相当するかを表している。

簡単なものにはガントチャートを使用し、複雑なものはアローダイヤグラムを使用する。

この日程計画は下記の大日程計画、中日程計画、小日程計画の順に徐々に具体性と精度を高めながら作成される。この小日程計画にしたがって製造命令が出さされる。ロット生産の場合には、その都度製造命令が出され、工程ごとに作業内容と作業者を割り当てる差立てが行われる。連続生産の場合には、包括的な製造命令が出さされる。

C人員・設備計画

 人員計画によって人員配置や補充方法を計画し、設備計画によって機械や治工具の調達ならびに整備方法を計画する。

D材料・外注計画 (materials planning)

 生産に必要な材料の所要量と納期の計画と外注品の数量と納期を計画

 

 手順計画と作業計画は、それぞれ手順設計・作業設計ともいう。手順設計は工程設計(process design)ともいい、工程の方法に関する決定であり、部品手配表(material list)と手順表(route sheet)の作成である。作業設計は作業に関する決定で、QC工程表までの作成することが多い。なお、QC工程表以後の指導表と作業標準は、現場部門で手順管理として作成することが多い。

 

(2)生産統制の方法

 生産統制は生産計画どおり実行されているか、日々の作業を統制することである。すなわち、手順計画に対しては手順管理(作業指導)、工数計画に対しては余力管理(工数管理)、日程計画に対しては進度管理という関係になっている。

 

@     進度管理(progress control, follow-up
 進度管理は進捗管理、納期管理(delivery date management)、日程管理とも言われ、生産統制のなかでは最も重要な機能である。進度管理の目的は、日程計画で定められたとおりに作業が行われ、進行状況を統制し納期を守るために行われる日程計画に対する実績の遅れのみを重視するのではなく、予定よりも早く生産したり、多く生産することも問題にしなければならない。現場管理者は絶えず作業の進度に注意を払い、必要に応じて作業者に適切な指導を行い、日程計画どおりの生産に戻すことを目的とする。
 ロット生産の場合、POP(Point of Product)システムを使用して、進捗状況を迅速に把握することが多い。POPを活用することによって、生産量の変更や特急品の対応がしやすくなる。

 

A     現品管理(material control

 現品管理は、現品(仕掛品)の所在と数量を常に把握し、その保管や運搬を的確に実施することによって、所定の数量の現品を管理し、日程計画どおりの生産を行う。すなわち、何が、どこに、何個あるかを確実につかみ、所定の数量と実際の数量とに差異が生じたら、その原因を調査し処置する。また、現品を確実に保管するとともに、次工程へ円滑に供給することも含まれる。

 

B余力管理(control of capacity available

 余力管理は能力(生産能力)と負荷(仕事量)との差を余力といい、作業者(機械)の余力を統制し、その能力を活用し、余力をゼロに近づけることです。負荷が能力より大きい場合は、能力不足(負の余力)をきたし、納期遅れの発生原因となる。逆に、負荷が能力より小さい場合は、能力過剰(正の余力)となり、作業者や機械に手待ち(遊休)が発生する。

 

C資料管理

 資料管理とは、日々の生産実績の記録をとり、生産計画どおりの生産が行われたかの資料を残すものである。生産統制の参考資料として利用するとともに、将来の管理資料を作成の参考にしたり、関係部門に管理情報を提供することを目的としている。例えば、現品管理で計画以上に部品を費消した場合の差違の資料などである。

 

D手順管理

 手順計画で定めた材料所要量、標準時間等で実際の生産が行われているかを統制するものである。

 

 

2-1.資材の調達・納入の方式

(1) 自動車産業の部品調達

自動車産業は総合組立産業と言われているように、原価の内70〜80%程度を部品として購入している。1台のクルマの部品点数は2万点とも、3万点とも言われている。実際には自動車会社に納入される部品は既にある程度組み立てされていて、部品点数はこれよりは少なくなる。数え方によって部品点数は異なってくる。1つの自動車工場はおおむね170〜180社のサプライヤーから部品調達を行っているという。

