研究目的
研究課題は期間内に、研究分担者・連携研究者と共同して次の4点を明らかにすることを目的としている。
第1には、國學院大學折口博士記念古代研究所所蔵の折口信夫博士民俗写真コレクション、坪井洋文博士撮影民俗写真のデジタル化と撮影地・主題・撮影内容等に関する分析を行い、これらの全容を明らかにすること。坪井博士資料は撮影民俗写真に関連する調査記録資料の目録化も行う。
第2には、折口博士・坪井博士民俗写真の活用を目的とした民俗画像資料データベースの内容と方法を検討し、画像資料検索に関するメタ・データの体系化を行うこと。
第3には、画像資料の研究活用に関する方法論について、折口・坪井博士の民俗写真撮影現地の民俗調査を行いながら検討を進め、民俗誌作成などにおける民俗画像資料の有用性を明らかにすること。
第4には、以上の研究を通じて民俗研究における画像資料の位置付けを明確にするとともに、民俗画像資料を扱うことができる若手研究者の育成を行うこと。
研究組織
平成20年度研究実施計画
研究課題の最終年度にあたる本年度は研究分担者・連携研究者と共同して次の5項目を並行して実施する。
1、國學院大學折口博士記念古代研究所所蔵の折口博士民俗写真コレクションについては、平成19年度にデジタル化した1850コマの写真とデジタル化が済んで整理を行っていた写真と合わせて目録作成を進める。また、これら大正・昭和期の民俗写真について、撮影地の現状との対比調査を行う。坪井博士撮影民俗写真は19年度までに9216コマのデジタル化が終了しており、20年度もこれを継続する。坪井博士民俗写真は、撮影フィルム単位での目録化が平成19年度に完了し、本年度には目録公開を行う。また、坪井博士のカラー写真のポジとネガフィルムで、劣化しているものは保全を行い、さらに関連する録音(オープンリール)のデジタル化も行って資料化を進める。
2、民俗画像資料データベースに関しては、画像資料検索のメタ・データ体系などの検討を継続する。これは民俗画像資料研究会を開催して進め、外部からの専門的知識の提供も受けて、現時点までの研究成果をまとめる。
3、折口博士民俗写真・坪井博士撮影民俗写真を基にした民俗画像資料の研究活用法についての調査を継続する。これによって民俗画像資料を用いた民俗変化の分析と叙述など、民俗誌作成の検証を行う。具体的には伊豆諸島、佐渡、佐賀県加唐島などの民俗調査を継続して進めるが、本年度はこれまでの成果を活用し、民俗写真パネルによって昭和30年代と現在を比較する展示会「島のくらし 50年の変化─坪井洋文博士民俗写真から─」(仮題)を國學院大學(東京都)、岐阜市、近畿大学(東大阪市)などで開催し、図録も作成して一般公開する。
4、民俗画像資料の研究利用に関する民俗学・民族学(文化人類学)の学史的検討を継続する。前年度までに『土俗と伝説』『民俗芸術』『民俗学』『民族』『旅と伝説』掲載の画像資料のデータベース化が完了しているので、本年度は人類学関係の学術誌を対象とし、民俗画像資料の研究利用に関する推移と傾向を把握する。
5、民俗画像資料に関する若手研究者育成のため、研究代表者の指導のもとで、國學院大學大学院在学者などを研究補助者として上記の1〜4の実務に参画させる。
関連活動