第2章 第2節 組織構造の比較研究【第2章の目次へ戻る】
官僚制に基づく経験的研究は、1950年代まではGouldnerやBlauのように事例研究を用いたものが中心であったが、1960年代に入って組織自体を分析単位として多数の組織の構造などを比較するマクロ分析が行われるようになった。ここでは、組織自体を分析単位とした組織構造の比較研究をとりあげ、客観法や主観法などによる組織構造の測定方法、組織構造内部での関係、および、組織構造の説明についての検討を行っていくことにしたい。
組織構造の測定方法には、組織自体を調査単位とする客観法と、組織成員個人を調査単位として収集したデータを組織単位でアグリゲートする主観法との2種類がある。
まず、組織構造の内部相関については、客観法の場合では、専門化、標準化、および、公式化はたがいに正の相関関係にあり、これらと集権化とは負の相関関係を示すが、一方、主観法の場合では、集権化、公式化、および、非複雑性とはたがいに正の相関関係にある。
つぎに、組織構造の説明については、組織の規模は、客観法による専門化、標準化、および、公式化と正の相関関係、集権化と負の相関関係にあったが、しかし、主観法による構造変数とは無相関であった。なお、客観法の場合、標準化および公式化は依存性とは正の相関関係、生産連続性とは正の相関関係を示す傾向があり、集権化は依存性と正の相関関係にある。そして、これらの官僚制化に関する変数は、技術よりも規模によってよりよく説明された。なお、形態特性の諸変数については、規模および技術の両方の影響を受けるが、どちらの説明力が強いかは明確ではない。また、主観法の場合、主観法によって測定されたタスクのルーティン性は公式化および階層化と正の相関を、分権化と複雑性と負の相関を示した。そして、よりマクロな文化・社会的要因は、客観法による構造変数には影響を与えなかったが、主観法による構造変数に対しては影響を与えた。
そして、客観法により測定された構造変数と主観法により測定された構造変数とは統計的に独立であり、両者は概念的にも区別した方が妥当であろう。
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