例)トヨタ自動車

協豊会 206社 部品サプライヤーの任意団体

栄豊会 122社 設備・物流サプライヤーの任意団体

合計 328社(協豊会・栄豊会の重複加入16社を除くと合計は312社)

 

(2) 資材の納入方法

自動車部品会社から自動車会社への納入方法

 

@順番納入(シンクロ納入)

 Aロット納入

  という二通りのやり方がある。

@順番納入

順番納入(シンクロ納入)は、生産する順番に部品を納入する方法である。順番納入で一番有名なのがシートである。自動車工場近郊に立体倉庫を持ち、自動車工場の生産順番によって1台1台のシートの納入指示を受け納入する方法である。その他、組付け済みのタイヤ・ホイールなどがある。自動車工場の生産順番は、艤装工程が1本のラインで、順序が入れ替わらない事から利用されている。

Aロット納入

ロット納入は、生産単位のロットで1日何回か納入する方法である。艤装ラインの大部分の部品がロット納入される。部品手配は予告、内示、購入、納入指示という手順によってなされる。一般に購入と納入指示は同時期に行われる。

 

(3) 部品の手配・納入方法

部品の手配・納入方法には、

 

@コンピュータ利用のMRPでの手配

Aトヨタ生産システムのカンバン方式

  

 という2つの方法がある。

@MRP(Material Requirements Planning)

MRPは資材所要量計画と訳されている。計画作成(プランニング)のソフトであり、統制の機能はなく、立案された製品の生産計画を受けて生産に要する、組立品、部品、原材料の所要量を求めるコンピュータ・ソフトである。

  このMRPはアメリカの生産・在庫管理協会の提唱により1970年に誕生し、自動車のみならず電気機器メーカーなど組立産業では、資材の調達から生産指示、生産までのトータル計画立案に利用されている

MRPは日程計画の大日程計画、中日程計画、小日程計画の順に計算をやり直すことによって、実行する生産計画を消費者が注文した車種に合わせて、資材手配を行う特徴がある。多品種の資材所要量の計算や計画変更の短時間での計算には、コンピュータを利用しなければ計算できない。多品種少量生産の効率化では、「必要量を必要な時に作る」こと、製品を作り過ぎないこと(過剰生産)と欠品・在庫切れ(販売機会損失発生)を起こすことなく素早く生産することである。生産計画の変更時には、MRPの計算をやり直したり、計画変更によって必要になる部品、余剰部品を明らかにすることができる。

Aカンバン方式

カンバン方式は、納入カンバンを使用し、自動車メーカーと部品メーカーの間の部品納入に使われている。カンバン方式はトヨタ生産方式でジャスト・イン・タイムを実現する手段である。MRPのような計算を繰り返すことなく、現物による管理を主体にした、つまり部品統制を効率よく行う納入方式である。カンバン方式での納入は、後工程引取(プル方式)と呼ばれている。カンバン方式そのものには計画立案能力がなく、カンバン数の増減によって対応している。そのため、生産変動を少なくするために、艤装ラインを流れる車種の平準化が必要になる。

トヨタはサプライヤーに対し、2種類の情報を提供する。
 第1は事前に決定された月次生産計画で、これは前月の半ばにサプライヤーに伝えられる。
 第2は日次情報で、トヨタに供給される実際の部品の数量を具体的に指定したものである。これら2形態の情報は、トヨタ側の引取方法に応じて代替的に使用される。すなわち、後補充方式と順序引き方式である。順序引き方式は、混流の艤装ラインの車両投入順序計画表に合致した順に各種部品を納入する方法である。この順序計画表は「ユニットオーダーテーブル」と呼ばれ、1日16回、いずれもトヨタに納入する4時間前に毎時に組付けラインに伝達される。月が変わると1日の所要量が変動するので、その所要量に合わせたカンバンの数量に変える必要がある。

