開設の理念と目的

日本古来の伝統宗教である神道を中心とする日本の伝統文化と、内外の諸宗教およびそれに関連する宗教文化の意義、役割・機能等への比較理解を深め、以って内外の社会における宗教的文化の健全な育成と発展に寄与・貢献しうる研究・教育を推進することが神道文化学部の理念である。

神道学科は戦前の旧制学部・神道部に代表される「学問の研究・教授を通じての有為な神職養成」という本学設立以来の使命を継承し、今日に至った。翻って、戦後の本学は、新制文学部の拡充、経済学部・法学部の新設など新時代に対応した教学体制の整備・充実をはかってきた。

これは、戦後の社会状況に対応した適切な措置であり、相応の成果を挙げてきたと評価できるが、他方では、戦前の学部(つまり文学部のみの単科大学)が持っていた日本の伝統文化・歴史文化を学ぶことは、すなわち「神職」になるための学問を学ぶことでもあるといった認識が、学際的な教育課程・教学体制を維持することを困難にするという結果をも招来した。今、本学に求められているのは、学際的な教育課程・教学体制を現代に適応した形態で再び実現することであり、本学に学ぶ者はだれでも建学の精神である「神道精神」に則った学問とその精神を涵養する機会を平等に付与される教育環境の創造である。すなわち、神道文化学部は、「主体性を保持した寛容性と謙虚さの精神」を教育・研究を通して涵養することが本学の建学精神であるとの理念に基づき、現代社会に息づいている日本の伝統文化を再認識し、よりよい国家・社会の形成に「神道精神」を体して寄与・貢献しうる人材を養成することを目的として開設されたものである。

日本の伝統文化の根幹として長い歴史と伝統を有する神道は、宗教であるとともに、ことさら「宗教」として意識されることの少ない生活規範や習俗・慣習でもある。こうした神道の持つ二面性ないし両義性、さらには多様性を有する神道を体系的に学び、併せて内外の宗教と宗教文化に対する知識を習得することによって、神道をはじめとする宗教の持つ寛容性や非寛容性等についての理解を深め、国際化・情報化された現代社会における宗教の意義・役割等を適切に判断し、平和で健全な社会・国家の形成に寄与・貢献できる人材を、少しでも多く養成し、輩出できるようにすることが神道文化学部の使命であり、目的なのである。