第2章 第4節 ポスト・コンティンジェンシー理論【第2章の目次へ戻る】

 Nader and Toshman(1978)や野中・他(1978)が指摘したように、コンティンジェンシー理論や情報処理モデルは、1970年代の組織理論の支配的なパラダイムとしての地位を占めるに至った。しかし、ほぼ同時期に、コンティンジェンシー理論の理論的前提や経験的な妥当性に対する批判を通じて、組織戦略、組織文化や組織進化を研究テーマとした、いわゆるポスト・コンティンジェンシー理論と呼ばれる研究動向も生まれたのであった。ここでは、これらの研究について検討していくことにしたい。
 コンティンジェンシー理論などの機械モデル・均衡モデルに対する、組織の環境に対する受動性という前提への批判から組織戦略の研究が、組織の非公式的・非合理的要素の軽視という批判から組織文化の研究が、そして、組織の変動を説明できないという批判から組織進化の研究が生まれた。これらの研究動向は、組織の非均衡モデルの理論化に向けての試みであると考えられよう。

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