月次生産計画に基づいた部品納入内示が、旬確定とディリー確定によって修正される。これがカンバンが回ることによって納入指示が出される。カンバン方式では一般的に1日昼勤・夜勤で8回納入される。その内時間区分1、3、5、7又は2、4、6、8で1日4回納入している。ラインでは通函から最初の1個目の部品を取り出す時、通函からカンバンを取り出し、近くのカンバン用ポストに入れる。これを1日16回決められた時間にポストからカンバンを回収する。回収したカンバンのバーコードを読ませて、新しい納品書を発行する。カンバンと納品書を部品メーカーに返却し、1日後の同じ時間帯に部品にカンバンを付けて納入する。納品と同時に納品書を読ませ、計上処理を行っている。また、カンバン方式では所要量チェックにより不良部品数量を把握していると考えられる。

 カンバン方式は後補充方式と呼ばれるように、ラインサイドに一定の在庫数量があることを前提として方法である。よって、ラインサイドの在庫数量の管理しやすくなっている

 

(4) MRP方式とカンバン方式の利点と欠点

 MRPは計画第一の部品手配システムである。MRPは生産能力と資材調達の制限を考慮しなければ、どのような生産計画の資材手配計画を作れるという利点がある。生産計画で部品手配を行っているのは、艤装ラインの生産能力と内製しているエンジン・コンポーネントの生産能力を考慮しているためである。また、資材調達の制限は、別途確認しなければならない。このことはカンバン方式でも同様である。
 MRPは計画を作成するだけであり、変動する部品在庫を管理する仕組みを必ずしも持っていない。自動車工場では、車体工場や塗装工場での手直しによる生産計画の変更が常時に発生している。元の生産計画より遅れるクルマがあるということは、元の生産計画より早く生産するクルマがあるということになる。このような生産計画よりも早く生産したり、遅くなるクルマがあり、正確な部品在庫は把握できないことを表している。
特に、ライン上で発生した部品不良に対して無力である。その場合は、1点ずつ不良を確認し、作業者が勘と経験と度胸で、その都度別途部品を補充手配をしなければならない。
この2点によって、MRPは必ずしも自動車工場に適した部品手配システムであるとは言い難い

 カンバン方式では、カンバンが回ることによって資材手配の小調整を自動的に行う利点がある。資材手配の小調整は、生産計画の小調整と、生産計画外の小調整がある。生産計画の小調整は、月単位の生産計画の内示に対し、旬確定と車体色・オプション設定のディリー確定との差である。そのため、部品手配の平準化を維持するために、上記のオプション変更は10%程度と制限されている。
 生産計画外の小調整は、車体工場や塗装工場での手直しによる生産順序の変更、取り付け不良の発生による部品補充がある。生産計画外の小調整は、在庫管理の小調整とも言える。
 カンバン方式では、ユーザーのオプションに対する要望を十分に反映できていないという欠点を持っている。ディーラはお客様の注文に迅速に対応するために、予め生産枠を確保している。実際に顧客から注文をもらった時、オプション変更が10%程度の制限されているため、必ずしも顧客のオプションに対応できるとは限らないのである。この場合、ほんとうに顧客が望むオプションと異なるクルマを、仕方なく販売するようになってしまう。

 

(5) 電子カンバン方式

 艤装ラインでの部品手配では、今までのカンバン方式とMRPによる優劣はつけがたかった。
 MRPは計画立案のソフトであり、カンバン方式は制御の方式であり、求めているものが異なっている。MRPによる手配を行っている企業に求められるのは、在庫管理に係る多大な統制管理コストの削減である。カンバン方式を採用している企業に求められるのは、オプション変更等による生産の自由度を拡大することで顧客対応力を向上させることである。将来は、カンバン方式がMRPの機能を吸収する形での電子カンバンに発展するものと考えられる。

 この方式のカンバン方式では、ものとしてのカンバンは必ずしも納入時間帯ごとに返却しなくても良くなる。これによって、カンバンが紛失したりすることによるトラプルを避けることができる。ICタグが普及し、カンバンに使用されるようになれば、ラインサイドの実在庫を高い精度で管理することが可能となったり、ラインの進度にあわせた部品手配ができ、車体工場や塗装工場での手直しを反映して、出現の確率を反映して安全在庫を持った発注ができたりすることが一段と現実味を帯びてくると予想される。

   しかし、電子カンバン方式でも決まった部品を効率的に補充するシステムにしか過ぎない。自動車会社の部品在庫を削減されたが、部品会社では発注に備えて在庫は増加してしまうのが現実である。

 

(6) 調達・購買の情報化 SCM(シッピングカートンマーキングラベル)によるノー検品

 自動車工場への部品納入は、物流においては無検品納入で、商流においては納品書をコンピュータに読ませることによって経理上の計上につなげている。ピッキングの省力化・正確化を目的としたSCMラベルの使用がある。このラベルは、部品会社や納入代行業者がピッキングされた単品別部品を入れるコンテナやパレットに付けられる。部品会社や納入代行業者から事前出荷情報を、自動車会社に電送する。これにより、検品がSCMラベルのスキャニングのみで済むようになることである。信頼されるピッキングと、単品梱包の際のスキャニングによる再チェックを基に事前出荷情報を作成する。ピッキングが終わったパレットの部品のバーコードを読ませることによって、SCMラベルに含まれる部品に誤りがないかを再チェックするものである。現在の部品ごとの納品書では、部品が納入されてコンピュータで読み取らせるのに時間がかかっていたのが、SCMラベルでは即時に納品を確認できる。また、納品書の読み込みの工数を大幅に短縮できる利点もある。

 

2-2.トヨタ自動車の資材調達

(1) トヨタの資材調達とサプライヤー

 トヨタ自動車は、「オープンでフェアな調達」をモットーとして、住みよい地球と豊かな社会作りに貢献していく為に、魅力ある製品をつくりあげていくパートナー(サプライヤー)を、広く世界中に求めている。

   サプライヤーとは一般的に特注部品の納入業者を示す。同じような言葉にベンダーという言葉がある。これは世間一般に流通している物品を購入する場合の購入先を示す場合に使われる。自動車部品業界ではサプライヤーというのが一般的である。

 

(2) トヨタの調達の基本方針

 次の3つの基本方針に基づき、調達活動を展開している。

@オープン・ドア・ポリシーに基づく、公正・公平な調達活動

A長期ビジョンの中で、サプライヤーとの相互信頼に基づく相互繁栄

B良き企業市民を目指した現地化の推進(国内外の社会・経済への貢献)

  これら3つの基本方針は『世界最適調達を目指して』展開されている。

@オープン・ドア・ポリシーに基づく、公正・公平な調達活動

 取引を希望される国内外のサプライヤーに対して、国籍、企業規模、取引実績の有無を問わず、オープンで公正かつ公平な参入機会を提供している。サプライヤーの選定に当たっては、品質、原価、技術、納期等の能力に加え、継続的な改善に取り組む経営姿勢、体制等を総合的に勘案している。

A長期ビジョンの中で、サプライヤーとの相互信頼に基づく相互繁栄

 長期的なビジョンの中でサプライヤーと相互繁栄できる取引関係の確立を目指し活動している。その基礎となる相互の信頼関係を築くため、サプライヤーとの密接なコミュニケーションの促進を図っている。

B良き企業市民を目指した現地化の推進(国内外の社会・経済への貢献)

 国際化が進展する中で、現地生産を積極的に推進している。現地生産に当たっては、地元の企業として地域の社会・経済に貢献できるよう、現地のサプライヤーからの調達を積極的に推進している。

 

(3) 世界最適調達の仕組み

「世界最適調達」を推進する為、世界で最も競争力のあるサプライヤーを選定し、そのサプライヤーの競争力向上を支援するための仕組みを運営しています。そして、この仕組みは、3つの柱から構成されている。

 

(4)世界最適調達の仕組みの3つの柱

1.世界中の購入部品のコスト競争力を比較分析できる 

         『国際価格比較システム』

2.競争力のある新規プライヤーや新技術を発掘するための 

         『新サプライヤー・新技術開発プログラム』

3.世界でベストな現行サプライヤーの競争力がさらに向上するように支援するための

         『現行サプライヤーへの改善支援プログラム』


図1 世界最適調達の仕組み


2-3. トヨタが求める製品の特徴

  <トヨタの製品造りの将来像>

  人に優しく、社会や地球環境と調和し、世界中の顧客の要望に応える魅力あふれる商品を提供するため、「格段にコストパフォーマンスの高い製品」、トヨタ車の価値を一段と高めるような「画期的な新製品」を求めている。

トヨタの求める製品の特徴の例

1 .地球環境保全に役立つ製品(低燃費・低公害・省資源・リサイクル性など) 

2 .高品質・高性能な製品(耐久性・信頼性・サービス性など) 

3 .アメニティー・ユーティリティーの向上に役立つ製品 (安全性・快適性・居住性・ファッション性など) 

4 .経済性(コストパフォーマンス)の高い製品   

5 .ITS(Intelligent Transport Systems)や 高度情報化に対応する製品

           このほか、設備・製造用機械・事務用機器などについては、  「高度生産システムの構築」、「生産性の向上」、 「ランニングコストの低減」等に  つながる製品も求めている。

            

2-4.部品調達のコスト削減

1980年代に、日本車に品質とコストで圧倒されていた欧米自動車メーカーが、その対策として考えた最も効果のある方法が部品調達であった。日本の自動車産業の研究として、現場管理、研究開発、部品調達の順に研究が行われた。しかし、最も効果があったのは、部品調達、研究開発、現場管理の順番であった。

日本の自動車部品取引の構造の特徴は

           完成メーカーの低い内製率

           少数部品メーカーとの長期継続的取引

           部品メーカーの高い開発関与率

 などである

 日本の自動車メーカーの内製率は欧米企業に比して低く、30%台に留まっている。1980年代にはGMなどは70%であり、平均でも50%台であったとされる。GMの部品事業部のデルフィ、フォードのビステオンを独立させ、内製率は低下してきている。1980年代の研究では、GMは5500社の部品メーカーから資材を調達していたのに対して、トヨタは172社であったという。

 日本の一次部品メーカーは、長期的継続的な取引をベースに、自動車メーカーの新車開発へ深く関与してきている。関与の仕方には、貸与図方式と承認図方式の2つの方式がある。貸与図方式とは、自動車メーカーが開発・設計を行い、部品メーカーに対して設計図を貸与して製造させる方式である。承認図方式とは、自動車メーカーが自ら部品を開発・設計し、設計図に対して自動車メーカーの承認を受けて部品を製造する方法である。購買部品に対する承認図方式の割合は、日本では約60%であるのに対して、欧米では約20〜40%であると言われている。日本における承認図方式の多さは、自動車メーカーが長期的継続的な取引関係にある部品メーカーを使って、設計の外注化を行い、社内の開発工程不足への対応を図ろうとした歴史的経緯に由来している。

 トヨタ自動車と日産自動車では、同じ承認図方式でも日産自動車の方が関与が大きかったと言われている。日産のリバイバルプランで部品単価引き下げできたのは、承認図の関与を引き下げ、部品メーカーに設計を任せ、低コストでの生産を可能とした面も大きい。

ルノー社のオプティマ方式とフォードのTA方式とも、日本の部品調達をよく研究し、利点の多い方式となっている。自動車メーカーは目標に至るまでの道は異なっているが、目標となるべき部品調達の形は似たようなものになっている。日本では物流コストとも呼ばれるが、単なる物を運ぶコストではなく、開発も含めた部品調達全体を含んでいるのである。

 

2-5.部品メーカーの再編成

1990年代、部品メーカーの系列崩壊が喧伝された。日産自動車が取引部品メーカーの数を半減し、トヨタ系列の部品メーカーとの取引を始めたことから、系列崩壊は実現したかのように思われたが、実際は、日産自動車が体質を変えたことにより、系列部品メーカーも体質を変えざるを得なくなり、再編成が行なわれただけと考えられている。自動車メーカーは自分自身の身の丈に合った系列部品メーカーを持っているのである。日産自動車が系列部品メーカーは日産がルノーと提携し共同購買になり、保有株式を手放したことにより、海外の部品メーカーと提携することとなった。

 GMとフォードは社内の部品事業部を独立させたのに対し、トヨタは系列部品会社への出資率を上げた。トヨタは逆の流れをしていると言われたこともあった。トヨタは高品質な生産をコア・コンピタンスにしているのに対し、GMやフォードは付加価値の高い商品への集中をコア・コンピタンスにしている。身の丈に合った部品系列は、コア・コンピタンスを反映している。ホンダは走りの良さをコア・コンピタンスにしているため、エンジン・足回り部品の会社は関連会社が多い。

 

2-6.部品のモジュール化

(1)部品のモジュール化の背景 

部品のモジュール化の背景には、世界的な自動車生産能力の過剰があると言われている。

   自動車会社は今後コア・コンピタンスをより消費者に近いところに求めなければならない。言い換えれば、社内の経営資源を消費者対応により多く向けなければ生き残れなくなっている。
 中・長期的課題として、自動車メーカーは次世代技術と呼ばれている環境と安全の技術に対応したクルマを開発しなければ生き残っていくことができなく、環境と安全の技術開発には、多大な資金を必要としている。
 短期的課題として、低価格競争の中で消費者の嗜好の変化に、短期間で対応しなくてはならなくなっている。つまり、新しい消費者の嗜好を反映したクルマを迅速に開発するという、開発期間の短縮化する必要がある。プラットフォームの統合によって、同じ部品を100万から200万個生産する量産効果によるコスト削減と、同じプラットフォームを使用したクルマが多くなる多様性のコスト増を回避する仕組みがモジュール化である。部品のモジュール化によって部品の開発時間を短縮し、部品単価を下げることができる。工場をスリム化し、生産効率を上げることができる。

 

(2)モジュール化の発展

  モジュール化には発展段階によって、組立てを主にしたモジュール化と、開発を主にしたモジュール化の2つの段階がある。
 組立てを主としたモジュール化は、車体に直接取り付けていた部品を、サブアセンブリーしてから車体に取り付ける方法である。自動車工場内もしくは、近郊の工場で部品会社によるサブアセンブリーを行う。副次的効果として、生産工程の短縮、仕掛品を削減する効果がある。これによって難作業を簡素化して生産効率を上げることが主な目的である。この方法はもともとは日本の自動車会社が行って、生産性に効果のあることがわかり、欧米企業でも行われ、現在では、欧米自動車会社のほうが進んでいると言われている。このモジュール化は、相対的に安い部品会社の賃金水準を利用して、クルマの生産コストを軽減させている。

 現在のモジュール化の考え方は、もうひとつの段階であるモジュール化を開発に適用した考えだ。これは部品会社の提案力を利用して、モジュール部品を開発するものである。従来の部品会社のVE(バリュー・エンジニアリング)提案では、部品会社が扱っている部品に限られるため、効果も限定されていた。部品の大括化により、大きな部品の単位として考えることによって、VE提案等のコストダウンを行いやすくしたものである。

 

2-7.新しい部品調達

新しい部品調達方式として有名なのが、ルノー社の『オプティマ』制度と呼ばれる1社集中購買制度がある。集中購買制度には別に大きなメリットがある。仕入れ担当者ないしは発注担当者の削減と、それに関連したコスト削減である。

 

『オプティマ』制度

 主要部品1種類ごとに競争力ある部品メーカー1社を選び、まとまった発注量を保証する見返りに、量産効果によるコスト引き下げや特注製品の開発、海外共同進出などの協力関係を構築するのがねらいだった。これが「オプティマ」と呼ぶ購入業者指定制度だ。

           価格競争力と技術力に優れている。

           世界の主要地域に生産拠点を持つ。

           ルノー以外の自動車メーカーとの取引き実績がある

   などが「オプティマ」を選ぶ条件だ。認定されるとルノーの新型車開発プロジェクトに優先的に参加でき、新モデルの購入部品の70%のシェアが保証されるなどの利点がある。

 その代わり、

           市場価格に勝る納品価格を設定するなど、コストや品質の競争力確保

           最新技術製品の優先供給

           グローバルな供給体制を作り、ルノーの国際戦略に協力する

   といったことが求められる。

 ルノーの外部部品メーカーへの依存率は高く、外部部品メーカーからの調達率は約80%、購入額にして年間1460億フラン(約3兆円)にのぼるという。ルノーは取引のある約500社のうち30社をオプティマサプライヤーに認定しており、独ロバート・ボッシュや仏ミッシュラン、ヴァレオなど大手メーカーが名を連ねている。日本の光洋精工も入って、光洋精工では2001年発売の「クリオ」最新モデルに電動式パワーステアリングを供給している。

   ここで注意しなければならないのは、『オプティマ』制度はプラットフォームと密接に結びついていることである。  

 

2-8.トヨタの部品調達における原価低減の方法

 トヨタ自動車では、新型カローラの開発において、主要部品ごとに構成した172の部門横断チームが、設計段階から横断的に協力してコストと効用を洗い直し、旧型車に比べ原価の3割削減を行ったという。2000年7月からは『CCC21』(コンストラクション・オブ・コスト・コンペティティブネス)と呼ぶ新しい原価低減活動を開始した。部品調達コストの30%削減を目指す2001年度からの原価改善3ヶ年計画でも、系列部品メーカーと共同で設計段階から徹底してコストダウンを進める方針である。中核となる各品目ごとに、部品メーカーとトヨタ本体の各部門のスタッフが共同参加する原価低減チームを編成し、部品ごとに国際価格を意識した絶対価格を設定して、部品の設計段階から原価の基本構造を見直すものである。


 

3.生産

3-1.生産・製造

生産(production) とは、基本的には生産要素(原材料、労働力、機械など)を有用な財(有形、無形)に変換する過程(プロセス)である。近代経済学者はこれを生産関数で表し、マルクス経済学者は価値増殖過程で表現し、技術者や経営学者は工程フローダイアグラムで示す。生産される財は、有形ならば製品(product)、無形ならばサービスと呼ばれるが、実際にはこの区別は厳密ではなく、たとえば金融業界などでも、「製造」「商品」という言葉を使う。

 製造(manufacturing)という言葉も、「生産」に近い使われ方をするが、これは有形財の生産に限定して使われることが多い。製造業といえば、有形財を生産する企業の集まりであり、サービス業は原則的に含まない。ただし、アメリカではmanufacturingは設計・開発を含む広い機能を表すこともある。いずれにしても、製造とは、有形の素材を有形かつ有用な財に変換(transform)する過程である。

 

3-2.生産システム (代表的な生産システム)について

 

@T型フォードの大量生産方式(フォードシステム)

 個別作業ごとの標準作業時間と手順が定められ、実験中にはヘンリー・フォード自らストップウォッチを手に作業員の動きを注視したという。結果として生産過程では、フレデリック・テイラーが提唱した科学的生産管理法「テイラー・システム」がいち早く実現されることになったわけであるが、フォード自身はのちに「我々自身の研究の結果であって、テイラーの構築した手法を意識して導入した訳ではない」とコメントし、テイラーとの関係を否定している。

複雑な作業工程も、要素毎に分解すればほとんどが単純作業の集積であり、個々の単純作業は非熟練労働者を充てても差し支えなかった。作業工程はベルトコンベアによって結合され、熟練工による組立よりもはるかに速く低コストで、均質な大量生産が可能になった。

@-2フォードシステムの形成

 ヘンリー・フォードと彼の会社による、いわゆるフォード生産方式の出現は、アメリカにおける大量生産方式の「真打ち」といえる事件だった。

 フォード生産方式は。第1に専用工作機械の加工精度向上による真の「部品互換性」の達成、第2にプレス工程の内製化による成形部品の高速製造、第3に「移動組立方式」(ムービング・アセンブリーライン)の導入を骨子としており、その完成は概ね1913年のハイランドパーク工場においてである。このうち「フォードシステム」の目玉は「移動組立ライン」であるが、このアイデアの源泉は、シカゴの加工肉メーカーや小麦粉メーカーの生産ラインにあったようである。ただし、「フォードシステム」の本質は、組立・加工・成形工程全体における大量生産の確立であり、「移動組立ライン」のみを過度に強調すべきではない。

 いずれにしても、フォードシステムは「ヘンリー・フォード個人の天才的ひらめきから突然生まれた」といった単純な英雄物語ではなかったようである。むしろ「ヘンリー・フォード率いる一群の生産技術者や現場作業者・監督官による、継続的な実験・試行錯誤・工程改善の積み重ねにより出来上がったもの」というのが実像であったようだ。

 

Aリーン生産システム

リーン生産システムは、トヨタ生産方式をもとに、同方式を研究して編み出された。マサチューセッツ工科大学のジム・ウォーマックによって提唱された。製造工程におけるムダを排除することを目的として、製品および製造工程の全体にわたって、トータルコストを系統的に減らそうとする。

1980年代にMITで行われた日本の製造業の研究において、特に研究が注力されたのは、ジャスト・イン・タイム生産システムに代表されるムダを徹底的に排除したトヨタ生産方式である。トヨタ生産方式では、7つのムダを定義し、それを減らす、なくすことに注力している。このムダを、会社についた贅肉に見立て、贅肉がとれたスリムな状態で生産活動を行うことを目指す生産方式が構築された。贅肉がとれた、を現す英語のLean(リーン)を用いてリーン生産方式と命名された。

日本の製造業の生産システムはボトムアップ型に基づいた暗黙知ベースのシステムが形成されていることが多い。その中で結果としてムダが排除されていく。但し、ボトムアップでは部分最適に陥りやすく、局所的にムダが排除されても全体で見た場合はムダが排除されきれないことが発生しやすい。いびつな贅肉の取れ方が起こりうる。MITで行われた研究では、これをトップダウン型の形式知ベースのシステムとの融合、およびそれの体系化である。トップダウン型になることによって、全体最適を追求しやすくなり、組織全体としてバランスよくムダを排除しやすい。

1990年代に入り、リーン生産方式はアメリカの製造業に広く普及し、2000年代に入って日本へも紹介されるようになった。日本発のシステムがアメリカから逆輸入されたような形である。これは、リーン生産方式が既に体系化されているため紹介されやすかったこともあるが、トヨタ生産方式自体常に進化し続けるものであり、アメリカで進化した方式を取り入れて更に進化しようとする動きの現れでもある。


 

 

まとめ

企業は顧客に要求される製品を、要求される時期に、要求されるだけを、効率的に生産することを目的に生産管理を行い、それを効率的に実行するために生産システムを構築しているのである。

 

 

 

 

 

 

参考

生産管理講座(http://www1.harenet.ne.jp/~noriaki/link7.html)

 

藤本隆弘「生産マネジメント入門1[生産システム編]」日本経済新聞社

copyright 2007, Ohno Shingo

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